《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》59話
けっきょくデカい防屋でそれぞれの防を買ってしまった。
おっさん、すまん。
俺用の防は魔鉄でできたチェインメイルで加護は特になくて中古だったから銀貨30枚だった。
セリナが選んだのは帯っていうのか?本當にの部分だけ布で隠すようなタイプだ。それとベストのセットだった。
帯は魔鋼糸でできてるらしいが、使用量がないうえに作りが単純で加護もないし、ベストはただの皮だから、新品なのにセットで金貨1枚と銀貨50枚だった。
本人がこれがいいっていうから別にいいんだが、心臓すら護れるのかあやしいサイズだな。
まぁ帯にベストってのがけっこう似合っちゃいるけどさ。
念のためアリアに被の加護をつけてもらうとするか。
すぐできるようなら全員分だな。じゃなきゃ顔が護れないしな。
これで全員分の防を揃えたし、街での予定は終わったな。
他にやるべきことはないかとアリアを見るが、さすがに會話の流れすらないと伝わらないか。
アリアには俺の心が読まれてんじゃないかと思ってたが、気のせいだったみたいだ。
「他に街でやっておきたいことはあるか?」
「…特にありません。」
「そしたらクリアナのところに行こうと思う。アリアとクリアナは付與師のレベルはそこまで大幅には変わらないんじゃないかと思うんだが、付與時間に差があるだろ?だから加護を早く付與する方法が何かあるんだと思う。それを聞いておきたい。間に合わないなら念のため、全員分の代わりの加護のついた何かを買っておきたいと思ってる。」
あそこなら空いた時間にダンジョンにも行けるしな。
「…はい。クリアナさんを超えられるように頑張ります。」
ずいぶんやる気だな。
だけどクリアナのところに行くのに不安もあるんだよな。
俺の思春期的なあれがな。
クリアナはヤバいからな。
できれば會いたくないし、思い出したくもない。ヘタしたら俺が俺じゃなくなる。
俺の倍以上の歳だろうになんでこんなになっちまうんだろう?
魅了のスキルでも使ってやがるのか?
いや、クリアナのことを考えるのはよそう。
そういやアリア以外は初めてか。
イーラは町に帰るときにテイムしたんだったな。
「これから前に知り合った付與師のところに行くぞ。」
第三王に余計なことをいいやがったことに文句もいわなきゃだしな。
「「「「はい。」」」」
東門から出てイーラに乗ったら本當にすぐの距離だな。
村に行く途中にあるダンジョンは場っていわれてたとこと違って今日も人がいっぱいいたな。
こっちじゃ思うように戦闘訓練ができないかもな。
クリアナの家に著いたが、まだ店がやってるみたいだからそっちにった。
「いらっしゃいませ。…リキ様!」
「おう、久しぶり。」
相変わらず綺麗な人だな。
俺と歳の近い娘がいるとは思えない。
いや、今はそんなことを考えてる場合じゃないな。
「お久しぶりです。今日は買いに來てくださったのですか?」
「場合によってはそのつもりだが、今日はクリアナに用があってきた。」
「デートのおいですか?」
え!?なにその笑顔!?可すぎる。
いや、堪えろ。
「違う。加護の付與時間を短させる方法を教えてほしい。」
クリアナは一瞬驚いた顔をして、すぐに笑顔に戻った。
「ずいぶん奴隷の娘が増えたと思いましたが、付與師の娘もいるのですね。付與師はレベルを上げれば付與時間が短されますよ。」
「付與師のレベルは既に50レベルくらいなんだが、付與時間がけっこうかかるんだ。何か短する方法が別にあるんだろ?」
「申し訳ございません。確かに私の家系に代々伝わる方法がありますが、いくらリキ様でもお教えすることは出來ません。」
やっぱりあるのか。
でもここまでハッキリ斷られたら食い下がるのもなんか嫌だな。
ふとカウンターの奧に目を向けるとマリナがちょうど廊下を歩いていたようで、何気なくこちらを向いたときに目があった。
チラ見をしたあとに二度見された。
「リキさん!?」
「おう、久しぶりだな。」
俺に気づくなり、マリナは足のままこちらに走ってきて、目の前でうずくまるように土下座のような姿勢をとった。
いきなりなにやってんの?
他に客はいないみたいだが、俺に何か謝るようなことでもしたのか?
それにしてもいきなり土下座は引くぞ…。
「私をリキさんの奴隷にしてください。」
…は?
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