《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》69話

地下71階に下りてから、アリアに指、マリナにミサンガを裝備させた。

久しぶりにアリアのニヤニヤ顔を見た気がする。

そういやピンキーリングは壊れちまったからな。

アリアは迷う様子もなく、左手の親指に指をはめた。

「親指だと邪「大丈夫です。」」

…珍しくアリアが言葉を被せてきたな。

まぁ大丈夫っていうんなら別にいいんだが…。

マリナは右足に付けたようだ。

この世界でミサンガとか、戦闘してたら簡単に切れちまいそうだな。切れる前に加護がついて付與師になってくれるといいんだが。

地下71階からは魔に會えば戦って、下り階段を見つけたらすぐ下りるを繰り返している。

地下72階からはアリアの『ステアラ』をかけていないと2人で倒すのはしんどくなってきた。

現在は地下75階なんだが、ステータスアップさせてても一の魔にかかる時間が長くなってきた。

相手の攻撃はまだ避けれるが、こっちの攻撃がたいしたダメージを與えられていないみたいだから、なかなか倒せない。

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2対1でこれだから、囲まれたらギブアップしそうだ。

『ギブアップ=死』だから、ギブアップなんてできないんだがな。

これだといつまで経っても先頭グループには追いつけないだろう。

既に先頭グループが通った道を通っているだけなのに追いつけねぇとか、同じ人間なのに実力差がありすぎだろ。

正直ヘコむ…。

「アイン。現在の他のパーティーの進行合を教えてくれ。」

「はい。現在先頭グループは7組のSランクパーティーで地下80階のフロアボスと戦っています。その後ろがSランクパーティー1組とAランクパーティー3組でなっている混合グループが地下78階の魔と戦闘中です。私たちが地下75階で、後ろに…Sランクパーティーが1組、ちょうど地下75階に下りてきたようです。」

第三王がブレスレットで誰かと連絡を取りながら教えてくれた。

さっきあんなことがあったのに対応が変わらないが、第三王的には許容範囲だったのか?

だとしたらかなり予想外ではあるが、良かったと取るべきだろう。

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「參加パーティーってけっきょく何組だったんだ?」

北門にはけっこうな人數がいた気がする。

「リキ様のパーティーを含めてちょうど20組でした。」

マジか。

7組もパーティーが落してるのかよ。

死んだのか逃げたのかは知らないが、俺らもそろそろ限界っぽい。

だけどまだSランクのやつらの戦闘を見れてないから帰りたくねぇな。

「一気に80階まで行きたいんだが、頼めるか?」

「かしこまりました。々お待ちください。」

たぶん地下80階にいる騎士を1人呼んで、合流次第送ってもらうのだろう。

ここは上り階段からちょっと離れてしまったから、騎士が來るのは5分から10分後くらいかな。

「ちょっと待機だ。魔が來る可能があるから気は抜くなよ。」

「リキ様!何か來ます。危険です。」

「は?」

セリナが短剣を両手に持ち、腰を低くして後方からくるだろう何かを見ている。

そっちは上り階段の方だが、騎士が來るには早すぎる。

俺には何も見えないから、危険といわれてもな。

このフロアの魔は既に1倒しているが、そこまで危険なやつではなかったし、何が來るっていうんだ?

しばらく見ていたが何も來ないからセリナを見ると、構えを解いて申し訳なさそうな顔をしていた。

「どうしたんだ?」

「消えちゃった。」

「は?どういうことだ?」

「わからにゃ〜い。」

テヘペロって効果音がつきそうな顔をしやがった。

セリナは整った顔をしてるから舌を出してウインクした顔が似合ってるのがさらにムカつく。

もちろんブスがやってもムカつくんだろうがな。

ガントレットを握るとカチャッと音がなった。

「ごめんにゃさい!調子に乗りました!でも本當にわからにゃいんです!毆らにゃいで!」

イーラ以外をガントレットで毆ったら死んじゃうだろうから、このまま毆るつもりはねぇよ。

「消えたって、壁の向こう側の気配までわかるセリナがわからなくなるってことは本當に消滅したってことか?」

俺らの後ろには確かSランクパーティーがいるっていってたよな?

これだけ離れてても危険をじるような魔をそいつらが一瞬で消滅させたってことか?

「壁一枚隔てた部屋くらいにゃらにゃんとにゃくわかるけど、それ以上は私だってわからにゃいよ?壁がにゃければある程度遠くまでわかるけどね!」

今度はドヤ顔かよ…。

カチャッ。

「にゃんでよ!イーラの自慢は褒めたのににゃんで私は毆ろうとするの!?」

そうだっけっか?

「覚えてねぇが、ペットがやると可いけど妹がやるとウザい的なやつか?」

でも歩がやったら可いだろうけどな。

「イーラはペットじゃないもん!」

「ペットじゃなきゃなんなんだよ?」

人?」

俺はそもそも結婚してねぇし、歩の顔でそういうことをいうのはやめろ。

「ニャハッ。じゃあ私が本命?」

屈託なく笑うようになったのはいいことだが、調子に乗るのはよくねぇな。

「2人の気持ちはわかった。このクエストが終わったら俺が直々に本気で戦闘訓練してやるから楽しみにしとけ。もちろん本気だからガントレット著用だ。」

イーラは嬉しそうに笑い、セリナは顔からの気が引いたように青ざめた。

「約束だよ!」

なんでイーラは喜んでんだよ!?舐められてんのか?

まぁいいこのガントレットなら多の痛みは與えられたからな。反省するまで毆ればいいだけだ。

「…。」

セリナは口をパクパクさせて、何もいえなくなってる。

まぁセリナなら避けられるだろ。なんせ避けなきゃ死ぬから死ぬ気で避けるだろうからな。

セリナが青ざめた顔のまま口を押さえた。

え?噓だろ?吐く気か!?

いや、なんとか我慢したようだ。

「死にゃにゃいようにお願いします…。」

そういやセリナは泣くまで…泣いていようが関係なく俺に毆られたことがあったな。

あれはめてたとかじゃなくて戦闘訓練だからセリナも納得してると思ってたんだが、トラウマになってんのか?

「俺が仲間を殺すと思ってんのか?」

「…。」

こいつ目を逸らしやがった。

「…リキ様は仲間には優しい方です。」

アリアはわかってるじゃねぇか。

「知ってるよ〜。だけど悪いことしたらすごく怒るし、毆るときにあまり加減してくれないから…ねぇ?」

「…。」

「おい!アリアまで何いいくるめられてんだ!?」

「…ごめんなさい。セリナさんは悪いと分かっているのなら最初からやらなければいいと思います。」

「だってリキ様にかまってほしいんだも〜ん。」

何いってんだこいつは。

「まぁいい。そんなに俺が信用ならないなら、代わりのブレスレットは予備が2つあるから、ハナから殺す気でいってやるよ。」

「ごめんにゃさい!!!!!」

セリナが綺麗なジャンピング土下座をしてきた。

「んに゛ゃっ。」

その頭を踏んづけたら、潰された貓のような聲を上げた。

土下座されるとなんか頭を踏みたくなるよな。だから特に意味はないのに踏んでしまったのは仕方ない。

「わかりゃあいいんだよ。元気なのはいいが、調子には乗るな。俺が放つ空気はちゃんと読め。」

「はい…。」

「何か不満なのか?」

「そんにゃことにゃいです。」

「本當は?」

「にゃんでイーラは許されるのかって思った。」

ハッとした顔でセリナは口を押さえた。

バカだとは思ってたが、ここまでとはな。

まぁ不満はいわなきゃ解消してやれねぇからいいんだけどよ。

「イーラは反省するまで毆るよ。それに俺は怒ってるわけじゃないから、許すも何もない。これはただのオシオキだ。かまってほしいんだろ?なら喜んでけろ。」

「…はい。」

一通りの話が終わったところで、騎士が到著した。

「じゃあ地下80階まで頼む。」

「かしこまりました。」

第三王が騎士に指示を出し、リスタートを発させた。

「お先にどうぞ。」

「あんがと。」

俺のパーティーから先に通って地下80階に來たが、けっこう魔がいるな。

「先頭組はちゃんと魔の討伐はしてんのか?」

後から出てきた第三王に確認を取ると、首を橫に振った。

「先頭のグループは魔とは極力戦わずに攻略優先で進んでいるようです。この後のグループが通り道の魔を倒しているので、私たちが來た道はそこまで魔がいなかったらしいです。」

そういや依頼はこのダンジョンの攻略だから魔を討伐する必要はないのか。

俺らは急に強い魔に會って死ぬのが嫌だから戦ってただけだしな。

「とりあえず先頭組と合流する。今回は無理に魔は倒さない。だからカレンとマリナも気をつけろよ。」

「「はい。」」

「先頭がイーラ、真ん中にカレンとマリナ、右がセリナ、左が俺でし後ろにアリアの陣形を維持して走るぞ。アリアは出來るだけのステータスアップを頼む。」

「「「「「はい。」」」」」

返事をしたあと、イーラが走り出した。

人型だからカレンやマリナでもついていける速度だ。

イーラはこの陣形の意味がわかっているようで、通路上にいる魔を右か左に振り分ける。

右に來た魔はセリナがさらに壁に追いやり、左に來た魔は俺がさらに壁に追いやる。

そして魔が次の行を起こす前にアリアまで抜ける。

仮に攻撃がアリアに向かっても一撃を避けるくらいはアリアなら出來るだろう。

アリアより後ろのやつらは知らん。

を倒さず走ったおかげで、すぐに下り階段に著いた。

下り階段には結界のようなものが張ってあり、目の前の扉は閉じられている。

まだ先頭組はフロアボスと戦っているようだ。

「待ってるのも暇だから、俺とイーラで一だけ倒してくる。念のためアリアはついてきてくれ。セリナはマリナとカレンを見ててくれ。」

「「「「「はい。」」」」」

ここに來る途中で最後に見かけた魔のところに向かった。

今回は第三王はついてこないようだ。

「ねぇねぇリキ様。魔法を使ってみてもいい?」

そういやイーラはエルフを捕食したから魔法も使えるのか。

「かまわないが、MPの消費に気をつけろよ。あと、俺たちを巻き込むようなのはやめろよ。」

「は〜い。」

イーラが右手を広げて前に出すと、イーラの周りに6つのが現れた。

6つのが魔の方に向かい、魔の周りで止まった。

イーラが右手を握ると6つのから線が出て、魔を貫いた。

それで死んだであろう魔が足で立っていられなくなって倒れたが、線はなくなってないから魔がバラバラになった。

狙ったのかは知らないが首から上は無傷で転がっている。

…は?

5階も上の時點で俺とイーラの2人がかりでしんどかったのに、アッサリと倒しやがったぞこいつ。

「魔法って凄いね!」

イーラは初めての魔法に喜んでいるようだ。

ってかこいつ完全に無詠唱だったな。

エルフじゃなくても思念発できるのか?それとも捕食は特別?

まぁ考えたって無意味か。

魔法が使えるやつが増えたんだから良しとしよう。

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