《裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚》359話
橫山を含んだカリンパーティーが俺の周りに集まってきた。
まだ朝食を食べ終えていないやつもいるが、もう終わりそうだし、食いながらでいいだろう。
「まずはさっきの戦闘についてからか。俺が戦ってみた想としては連攜は上手かったと思う。ラスケルの大振りの攻撃で生じる隙を補うようにパトラが邪魔してきを制限してくるのは普通にウザかったしな。まぁパトラの実力が高いからこそ出來ることなんだろうが、一番力が強そうなラスケルに強攻撃させつつラスケルの隙は補い、相手の隙は逃さないってじは良かったと思うぞ。ラスケルもパトラの援護ありきで見たら悪くない連続攻撃だったしな。」
技的な部分だけ見たらたぶんパトラはランク以上の実力がある気がする。だが、俺と戦うときにパトラではなくラスケルをメインアタッカーにしたのは俺にダメージを與えられない可能があると思ったからだろう。実際パトラの攻撃だったらカリンの魔法でステータスの底上げをしていたとしても全部避けずにガントレットでけられそうだしな。そこはパトラとラスケルの力量差というより武の攻撃力の差だろうけど。
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意外にもパトラが褒められて喜んでいる雰囲気があった。あからさまに表に出してるわけではないが、口もとがニヤけそうになっている。あんまり他人の評価とか気にしないタイプかと思ってたけど、そんなことはないようだな。
「ピリカールについては盾役なのにくるのがし遅かった気がするが、それを除けば他は悪くなかったと思う。2人のきに合わせた場所取りや攻撃のけ流しや牽制は上手かったしな。実際俺もピリカールの思うようにかされただろう部分があったし。」
俺自が盾役の技ってのが全くわからんからピリカールの実力がどの程度なのかはわからんが、下手ってことはないだろう。ただ、速度と力が足りてないから技を活かしきれていない気がする。まぁ力任せの盾役よりは育てやすいからいいんだが。ぶっちゃけ速度と力だけならレベルを上げさせるだけでいいんだし。
「あと、リッシーはもっと積極的に魔法を撃った方がいいんじゃねぇか?接近戦が出來るほどの判斷力があって魔法の発も早いんだから、先読みしてその場面がくるまで待機じゃなくてもっと魔法を使いまくって、そのうえで先読みしてた狀況の直前でその魔法を用意すればいいんじゃねえかとは思ったな。MPもまだ余裕あるんだろ?」
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今まで1人ずつ名前を出して俺がじたことを話しつつもとくに返事は求めずに話を続けていたのにリッシーにだけ確認をとったせいか、リッシーが質問されていることに気づいていないようでシカトされた。
しばらく無言で見ていたら、リッシーがやっと気づいたようで目を見開いた。
「あ、あの、えっと……はい!あ、いえ、あの一戦だけで使い切る想定でいえば余裕がありましたが、不測な事態や連戦を想定した場合は余裕があったわけではないです。あと、相手が理攻撃に耐がある場合以外では私はあまり魔法を無駄撃ちしないという作戦でもあったので……。」
リッシーは後半が言い訳のようになってしまったからか聲が小さくなっていき、チラチラとカリンに視線を送り始めた。だが、カリンはその視線に気づかず、次の俺の言葉を待つように俺を見ている。
リーダーならフォローしてやれよ。
「作戦だったなら仕方ねぇか。臨機応変にも限界があるし、勝手なことばっかやっちまうと収集つかなくなるしな。その辺はこれから鍛えながら考えていけばいいだろう。」
これで全員への想は終わりか?
とりあえずいいと思った部分は伝えたから、あとは改善點か。
「最初にいったように連攜は良かったと思う。ただ、本的な問題として、個人の能力が足りてねぇ。これじゃ個で強い敵が現れただけでどうにも出來なくなる。だから、まずは個人の実力を上げる訓練をやるつもりだ。」
続いて何をするかを話そうとしたところで腕を引っ張られた。
「リキさん!私は?」
俺の腕を引いたカリンがわけわからんことをいい始めた。
…あぁ、そういやカリンについては何もいってなかったな。
「カリンが指示してんのは意外だったが、悪くなかったんじゃねぇか?それにステータスアップ系の魔法も數種類使えていたみたいだし、治癒系の魔法を即座に使えるようになればだいぶ良くなりそうだ。あとは近づかれた時の対処か。練習をしたんだろうってのはわかるから、そのまま練習を続けつつ、あとは慣れだな。」
「はい!」
ただ想をいっただけなのに嬉しそうな笑顔を浮かべたカリンから元気な返事がきた。
元気なことはいいことだと思うが、こいつは本當に俺と一歳違いなのか?
「……まぁそれで、個人の実力を上げるための訓練についてなんだが、とりあえず今日は一人一人に相手をつけて指示に従ってもらうことにする。カリンにはヴェル、ラスケルにはセリナ、パトラにはお…。」
そういやソフィアは連れてこなかったから、俺はパトラじゃなくてリッシーの相手をするべきだったわ。俺の仲間では他に魔法を使うやつがアリアしかいないからな。いや、イーラも使うか。だが、イーラが何かを人に教える姿は想像できないし、アリアには橫山の相手を頼みたいから、消去法だ。
本當なら魔法を使うリッシーにはソフィアが適任なのかもしれないが、自分の皮をスクロール代わりにして魔法を使うような頭がぶっ飛んだことを教える可能があるやつをつけるのはさすがに可哀想だからな。
自分の意思でやる分には文句をいう気はないが、そんなんを強制されるのはいくら強くなるためとはいえ俺だって嫌だし。
そうするとパトラの相手は誰にするか。
ウチで弓を使うやつはいないし、短剣だとセリナしかいないが、そうするとラスケルの相手を誰がするかってことになるんだよな。
周りを見ると、急に言葉を止めた俺をカリンたちが不思議そうに見ていた。
悪いがもうちょい待て。
今來ているメンバーはアリア、イーラ、セリナ、テンコ、ヒトミ、サーシャ、ウサギ、ヴェル、ニアだから……そういや前にサーシャは大剣を使ってたな。振り回していただけな気もするが、訓練初日だし試しでいいだろう。
「アリアとセリナとサーシャとヴェルとニアはちょっと來てくれ。」
俺が聲をかけるとなぜか呼んでないイーラたちまで近づいてきた。まぁいいか。
全員が聲の屆くところに來たのを確認し、あらためてカリンたちに顔を向けた。
「途中で止めて悪かった。訓練についてだが、カリンはヴェル、ラスケルはサーシャ、パトラはセリナ、ピリカールはニア、リッシーは俺、橫山はアリアの組み合わせで今日は晝までやろうと思う。」
「私はアリアさんじゃないんですか?」
カリンが手を上げつつ質問してきた。
俺が促すのを待つ気がないならなんでわざわざ手を上げた?
「カリンには今日は接近戦の練習をさせようと思ってな。なくとも他のやつが助けに來るまでの時間稼ぎが出來るようにならなきゃだから、反撃はできなくていいからひたすら凌げ。避けるでもけつつ回復するでもいいから、晝飯まで休憩なしでひたすらヴェルの攻撃を凌ぐ練習だ。ヴェルは毆り殺さないように加減はしつつ、カリンが楽できない程度に攻めてやってくれ。」
「…え?」
「わかった。」
カリンが間の抜けた顔を向けてきたが、ヴェルが了承したから大丈夫だろう。
「サーシャは刃を潰した大剣でラスケルと模擬戦な。ラスケルはさっきくらいの強攻撃じゃないとサーシャにキズすら與えられないだろうから、援護なしでさっきの攻撃が常に出來るように練習だ。サーシャは加減しなくていいし、ラスケルが疲れても止める必要はないが、サーシャが斬られた場合は一度休憩挾んで仕切り直しってじで晝まで続けてくれ。」
「はい。」
「なぜ我だけ斬られたら終わりなんじゃ?」
次にパトラたちに話しかけようとしたら、不満げな聲のサーシャに遮られた。
べつに勝ち負けではなく仕切り直すだけなのになんで不満そうなんだよ。
「サーシャは斬られても死なないからって守りを捨てるようなことをされたら練習にならねぇからだよ。あと、一度攻撃を當てたら休憩が取れると思えば、ラスケルが疲れてきたときにただ振り回すんじゃなくて工夫をしようとするだろ。でもただ當てただけでいいってなると練習にならねぇから、サーシャは軽い攻撃では傷つかねぇようにしといてくれ。」
「傷つかぬようにといわれても、我のはイーラやヒトミのように理無効でもなければ、ヴェルのように力を込めるだけで化出來るわけでもないんだがのぅ。まぁ全を覆える服にすればなんとかなるとは思うが。」
サーシャがそういうと、著ている服がわずかに変化し、顔以外の出していた部分が全て覆われた。
「は?その服は自分の意思で形を変えられるような魔法がかかってんのか?」
「いや、この服は我ので作ったものだから好きに形を変えられるだけで、魔法などはかかっておらぬよ。我は魔法を使えぬからな。」
その服ってを変化させて作ったものなのかよ。だとしたらずいぶん用だな。ぱっと見普通の服にしか見えねぇし。だが、サーシャが著ている服だと思ってたものが全部なんだとしたら、意味合い的にはでボディーペイントしてるだけの全ってことか。
変態じゃねぇか。
まぁイーラもサーシャも服っぽい服じゃないものみたいだが、隠せてるから変態ってのは違うか。そもそも魔族に人間と同じ恥心があるのかも知らんが。
「用だな。」
「魔族となってから練習したんじゃよ。魔族の領地に服屋などないし、全であやつに會うのはなんか嫌だったからの。どうせならと気合をれてスキルを極めたんじゃが……まぁけっきょく會えんかったから無駄な努力になったがな。」
そういやサーシャは好きな相手がいたんだったな。そのために練習して売りのような服をで作れるんだから、凄えな。
「大丈夫ならそれで頼んだ。そんでパトラは弓の度は十分だと思うから、接近された場合の対処をセリナと練習してくれ。練習方法はセリナに任せる。」
「「はい。」」
セリナとパトラの返事が重なった。
「……ちなみにちょっと気になったんだが、弓矢の速度ってあれが限界か?」
「ここに來るまでにレベルが上がっているので弓を変えて練習すればもうし威力を上げられますが、命中度を保ったままで今の力で引ける限界の弓に変えてもそこまで速度は変わらないと思います。」
「そうなのか。それじゃあ常に死角からてるようにしなきゃ當てられないだろうから、大変そうだな。」
「………………そうですね。」
パトラが一瞬「なにいってんだこいつ?」みたいな顔をした気がしたが、遅れて意味を理解したのか同意した。なぜか目を逸らされたうえに納得していなさそうな聲だったが。
「ピリカールについてはすまんが、俺は盾の使い方は全くわからんから、ニアに全部任せる。ピリカールは十分に技を持ってるかもしれんが、學べることもあると思うから今日はニアのやり方に従ってみてくれ。」
「「はい。」」
次に俺が相手をするリッシーに目を向けたら、目があった瞬間に目線を逸された。
「リッシーは俺とだ。説明は後でする。」
「は、はい!」
おどおどしたじはあるのに返事は元気なんだよな。
「橫山はどういう戦い方をしていくつもりかわからんから、その辺りも含めてアリアと相談しながら決めてくれ。アリアには丸投げで悪いが、知識はアリアが1番あるだろうからな。余ってるやつらは好きに使ってくれてかまわないから頼んだ。」
「「はい。」」
アリアと橫山の返事を聞き、集まってるやつらを一度見回した。
飯は話してる途中で全員が食い終わっていたし、食休みも一応は取れているだろう。
「それじゃあ朝食はこの辺で終わりにして、そろそろ訓練を始めるか。」
參加するメンバーが全員返事をし、指導役に促されるように散っていった。
參加しないイーラとテンコはなぜか迷わず俺についてきて、ヒトミは一瞬不満げな顔をしたように見えたが、見間違いだったかのようにいつもの笑顔でアリアについていった。
殘ったウサギは俺の方をチラチラ見ながら悩ましげな顔をしたあと、アリアの方に向かっていった。
べつに2人はアリアに呼ばれたわけじゃないんだから好きにすればいいのにと思ったが、もしかしたら以心伝心の加護で呼ばれたのかもしれないな。それならまぁ不満だろうと逆らえねぇか。俺がアリアに好きに使っていいっていっちまったしな。すまん。
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