あの後、當然のようにみんなが抗議した。

「家に返せよ」「どうして私達なの？」

そんな不満の聲にロイさんは

ロイ「すまない」

そう言って頭を下げた。

ロイ「…出來る限りのサポートはする。君らにはこの國の民を守ってもらいたいと思っている」

その発言にほとんどの人が目を見開き、ロイさんを見た。

瀬一「おい。そりゃあどう言う意味だ」

一番に食ってかかったのは瀬一だった。

ロイ「…君らを最前線で戦わすつもりは…ぶっちゃけない。民を君らのような子供に任せるのは気がひけるんだが…。どうか民を守ってほしい」

瀬一「悪いが俺は行くぜ」

と瀬一が一歩前に出た。

柊冬馬「…俺も行く」

その言った柊冬馬を瀬一は見ると

瀬一「なんだぁ？さっそく勇者気取りかぁ？」

柊冬馬「そんなもんに固執するつもりはねぇよ。この世界で生きて行くには力がいる。自分のぐらい自分で守れるくらい強くならねぇと生きていけない。…俺は俺で生きる」

それにみんな一歩前に出て先程までが噓なほど協力的になった。

隣から裾を引っ張られそちらを見ると奈がこちらを見ながら

奈「優よ。みんなは一何をしておるのだ？」

とコソコソ話のように顔を近づけてきた。それに一瞬ドキッとするがすぐにその気持ちが冷めるような覚になる。奈に話の流れを説明すると、納得したような顔になった。

ロイ「とりあえず今日は休むように」

そう言ってロイさんはし笑顔で壇上を降りて行った。

その夜。布団の上で今まで起きたことを考えていると扉にノック音がした。扉を開けると、奈が立っていた。その顔にはいつものような人懐っこい笑顔はない。

優「どうした？」

奈「その…」

と言い淀んでお いた。

優「とりあえずったらどうだ？」

そう言って中にれる。

奈「聞いてしいのだ」

優「何かあったのか？」

奈「優よ。戦わないでしいのだ！」

そう言う奈の顔は心配そうな瞳でこちらを見ていた。

優「どうしてだ？」

奈「…私の能力で分かったのだが。お主に不吉な力が働いているのだ。このまま行けば、優が遠くに行ってしまいそうで怖いのだ」

優「…」

驚いた。賢者の力にはそんなものがあるのか。おそらく未來予知か何かだろう。不吉な力ってのは死神の能力のことでいいのか？それとも別の何か。きたばかりで報がないな。

そんな時、ふいに目にった。自分専用に変化した本を手に取り、中を開くと

『案ずることはない。すぐに分かる。自分がすべきことも。何者かも』

そう書かれていた。まるでこの狀況を見ているかのようなこの一文。優は奈を見ると

優「俺は心配いらない。自分のすることは自分で決める。そう柊君も言ってただろ？」

それに奈は席を立つ。

奈「優何を隠しているのだ！夜になってから。私には見えるのだ！」

優「見える？賢者の能力か？一何が？」

奈「優から黒い煙が出ておるのだ。それだけではない」

そして、し溜めると

奈「鎌が、鎌が優の首に當たっておる。しでも鎌がけば優の首が飛びそうで怖いのだ…」