結局、自分をコントロール出來ずに本能のままにを吸い続けエリザベートが無理矢理にでも止めなければ、今頃どうなっていたのか分からない。

エリザベート「最初のうちは誰でもそうなる。もうし、心を休ませる必要があるようだが、致し方ない。」

そう言ってエリザベートは、優に近づき優の口元に付いているを拭き取ると

エリザベート「…都合のよいようにしろ」

そう言った。

意味が分からないでいると、ドアを勢いよく開けられる。

「優！」

と言って、黒髪ロングでしい顔立ちで、走ってきたのか、肩で息をしている奈が勢いよくってくる。

奈は、こちらの顔を見ると強張っていた顔の筋が緩んでいく。そして、ニッコリと輝くように笑うと

奈「無事でなによりだ。…よく覚えておらぬが優が私を助けてくれたのだろう？」

それにが締め付けられるような思いになる。

何せ、自分は守るどころか、その命を奪い、その上、自分の都合で吸鬼に勝手に変えたのだ。何もじないでいることの方が無理だ。

真っ直ぐな奈の目を見きらずに視線を逸らしてしまう。

それに奈は優しく微笑むと

奈「…気にしておらぬぞ。優が私を助けるためにやった行為を恥じる必要はない。」

それに驚き目を見開く。

奈は、まるで自分がした事をもうすでに知っているかのような発言をしたのだ。

するとコロコロコロと奈のお腹が鳴った。それに奈は恥ずかしそうにすると

奈「すまぬ。どうやらお腹が減ってしまったようだ。」

それに優は、ははは。と苦笑いをするといつのまにか機の上に置かれていた赤いのったグラスに目を注いだ。

その優の視線につられて、奈もそちらを見る。

その時だった。奈の目は真っ赤な真紅のに変わった。

奈「む？なにやら味しそうな匂いがするが、これはなんなのだ？」

そのを優は見る。おそらく、いや、確実にエリザベートが用意したものだろう。

それを優はじっと眺める。そして、エリザベートの言葉を思い返す。（都合のよいようにしろ）つまり、このまま奈に黙ったままを飲ませるのも、事実を変えて話すのもありだと言うことだ。自分のを守るために。

優は、手に力を込めて自分の頬を思いっきり毆る。その反で勢を崩して、よろめくが、すぐに勢を整える。

奈「な、なにをしておるのだ！？」

そう言って奈が慌てて駆け寄る。その奈を見て

優「ごめん。」

そう言って頭を下げた。

優「俺はお前を守ることが出來なかった。それどころか、俺がお前を殺した。その後魔族に捕まって、お前を助ける…俺が生き返らせたかったから…吸鬼にした。謝って済むことじゃないのは分かってる。それでも謝らせてくれ。すまない」

奈「優よ。顔を上げてくれぬか？」

正直怖い。こうやって頭を下げてるのも自分のためだ。奈の顔を見るのが怖くてやったのだと思う。その証拠に顔を上げるのを拒んでいる自分がいる。

だけど、、、拳を握り力を込め顔を上げた。

奈の真紅な目からは、涙が溢れていた。

奈「すまぬ。守るつもりが、どこまでも足を引っ張ってしまって…」

優「違う！奈のせいじゃない！」

と慌てて抗議をする。

それに奈は首を橫に振ると

奈「いいや、私のせいだ！優が力を使ったのも、私を守るためだったではないか！」

優「その結果お前を殺した！俺の力で！」

奈「優が私を守るために力を使わなければ、どちらにせよ私は死んでいたではないか！私の弱さが！優に力を使わせる原因になったのだ！謝らなければいけないのは私の方だ！」

優「違う。そうじゃないんだ…」

と力なく言葉を振り絞る。その優を奈は、抱きしめると

奈「こんなに優を傷つけてしまった。すまぬ。」

そう言った瞬間だった。奈は突然苦しげにを抑え膝から崩れ落ちた。

その時、優の耳元でエリザベートの聲だけが聞こえた。

エリザベート「を飲ませろ。理で抑えれなくなるぞ。」

それを聞き、優は自分の首元を奈に近づけた。

優「奈！吸え！」

奈「な、何を言っておるのだ！？」

優「お前を吸鬼にしたのは俺だ。せめてこれぐらいの罪滅ぼしをさせてくれないか？」

それでも、奈は困ったように優の顔を見る。

すると、突然優の首元が淺く傷つく。そこからが溢れ、一瞬、奈の目がり輝いたように見える。

そして、奈は、、、優のを吸った。

奈を無理矢理に引き離すと、奈は肩で息をしながらうっとりとした顔を浮かべながらも、どこか、申し訳なさそうな顔をしていた。

その時だった。部屋がノックされ、優は奈と目を合わせ、互いに頷くと

ドアを開けた。そこには見たことのない自分達と同じくらいの赤髪の男が立っていた。

そしてニッコリと笑うと

「初めまして。私は魔族殲滅、特殊部隊配屬のゼロです。」

そう言って握手のように手を差し出してきた。