顔の僕は異世界でがんばる》狡猾な冒険者 2

スキル<解放>発

僕は魔法の欄に注目した。

『水魔法LV1』『風魔法LV1』『土魔法LV1』『魔法LV1』『闇魔法LV1』……『調教LV1』『調薬LV1』『呪LV1』……『錬金LV1』『火魔法LV4』『治癒魔法LV4』

いまや膨大にある項目のうち注目したのは『錬金』だ。

別にカッコよさげだから、とかいう理由じゃない。いや、ちょっとはあるけど。

リュカ姉やエーミールさんに聞いて回ったところ、錬金師が希であるということが分かったのだ。

曰く、難しいとのこと。

曰く、役に立たないとのこと。

しかし、そんなはずはない。

スキルの報によると、錬金はどの魔法よりもエネルギー消費が大きいのだから。

このスキル<解放>は、いろいろな要素を加味したうえで消費量を厳に決めている。

そこに間違いはない。

つまり、何らかの長所があるはずなんだ。

それを調べるべく例の事典や他の書(エーミールさんに借りた)を調べたところ、いろいろわかった。

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まず、魔法と――魔は違う。

簡単に言うと、魔法は『ありえない』ことをやってのけるもので、魔は『原理的にはありえる』ことをやってのけるもの、ってじだ。

正確に言うと、魔法は魔力をそのまま質、たとえば水などに変換し、ることになる。原子を作り出すことが出來ないなんてことは、地球上の理論だけど、當たり前だ。

まぁ実際には、ビッグバンとかによって一度は無から生み出されてるわけだけど、こんな簡単にできるものじゃないことくらいはわかる。

だからありえないこと。

そして魔

これは魔力によって質をるというものだ。

科學に近い。

そこにあるものをって効果を発揮する。

よってありうること。

その違いは大きい。

質をるのだから、イメージがより大切になる。加えて能力を最大限引き出すためには、目に見えない原子とかをる必要がある。

そしてこの世界では、いまだ原子だとかいう理論が確立されていない。つまり完全には使いこなせていないことになる。

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當然、効果はない。

しかもそこになければ上手く発しないということで、魔法よりも劣っているのだとみなされているらしい。

だから魔は遅れている。

これはすなわち、科學の遅れにつながっている。

と、僕は考えた。

この世界の生活水準は、先にも言ったとおり、決して地球のそれに劣っているわけじゃない。

地球よりもはるかに発展しているものがある。

例えば魔石を利用した服なんかがそうだ。

対して、圧倒的に劣っているのが、科學だ。

魔法があまりに便利なために、発展の際、目を向けられなかったことが大きい。

明かりがしい ⇒ 魔法がある。

溫かさがしい ⇒ 火魔法がある。

涼しくしたい ⇒ 水魔法がある。

病気を治したい ⇒ 治癒魔法がある。

便利な道 ⇒ 魔法を魔石に込めればいい。

などなど。

それらを組み合わせれば、なるほどほとんどのことが出來てしまうのだ。

便利ゆえに劣る。

だから小難しい、眼では視認することすら敵わないミクロな世界に目を向けることなどなかった。

だが、僕は違う。

地球には魔法なんていう便利なものは存在しなかった。

今考えれば恐ろしく不便な世界だ。

けれど、だからこそあの世界の人たちは頭を使った。

不便だからこそ、発展があった。

そして僕は、それなりに知識をかじってる。

いじめられっこの特徴として、敵をギッタンギッタンにする妄想に浸るというものがある。

そして実行する勇気もないのに、パソコンとかで『面白サイエンス』だとか『ちょっと危ない化學』だとか調べて弾とか作る妄想をするのだ。

「うぅぁぁ……」

あぁぁ恥ずかしぃいい!!

とにかく。

授業で習ったこと以外にも多の知識はある。

つまり、僕はこの世界の誰よりも魔を上手くれるはずだ。

「『錬金』解放」

解放すると、空間に魔力を流し込む覚が湧いてきた。

相変わらず、忘れていたのを思い出すじで、ちょっと気持ちがいい。

アハ験です。

そして同時に、何ができるのかなんとなくわかった。

どうやら錬金は、金屬類をる魔のようだ。

手を地面にかざすと、なんとなくそこにあるものが何か、知識が流れ込んできた。

試しに一メートルくらい先に鉄でできた棘を出現させようとすると、小さな棘が地面から勢いよく飛び出した。

「……しょぼ」

高さ約十センチ。

うぅむ、しょぼい。これはレベルが低いからだろうか。

それともイメージが微妙だから?

にしても魔力消費量は結構なものだ。火魔法よりはるかに燃費が悪い。

発展しないのもうなずける。

まぁとにかく、実験あるのみだ。

レベルを上げるのは使えるとわかってからでも遅くはないだろう。

実験は、結局數時間にもわたった。

けれどそのおかげで、かなりの収穫があった。

まず、この世界に存在する金屬の種類。

幸運なことに、これはほとんど地球と同じだった。

ちょくちょくよくわからないものもあったが、そもそも僕自、すべての金屬を把握しているわけじゃない。

主要なものさえ一致していればいいのだ。

次にれる金屬の種類。

どうやらすべての金屬がれるわけではなく、金や銀はれない。また、る金屬の種類によっても必要な魔力が違い、いものほどりにくいようだ。

うぅん? 金はらかいはずなんだけどな。

そこはよくわからなかった。

次にるレベルだが、これは恐ろしくミクロなレベルで可能だった。

難しいことを言うと金屬原子の結合に関與する自由電子の話になるが、要は『溫めてないのに金屬を薄く延ばしたり自由自在にることが出來る』ということ。

魔力によって自由電子に運エネルギーを與えているのだから、正確には溫めているのと何ら変わりないのだけど、そんなことはどうでもいい。恐ろしく小さいものだから、これにはほとんど魔力を消費しない。

一番重要なのは『自由電子がき回る=熱を発生させる』ということだ。

簡単に言うと、魔力を込めるほど金屬が熱を持つ。

しかも消費量はほとんどなく、加えて僕の魔力量は多い。

つまり、規模を大きくすれば敵の足元に高熱を孕んだ金屬の沼を発生させたり、メチャ熱い金屬をぶっかけたりできるのだ。

金屬の融點はによるが、たしか鉄なら千くらいはあったはず。

もはや形ある炎だ。

これは確実に、僕だけの武になる。

最後に規模。

これは込める魔力量によってある程度調節が効いたが、実用的なレベルには至らなかった。

しかしレベルを二に上げたとたん、一気に増大した。やはりレベルを上げることで長するらしい。

「よしっ」

整理を終えると、達が湧いてきた。

ようやく、使い魔たちに頼らなくても戦える目処が立ったんだ。

うれしいに決まってる。

レベルを三に上げるとさすがにエネルギー殘高が心もとなくなったが気にならない。

早く試したくて仕方がなかった。

意気揚々と部屋を後にした。

早速発見したのは、六の巨大なラットだ。

きが速く、牙による攻撃力も高い。何より集団で行するめちゃ厄介な魔。かわいい見た目はトラップである。

ちなみになんどかこいつらから僕を庇って、アプサラスが犠牲になっている。

この野郎。なんどもアプさんに食らいつきやがって。

死刑確定だ。

げっ歯類の分際で、やつらの反応は速かった。

僕を確認するなり小特有のちょこまかしたきで迫ってくる。

速い。

普通のネズミのきをそのままに巨大化しているのだ。

そんなことは當たり前だった。

――でも。

勢いよく地面に手を突き、魔力を流し込む。

同時に、ネズミたちの真下から僕の目の前にかけて出現したのは、金屬でできた沼だ。

床一面――橫幅は五メートルほどで、縦は十メートルにも及ぶ。

でかい。

できた瞬間自分でも驚いた。

ネズミどもはなすすべなく足を高熱の金屬に絡め取られ、鼓をつんざくような高音の悲鳴とともに沈み始めた。

「うるさい」

ので、その上から狀のアツアツスチールをぶっかけてやると、悲鳴とともにネズミの姿は消えた。

「ふははは!! 思い知ったかこのげっ歯類風が!!」

あれだけ苦労したやつらを、こんなにたやすく倒せるなんて……笑いが止まらないぜ、まったく。

圧倒的に優位に立つと態度が以下略。

何よりいいのは、この沼、敵の強さに寄らないのだ。

どんなにかろうと、沼に落ちてしまえば生き埋めにできる。

まぁ空飛んだり金屬を吹き飛ばしたりされたらどうしようもないけど、たいていの魔はこれでいけるはず。

深さはまだそれほど深くできないし、地形上の制約もあるけれど、深さはレベルを上げることで、制限は普段から金屬類を大量に持ち歩くことで、それぞれ克服できる。

それに沼なら、度を考えなくていい。

つまり、そこにある金屬ならほとんど使えるということだ。

まぁうっかり沼の中に沸點の低い金屬を混ぜちゃって、それが気化して僕が吸い込んでしまうなんてことがあれば一大事だけど、沸點が低くないとわかってるものを使えば問題ない。

というかほとんどが沸點高いし。

結論。

この沼、使える。

「名付けてヒート・マーシュだ」

意味は熱い沼。まんまである。

恥ずかしくて悶えたのは言うまでもない。名前付けんのやめよう。

何度か魔を倒して、天敵に遭遇した。

でっかい蝙蝠だ。鋭い牙がマジ兇暴。

これも厄介な魔で、素早いのはもちろんのこと、上空から攻撃してくるから攻撃をけ止めづらい。

何よりムカつくのは、その攻撃方法だ。

を吸ってくるのだが、あれは恐ろしく気持ちが悪い。

だから死刑決定だ。

向かってくる蝙蝠を睨みつけ、地面に手を添える。

沼の弱點がまさにこれ。

飛んでるやつには効果が無い。

ならば使うのはこれだ。

魔力を込めた瞬間、壁と天井、そして地面から無數の棘がびた。

あれだけ多くの棘が八方から迫れば、いかに素早かろうと避けることはできない。

蝙蝠は無殘にも貫かれ、悲鳴もなく絶命した。

これはつかえるな。

でしか使えないが、なかなかの威力だ。

なにより、敵が飛んでいようと地面を這っていようと効果があるというのが大きい。

惜しむらくは敵がいと効果が無いということ。純鉄はいけど、この世界の魔にはそれ以上の度を持つものだっている。

たとえばスカル・デーモンだ。

それでも、戦いには十分使える。

何度か戦いを繰り返してみたが、先の二つは安定して使えることが分かった。

まだ複雑な作とかには時間がかかるが、この調子ならいくらもしないうちに自由自在にれるようになるだろう。

いいじだ。

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