顔の僕は異世界でがんばる》恨みを抱く

『みんなをっ!!』

投げ出された直後、反的に妖たちへ命じる。

視界の端に、こちらを振り向く敵ワイバーンどもの顔が映った。

消える瞬間、最後の力を振り絞って、僕のワイバーンは僕らを敵の包囲網から外へと投げ出してくれた。

けれど、それだけじゃやつらを振りきれない。

やつらにとって僕らは、おいしい餌だ。

「――っっ!!」

落下していく。

下を見ると、地面は思ったよりも近かった。

予想したほどの高度はない。

逃げているうちにいつの間にか降りてきたようだ。

それでも、落ちたらひとたまりもないだろう。

けど、今は――

「グォオオオっ!!」

ワイバーンの牙が迫る。

今は、こちらの方が危険だ。

たちはそれぞれ、みんなにつけた。

サラマンダーはワユンへ。ドリアードはリュカ姉。シルフはカリファ。アプサラスとピクシーはマルコ。

足りるだろうか。

急がなければ。

牙が僕を捉えようとして――

――王の力発

ったワイバーンの背に乗る。

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すぐにでもみんなを回収しな――

――視界が、紅蓮に染まった。

「――――っっ!!!!」

後続たちが吐いた炎だ。

ワイバーンが一瞬で焼き盡くされ、僕は再び投げ出される。

上を見上げた。

「「「グオオオオッ!!」」」

多すぎる。

空はすでに見えなかった。

無數のワイバーンで、覆い盡くされている。

その走った目はすべて、僕を捉えていた。

即、距離がまる。

召喚魔法を使う余裕はない。

短剣を構え、錬金を発した。

を守るため、金屬の半球を作り出す――

――一噛みで食い破られた。

予想はしていた。

そのタイムラグを利用して火魔法を放つ。

あれから何度も練習していた。

威力も度も上がっている。

狙いは違わず、一の眉間をとらえる。

けれど――

「くっそ!!」

止まらない。

その一きを止めただけですぐこちらを睨んでくる。

その間に他のワイバーンが迫ってきた。

正面のもう一に王の力を発

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とにかく無茶苦茶に暴れさせる。

しかし、そのワイバーンは周りの同種によって即、抑え込まれた。

何のためらいもなかった。

PCが連想される。

バグを起こしたプログラムを即知して、排除する。

まるでプログラムされているかのようだ。

全員で一つの機能を果たしている。

王の力!! 王の力!! 王の力!!

でも頼りはこれしかない。

ひたすら同じことを繰り返す。

火魔法も錬金も通用しないんだ。

これ以外にない。

「っ!?」

がくんと、魔力が削られるのをじた。

どうやら強力な相手ほど消費が激しいらしい。

王の力!! 王の力!! 王の力!!

けど、魔力殘量など気にしてはいられない。

を止めた瞬間、食いちぎられてしまう。

たとえ無駄なあがきだとしても、続けるしかない。

突如、ワイバーンが靜止した。

――悪寒。

下を見る。地面が――

火魔法!!

下へ向かって反的に放つ。

急激に勢いが制される、と同時に衝撃。

視界が暗転した。

脳裏に移ったのは、複數の園児たちの無邪気な顔。

原初の記憶。

僕はげられる側の視線に立っている。

(これは、見覚えがある。あの頃の僕が見た景だ!)

詰め込まれたゴミ。

強烈な吐き気。

痙攣する

抵抗しようともがくも、信じられない力で押さえつけられる。

視界が涙で揺れる。

鼻へ胃が詰まり、呼吸が阻害された。

苦しい。

苦しい。

そんな僕の様子を見て、さらに沸き立つ園児たち。

(きっと、僕がこのまま死んだところで、こいつらは喜ぶだけだろう)

何が楽しいのか。

何がそんなに愉快なのか。

余りの理不盡に、猛烈な怒りが奧底で弾け、亀裂からどろりとしたが溢れ出る。

マグマだ。それも、信じられないほど熱く、どす黒い。

で渦巻き、噴火の時を待つ。

なんで僕ばかり、こんな目に遭わなくちゃいけないんだ?

いやだ。

こんなのもういやだ。

「うわっ! こいつションベンもらしてるよ!!」

「うわぁっ!!」

キャッキャと嬉しそうに悲鳴を上げる。

何がうれしいんだ。

そんなに僕を苦しめたいのか。

くそやろう。

――お前らみんな、死んでしまえ。

突如、視界が砂嵐で遮られた。

様々な音が無秩序に混ざり合ったような、意味不明なノイズが頭の中に直接響いてくる。

(何が起こってるんだ?)

まるで、意図的に隠されているかのように、理解できない。

ただ、ごく小さな生きから、等大のものまで、ありとあらゆる生の生命機構――脳活が、まるで自分のもののようにじられた。

さゆえか、言語的記憶はほとんどない。

特徴である視覚的記憶、聴覚的記憶は、意図的に破壊されているように思える。

ただ、なんとなく、漫然とした覚があった。

すべてが、まるで自分の一部のような、まるで、すべて思い通りになるような――

――瞬間、急速にびていく糸のようなものがイメージされ、直後、視界が真っ赤に染まり、凄絶な悲鳴が鼓を劈いた。

「――っ」

強烈な痛みに、目が覚めた。

なにか、よくないものを見た気がする。

何を――?

いやそれよりも、何が起きてる?

「――っっ!!」

上空から降りてくるワイバーンの群れを見た。

そうだ、僕はあの後、地面に叩きつけられたんだ。

意識があるということは、どうやら生きているみたいだ。

息ができないほど全が痛いけれど、はまだく。

ワイバーンの位置的に、気絶は一瞬だったらしい。

ワイバーンが降りてくる。

まずい、早く何か手を打たないと。

酷い痛みも気にせず、を起こした。

――かちり。

何かが<解放>されるのをじた。

勝手に<解放>されるなんて、今までになかったことだ。

的に、スキルを確認する。

<王の力>

・行使者の能力以下の生を支配下に置くことが可能。隨意活、不隨意活を問わない。

・召喚魔法にて、複數の同一個を召喚することが可能。

・以下の能力を扱うことが出來る。

<喰贄>

一定時間以に死亡した全生命エネルギーを吸収し、<解放>の糧とする。

<群化>

配下の種族を一括りに意識統一させる。単への指示は一瞬で、全へ伝えられる。その命令には可能な限り、最高効率で従う。

<任命LV1>

配下一を、その種族の王に任命する(上限一種族のみ。數はレベル依存)。任命できるのは種族で最も信頼のおける単のみ。

<王権付與>

王、ロードクラスの使い魔に対し、召喚魔法を付與する。召喚できる魔の強さは対象に依存する。數の制限はない。

<配下強化LV1>

配下にある個の力を引き上げる。上昇率はレベル依存。

<配下進化LV1>

配下にある個のランクを一つ上げる。上限五。數はレベル依存。

<増LV1>

レベルに応じた使い魔を増させる。數は使用者の魔力依存。

<転移召喚LV1>

任意の地點に使い魔を召喚できる。範囲はレベル依存。

「なっ……?」

<王の力>が拡張され、見覚えのないスキルが羅列されていた。

わけがわからない。

けれど、能力の使い方自は、一瞬で理解できた。

ワイバーンが迫る。

その巨大な口が、僕を喰らうため大きく開かれる。

とにかく今は――

――スキル<任命>発

種族は妖

王をピクシーに設定。

続けてスキル<王権付與>発

ピクシーに召喚魔法を付與した。

『ピクシー!! ワイバーンを蹴散らせ!!』

開かれたワイバーンの口腔が、今にも閉じられようとして――

――目の前が、真っ白になった。

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