自由のになって５日目。

今日は狩りに出る事にしたシローの狙いはレッドアイズラビットとアースボアだ。

この２種類の魔のは味しいと聞いたのだが、持っていたを全て売ってしまってから聞いたので食材調達の狩りとなる。

この先、旅をする為に食材はいくらあっても良く、旅の準備を兼ねての食材調達になる。

そしてデリンボのところで購した鋼の片手剣の使い勝手も確認しがてらの狩りになる。

因みに鋼の片手剣の切れ味は流石でシローの手によく馴染む事でシローは夢中になりすぎてついつい狩りすぎるのだった。

６日目は宿屋の廚房を借りて料理をする。

將さんのジルさんに何度も頼み込んでやっと廚房を借りる事ができたが、早々に引き上げなければならず時間を有効に使う必要がある。

早速ウサギのローストを作りそのウサギのローストを野菜と一緒に生地で巻いたトルティーヤ、ボアのステーキ、ボアのベーコン、野菜とウサギのスープを作り、廚房を貸してくれたジルさんにもしおすそ分けする。

「このはアースボアかい？干しとも違うようだけど匂いが良いね」

ボアのベーコンをひとかじりして更に目を見開くジル。

「干しとは全然違って塩辛くないし、くはないけどしっかりと歯ごたえもあり、いいね。気にったよ！」

「有難うございます。これはベーコンのレシピです」

「こんな大事なものを良いのかい？」

「構いませんよ、今後はベーコンもメニューにると期待していますから」

「あははは、そうだね、期待してておくれ」

前世では料理が得意だったと言うよりは山に篭って野ウサギやイノシシなどを猟していたシローなのでこのような料理は嫌でも覚えている。

それでも念のために【料理人】のスキルを取っている。

この【料理人】のスキルはレアスキルになり、実を言うとノーマルスキルに【料理】と言うスキルがあるのだが、當然の如く【料理人】の方が良いスキルだ。

この２つのスキルの違いは【料理】は才能値であり努力すればそのレベルの料理が作れると言うものに対し、【料理人】は実力値で既にそのレベルの料理が作れると言う意味なのだ。

これは【剣】と【剣士】などの戦闘スキルにも當て嵌まり、【剣】が才能値で【剣士】は実力値となる。

シローは最初【剣】を【チート】に願い取得し、才能値だという事に気付かずに【剣】のレベルを上げようとして剣を振っていたのだが、いつまで経ってもレベルが上がらない事で不思議に思っていた。

そこで【剣】スキルについて調べてみたら【剣】は才能値で努力してもレベルが上がらない可能があると気付いたのだ。

そして自分が努力ではスキルをばせないと気付いたのもこの頃で、シローにとっては死にスキルとなってしまった。

才能値のスキルと実力値のスキルがあるシステムだったと分かった時はちょっと予想外だったので神様をし恨んだシローだった。

勿論、全てが當て嵌まるわけではないようだが、最初に教えておいてしかったと今でも思っている。

７日目は午前中にオークを狩りに行く。

青いで長が２ｍ近い人型の魔のオークはが味しいと聞いたので追加の食料調達だった。

人型なので殺す事に抵抗があるかと予想していたが、そうでもなくサクサクと狩ってしまった。

恐らくだが【エクリプ神の加護】の『狀態異常無効』の効果ではないだろうかと考えるシローだった。

オークは顔が豚なので予想はできたが豚のような質でオークも良いじでシローの胃袋とストレージに納まって貰う。

翌日のオークションはギルド會館の２階にある大ホールで行われる。

ギルド會館は４階建ての大きな建でフロアーあたりの面積は日本の小學校などにある育館より大きくじる。

時代的に中世ヨーロッパ程度の文化レベルなのでこれだけの建を建てるのは大変だろうと思っていたら、建の構造は基本的に【地魔】や【地魔法】で造るそうだ。

その為に建は大きな空間を確保する事もできるが、【地魔】や【地魔法】の使い手で【建築學】や【建築家】を有している者はないので商売としては引く手あまたらしい。

シローは翌日のオークションの前にデリンボの店で頼んでいた刀と革鎧をけ取る予定なのでデリンボの店に向う。

街中でシローが聞いた噂話ではデリンボはこの街１番の鍛冶師で名人デリンボと言われているらしい。

店でデリンボが鍛えた剣を実際に見ているシローはその噂に納得し、そんなデリンボに刀を売って貰えると思うと嬉くてたまらないので足取りも軽いというか、思わずスキップをしそうになる程である。

「素晴らしいですね。こんな綺麗な刀には初めてお目にかかります」

漆黒の刀も素晴らしかったが、ジャイアントモウの角を鍛えたこの刀は凄いとしか言いようがないと言うのがシローの初見の想である。

アイテム名：猛牛の暗刀あんとう

スロット：２

主素材：ジャイアントモウの角、ミスリル、黒曜石

効果：攻撃＋３００、刺突強化（中）、自己修復（小）

強度：１，０００

條件：ＳＴＲ１００以上、ＤＥＸ８０以上、ＩＮＴ５０以上

アイテム名：牛斬うしきり

スロット：２

主素材：ジャイアントモウの角、ミスリル

効果：攻撃＋３４２、斬撃強化（中）、自己修復（小）

強度：７６０

條件：ＳＴＲ１５０以上、ＤＥＸ１００以上、ＩＮＴ５０以上

アイテム名：癒しの革鎧

スロット：１

主素材：ジャイアントモウの皮、黒曜石

効果：防＋２５２、自己修復（小）、ＨＰ自回復（小）

強度：２，１６０

條件：ＳＴＲ５０以上、ＶＩＴ１００以上、ＡＧＩ６０以上

「この反り上がったフォルムが良いです！　革鎧と短い刀の方は黒く俺好みですし、長い方は切れ味が良さそうですね。」

「がははははっ！　気にったか？　３つとも銘つき・・・の逸品じゃぞっ！　黒はシローの好みぽかったからな、その黒い刀の方が『猛牛の暗刀』というのだが刺突に優れておる上に自己修復の能力まであるんじゃ！　それと白い方が『牛斬』と言い斬撃に優れているしこれも自己修復付きじゃ！　革鎧の方は『猛牛の革鎧』と言い斬撃に強いし自己修復の他にＨＰ自回復もあるぞっ！」

デリンボは自慢げに鼻のを広げ鼻息荒く捲くし立てる。

通常のアイテムであれば『種類』と言う所に『○○の刀』など、種類が表示されているのだが、この３アイテムは『銘つき』の為に『アイテム名』となっている。

この『銘つき』と言うのは品質が良く、更に付加価値が高いものに自然と付く事があるのだ。

「とても素晴らしいものですね！　俺が予想していた以上の出來ですよ！　有難うございます！」

「おう、気合をれてやったからな、かなりの力作ができたぞ！　それとこれも終わっておるからの」

デリンボは打ち直しを頼んでいた剣も用意していたのだが、その打ち直した剣が新品同様に仕上がっていたのでシローは満足する。

何度も謝の意を伝え、デリンボの店を後にすると早速試し切りしたくなるのが人のってもので、西の森に向うシロー。

知系スキルをフル活用し手頃な魔を探し、そしてヒットしたのが今シローの目の前でシローを睨んでいる魔だ。

ジャイアントモウやフォレストリザードよりも大きい反応だったので何かなと思い來てみたが、それなりの大に當たってしまったようだ。

■ 報 ■

クィン

ビックバンベア　74歳　雌

森の王

■ 能力 ■

ＨＰ：8,340/8,340

ＭＰ：366/366

ＳＴＲ：320

ＶＩＴ：340

ＡＧＩ：230

ＤＥＸ：180

ＩＮＴ：40

ＭＮＤ：20

ＬＵＫ：30

■ レアスキル ■

化Ｌｖ５

咆哮Ｌｖ５

格闘家Ｌｖ５

■ ノーマルスキル ■

臭覚知Ｌｖ５

鉤爪Ｌｖ５

突進Ｌｖ５

強化Ｌｖ５

■ 狀態 ■

興狀態

■ 弱點 ■

火

どうやらこの西の森の主ぬしに遭遇したようだ。

何で興狀態なのかは不明だが、形のシローに會って興しているわけではないだろう。

ステータスを確認する限り理系の能力がシローよりもやや高いが、他の能力やスキルからすればシローには及ばない。

ただ、スキルの【化】があるのでどこまでくなるのかがカギだろう。

そして弱點はまたもやシローの使えない火となっているので考えない事にした。

シローが驚いたのはクマなので２足で立っても不思議とは思わないが、このクィンは２足歩行で普通に歩いたり走ったりする。

普通にしていてもプレッシャーを醸し出す格だが、２足立ちすると５ｍ以上にもなるその巨の威圧は半端無い。

殆どの魔はシローより格で勝るのだが、これだけ格で劣るとシローでもし気弱になる。

「・・・いつまでも睨み合っていても仕方がないので、殺り合いますかね」

シローはデリンボが鍛え上げた牛斬を腰に攜えており、その牛斬を鞘からゆっくり抜き放ちやや下段に構える。

「森の王よ、俺に目を付けられた不運を呪うが良い」

シローは自分に言い聞かせるように、そして勇気をい立たせるように呟く。

「ガルルルルゥゥゥゥ」

どちらからともなくお互い間合いを詰めるとクィンは右前足を突き出してきた。

クィンからすれば大して力をれていないパンチのようなものだが、これを普通の人間がければ間違いなくがミンチになり死ねるほどの威力があるだろう。

だが、シローにその程度のパンチが當たるわけもなく、シローはクィンのパンチをの重心をしずらす事で躱し、その右前足目掛け牛斬を切り上げる。

しかしクィンもさるもの、右前足を寸でのところで引き戻したと思うと間髪れずに左後ろ足で蹴りを放ってきたのでシローは大きく後方に飛び退く。

「【格闘家】なのを忘れていたわけじゃないけど、蹴りまで放ってくるとは思ってもいなかったよ。お前は本當にクマなのか？」

「ガルゥゥゥ」

クィンがニヤリと笑ったように見えた。

クマなのに人語を解すのか？　とシローが瞬考するが、それはもうし殺り合ってみないと分からないだろう。

今度はシローから仕掛ける。

「ハァァァァッ！」

地面を蹴り瞬時にクィンの懐にりクィンの左後ろ足に向けて牛斬で斬り付けようとしたが、クィンは躱すどころかヤクザキックでカウンターを狙い反撃してきたので軽く左に避ける。

この王クマ様は人間じゃないの？　と思うようなきだ。

「やるねぇ、流石は王だ」

「ガルゥゥゥ」

攻守を変え今度はクィンが間合いを詰め、用に４本の足・・・もう両手両足で良いだろう、を駆使してパンチと蹴りを雨あられのように放ってくれる。

所謂、ラッシュというものだ。

一発でも當たれば死なないまでも大ダメージは確定のラッシュが続く中、シローは冷靜にそして慎重にクィンの攻撃を紙一重で避ける。

シローがパンチと蹴りのラッシュを躱しきるとクィンは不満げな顔をしているように見えた。

（この王クマ様は絶対人間だろっ！）

シローの心の聲が聞こえたのかクィンは両足でモハメド・○リもビックリのステップを踏む。

（蝶のように舞い、蜂のように刺す！　ってか、キックも出してたくせにボクサーかよ！）

心の中で聲にならない突っ込みをれ、今度は自分の番と言わんばかりにシローがく。

傍からみたらゆっくり近付いたように見えるが、そのきに一切のブレや隙はなく自然と牛斬を振り下ろす。

クィンは後方に引くが、シローが牛斬を振り下ろした時に斬撃を飛ばしているので斬撃がクィンを追いかける。

クィンはその斬撃を躱すのを諦め素早く手をクロスさせ防姿勢をとり、斬撃をけ止めるが流石に無傷ではなかった。

深くはないがそれでも傷を付けられたのは數十年ぶりだったクィンは驚愕した。

そして向かい合い殺りあう相手が只者ではないと改めて認識するのだった。

「やっと傷をつける事ができたな。俺の本気はこれからだぜ！」

両手にズキズキと疼く傷を負ったクィン。

２人は數秒見つめ合い、そしてシローがジリジリと間合いを詰める。

しかしクィンは何を思ったのか後方に走り出した。

何をするのかと暫し距離を置き観察をしたシローだったが、クィンが逃げにったと気付く。

（マジかっ！　これからだろうがっ！）

シローの斬撃をけて実力差が分かったのだろう、クィンは一目散に逃げをうつ。

が、シローは當然の如く追いかける。

クィンは木々を用に躱して２足歩行で逃げる。

クマなのに逃げるときまで２足歩行っておかしくないですか？　と突っ込みたくなるが、そこはグッと堪えてクィンを追うシロー。

クィンと遭遇した場所は西の森のかなり奧だったが、クィンが逃げる先は切り立った巖山がそびえ立つ場所だ。

カウラニの街の冒険者は通常はここまで奧にはって來ないようで、人間の反応はどこにもない。

クィンは巖にポッカリとあいたにって行ったのでシローもの中にろうかとの前まで移する。

しかし【空間把握】に出ている反応を見てるのを止める事にした。

どうやらこのはクィンの巣のようでシローの脳マップにはクィンの子供が居るのが分かったからだ。

クィンが興狀態だったのは子育て中だったからだと妙に納得するシローだった。

魔とは言え、子育て中の母親であるクィンを殺すのは流石に気がひけたシローは巣から離れていく。

死力を盡くして戦ったがないので不完全燃焼だったが引き上げる事にし、もうすぐ夜になってしまうのでカウラニの街までは走って帰る事にした。