《チートスキルはやっぱり反則っぽい!?》チート! 014 ドワーフはやっぱり酒飲みでした!

翌日の目覚めは最悪だった。

シローの母であるカリンはシローを探し出してどうしたいのか?

見つけたらまた閉じ込めるのだろうか?

それともお前など要らぬと言いたいのだろうか?

そんな考えが頭の中をグルグルと巡る。

(あ~もう、考えるのは止めよう! こんな事を考えても良い事はないさっ!)

それに俺は兄姉の誰かに殺されかけたのだから・・・と心の闇を目に宿す。

あの日、シローが前世の記憶を思い出した切欠となった階段からの落下は誰かに背中を押されたからだ。

あの家に居たのは姉と2人の兄に2人のメイドだけでメイドの2人は1階に居るのを直前に確認しており、犯人は3人の兄姉の誰か・・・もしくは皆である。

親に殺されかけるなんて最悪も良いところである。

不幸中の幸いと言うべきか、シローは記憶が戻り【チート】が使えるようになったので、殺されないように自衛ができるようにと【チート】を駆使して守りを固める事ができた。

(・・・あの家の事を思い出すのは止めよう)

丁度その時にスノーが扉がノックしたので部屋の中に招きれる。

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スノーも昨日は命を狙われ混しており大変だろう。

もしかしたらこの先も同じような事はあるかも知れないのでここでヘタっていてはこの先潰れてしまうだろう。

しかしこう言う事は本人が克服しなければならないもので、シローは隣でそっと見守ろうと考える。

「ご主人様、昨日のカリン様のお話はご主人様の事ではありませんか?」

落ち込んでいてもそういう事は考えれるものなのか、それともが良いのか、とシローは考えてしまい苦笑いを浮かべる。

「何故そう思うのかな?」

「・・・ご主人様が苦しそうに見えます」

「そうか・・・その話はもう止めよう。俺たちには関係ない事だ」

「しかし・・・いえ、分かりました・・・」

主人であるシローが止めろと言えば止めるのが奴隷だ。

シローはあの家の事は思い出す気はないし、思い出したくもないのでこれで終わりにさせる。

卑怯だとは思うが、それでも主人の権限を使う。

「今日は旅の仕度をしたいのだが、その前にスノーに話がある」

「はい、伺います」

「俺がスノーを購したのは鉱山へ送られるのが不憫だと思っての事だ。これは良いね?」

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「(コク)」

「この先の話は一切他言無用で頼むよ。良いね?」

「(コク)」

「実を言うと俺はスノーを綺麗だと思っている」

「えっ?・・・しかし・・・」

スノーはシローの言葉を聞き流石に驚いているようだ。

それもそうだろう、シローがスノーを綺麗だと思っているという事はスノーの呪いの影響をけるはずなのだから。

「俺にはあるスキルがあり、呪いの影響をける事はない」

敢えて加護の事は何も言わない。

「そのようなスキルが?」

「スキルの事はなので詮索は無用だよ」

「(コク)」

「この事に関してはだけどこの話しをするのが目的ではない。こっからが本題なのだけど・・・」

「(ゴクリ)」

スノーが生唾を飲み込む音が聞こえたが、そんなに張する必要はないとシローは思う。

「スノーの呪いを解く事はできると思う」

「えっ?!」

「斷定はできないが、『解呪』は可能だと思っている。但し、呪いを解くにはいくつかの條件があり、それを今から話したいと思う」

「・・・はい」

呪いが解けると言われればスノーでなくても嬉しいだろう。

期待をするのは仕方がないだろうが、シローを見つめるスノーの目は歓喜と期待で溢れている。

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「スノーの呪いは非常に強力で殘念ながら【魔法】では『解呪』できない」

「・・・」

上げて落とすのか! と、言わんばかりにスノーは落膽する。

「【神聖魔法】であれば『解呪』できる、のかと言えば殘念ながら【神聖魔法】だけ・・でも『解呪』はできない」

再びの上げ落とし!

しかし、シローにはそんなつもりはなく、しっかりと説明をする為の前説だ。

「では・・・私は・・・」

「最初にも言ったけど『解呪』はできるはずだから」

「・・・はい」

「『解呪』の條件が厳しいので暫く俺の傍にいる必要があるだろう。スノーの呪いを『解呪』する條件を全て揃えるのに結構な時間がかかると思ってくれれば良い」

MNDが300は既にクリアしているが、【神聖魔法】のレベル7が必要でこれだけであれば1週間もあれば取得は可能だ。

しかし解呪後に再びスノーの命が狙われる可能もあるのでスノーにはある程度の力を付けさせるつもりでいる。

その為、月単位の時間が必要だとシローは思っているのだ。

そしてMNDと【神聖魔法】を揃えて『解呪』を試してダメならエクリプ神の神格が低かったと諦め【チート】による『解呪』を試みる事になる。

「ご主人様の傍に居るだけで呪いが解けるのですか・・・」

「細かい事は説明しないけど、そうのような能力が俺にはあると思ってくれれば良い」

ベッドの縁に座っているシローの足元でスノーは涙を流してシローの足にすがり付く。

傍から見ればシローが奴隷をめているようで、実際に見られたら間違いなく勘違いされるだろう。

「私を傍に置いて頂けますか?」

「そのつもりだよ。そして呪いが解けたら奴隷からも解放してあげよう」

「そんな・・・本當に・・・良いのですか?」

シローはスノーの顎に指をあて、スノーの顔が見えるように上に向ける。

「大丈夫だ、きっと呪いは解ける。そして奴隷からも解放するよ」

「有難う・・・座います」

スノーの呪いをすぐに解呪しないのはスノー側の準備を整えさせる目的もあるのだが、シローがスノーを完全に信じていないからでもあり、更にスノーの呪いを解呪したのがシローだと他者にれるのを嫌っての事である。

こう言った事もありシローは時間を掛けスノーが信用できるのか確認をし、更に時間を掛ける事で他者にシローたちの関係をぼやかせて見せる目論見がある。

そしてシローの傍に置く事でスノーに男に対しての免疫をつけさせる為でもある。

これは街中を歩いている時にスノーに男が近付くとし怯えた表をする為でシローはそれを見逃さず見ていたのだ。

スノーが泣き止むまで暫く待ち、朝食を摂って明日からの旅に必要なを用意する為に街に繰り出す。

旅の目的地はカウラニの街から南に南下した國境の先にある街だ。

つまり隣國に行くのだ。

冒険者には國境は関係なく國と國を移するのは自由なので、シローはこの國を出て他國に行こうと思っている。

この國に居ると々面倒な事になりそうだからだ。

野菜や果に調味料などを大量に買い込み、更にジルさんに作って貰った料理などをストレージに大量に詰め込む。

今回の旅は歩きの予定なので野宿も考慮した買いをスノーとする。

何だかデートをしているみたいだとシローは思うのだが、スノーを1人にすると馬鹿が近付かないとも限らないのでシローの傍に置いているだけだと心の中で言い訳をする。

そして夕方前のまだ混み始めていない時間にギルド會館に足を運びメアリーにクリエラの事を聞くと別室に通される。

「彼はスノー様の許婚だった方の家で働いていたそうで、とても良くして頂いたそうです。つまり・・・復讐ですね」

「そうですか、それで彼は奴隷に?」

「はい、初犯ではありますが殺人未遂罪ですから8年は奴隷として生きて行く事になります。奴隷の売卻金額は15萬レイルですので、シロー様には12萬7千5百レイルが支払われます。報奨金が1萬レイルですから合計で13萬7千5百レイルとなります」

「今回の支払いの中から10萬レイルをスノーの名義でギルドに預ける事は可能ですか?」

「可能ですよ」

「では、10萬レイルをスノーの口座に、殘りは現金でお願いします」

「分かりました、々お待ち下さい」

メアリーが部屋を出て行くとシローの橫に座っていたスノーがシローの服の裾を握っていたのに気付く。

「彼を無罪には出來ませんか?」

「スノーの命を狙ったのに?」

「はい・・・彼も呪いの犠牲者だと思うのです」

「それは出來ないだろうね・・・賞罰に罪狀が載っているいる以上は彼は犯罪者なのだから・・・」

スノーもその事は分かっているのだろうが、言わずには居られないのだろう。

そして犯罪を犯した者は刑をけるか、奴隷になるしかないのだ。

スノーは何人かを死においやっているが、それは呪いのせいでありスノーの責任ではない為に犯罪とは認められないのだ。

だからスノーは犯罪奴隷ではなく通常の奴隷なのだ。

「お待たせしました、金額をご確認下さい」

「確認しました、有難う」

戻ってきたメアリーから金をけ取り鞄の中にれると、明日この街を出る事をメアリーに告げる。

「そうですか、シロー様は期待の新人でしたから殘念です」

「貴方の実績になりませんものね」

「うふふ、そうですね。しかし、寂しくなりますね」

いつまでも思いにふけっているわけにも行かないので、メアリーに別れを告げギルド會館を後にする。

しかしまだ宿には帰らない。

シローが最後に向ったのはデリンボの店だ。

店にる頃には日も暮れ始め、デリンボの店も閉店を迎えるところだった。

奧さんが店の中を掃除していたので簡単に挨拶をしデリンボの所在を確認する。

「おう、ん? その娘は?」

「こんにちは、デリンボさん。彼はスノーって言います」

「スノーです。宜しくお願いします」

「おう、デリンボだ」

「スノーはしわけありで男られるのがちょっと無理なんです」

デリンボが差し出した手を見てどうすれば良いか困った顔をしているスノーがいたのでシローがやんわりデリンボに斷わりをいれる。

「そうか、それはすまなんだな」

「申し訳ありません」

ペコリと頭を下げるスノーは申し訳ないという表だ。

「それで今日はどうしたんだ? まさかスノーを見せびらかせにきたわけではあるまい?」

「明日、この街を離れる事にしましたので、その挨拶にきました」

「そうか、お主の仕事は面白かったので殘念だな。他の地に行っても生き殘れよ」

「はい、有難う座います。それでこれを・・・」

シローはストレージから大きな樽を取り出し、ドンと床に置く。

12歳であるシローのであればスッポリと中にれてしまうほどの大きさの樽だ。

「これは?」

デリンボが樽をマジマジ見つめ生唾をゴクリと飲み込む。

この樽の中が何かドワーフのデリンボであれば分かっているのだろう。

奧さんも中が分かってしまったので、舌なめずりをしている。

流石はドワーフだ! と心する。

「先日、俺の為にデリンボさんの酒がなくなると聞きましたので、これまでのお禮と謝の気持ちです」

「良いのか?」

「勿論です。その為に持ってきましたので」

「よし、かーちゃん飲むぞっ!」

「あいよっ!」

流石はドワーフの夫婦だと言うべきか、酒樽を2人で持ち上げ奧に持って行く。

「お前たちもこいっ!」

酒樽を軽々運ぶ夫婦を見て呆然とするシローとスノー。

(あの樽って100Kgとは言わないが數十Kgはあるよね? いくらドワーフが力持ちでもそんな軽がると持ち運べる重量じゃないと思うのだけど・・・)

呆然としていたシローとスノーは店に戻ってきて鍵を閉めた奧さんに連れられ奧の自宅に通される。

シローは12歳なので飲めないと斷わりをれるもデリンボはシローとスノーのジョッキに酒をなみなみと注ぐ。

ドワーフにとって酒は水のようなもので年齢など関係ないのだ。

因みにスノーも14歳で日本で言えば未年ではあるが、この世界では既に共に人である。

「先ずは駆けつけ1杯だ、飲めっ!」

前世でも飲んだ事のないアルコールをまさか12歳で飲む事になるとは思っても居なかったシローはおずおずとジョッキに口をつける。

スノーも勧められるまま酒のったジョッキを口に持っていく。

酸味がありフルーティーだがし癖のある飲み心地で、不味いと言う事もなくスーッとを通り過ぎる。

スノーはジョッキには躊躇したものの酒には抵抗がないようだ。

「スノーは酒を飲んだ事があるのかい?」

「食前酒などはよく口にしておりました」

シローは「ああ、姫様だったね」と心の中で呟く。

しかしスノーはまだ14歳なので、いつから飲んでいたのか気になってしまう。

そんな事を考えながらジョッキを大きく傾ける。

「おう、シローは良い飲みっぷりだな」

ワインに良い飲みっぷりという言葉が合うのかが微妙だがジュースのように飲めてしまう。

スノーはしずつ口に含むじで自分のペースで飲む。

「はい、お待たせ!」

奧さんがもう1人ドワーフのと料理を持ってきた。

「この子は私たちの娘だよ」

「ペームって言うんだ、宜しくね」

シローとスノーも挨拶し5人でも酒盛りが始まった。

料理はが中心のドワーフ料理らしく味が濃い目になっているが、決して塩辛いとか甘ったるいというわけではなくシローやスノーでも味しいく食べる事ができる料理だった。

「お主、スノーとか言ったな。シローを頼むぞ」

「はい、一杯お世話いたします」

デリンボは水のようにワインをグビグビに流し込んでいき、豪快に料理を手で摑み齧りつく。

こうして見ているとドワーフという種族は西歐のバイキングのような豪快なじだと見た事もないバイキングを思い浮かべるシローだった。

奧さんも娘のペームもデリンボ同様に水のようにワインを飲み、料理の方はデリンボのような豪快な食べ方ではなく普通にフォークとナイフを使っている。

も手摑みの豪快な食べ方でなくて良かったです。絵面的に・・・)

シローは酒をいくら飲んでもほろ酔いにもなる事はなかった。

恐らくだが【エクリプ神の加護】の『狀態異常無効』が仕事をしているのだろう。

スノーは既に酔い潰れており、部屋の隅で寢ている。

しかし流石と言うべきはドワーフだ。

デリンボも奧さんもペームも赤ら顔にはなっているが、酔い潰れる素振りはない。

シローの數倍は飲んでいるはずなのだが、まさに水のように飲む親子3人。

「シローは酒に強いな!」

「本當だよ、そんなに飲める人族は滅多にいないよ!」

デリンボと奧さんは座った目でシローを見つめるのでちょっと怖い。

ペールは酒を呷るのに忙しいようで會話より酒のようだ。

そんなじで夜が更けていき、デリンボ一家にご馳走になったお禮を言って真っ暗になった街をスノーをおんぶして宿屋に向けて歩くシロー。

流石にこの時間になるとすれ違うのは冒険者風の酔っ払いが多いなどと思いながら夜道を進む。

(特にイベントはありませんよ?)

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