《チートスキルはやっぱり反則っぽい!?》チート! 035 迷宮都市ヘキサ5
憤怒の形相をしたシローに魔導ギルドの重鎮であるバンデ・バデ・デンバは殺気に當てられ今にも気を失いそうになっているが辛うじて意識を保つ。
「し、シロー殿……すこし……殺気を抑えてくれぬか……」
「魔道ギルドに來いと言われ行ってみれば、不意打ちを喰らいスノーが攫われた。これで殺気を抑えろと言う方が無理な話ではないでしょうか」
丁寧な言葉使いであるがシローは怒りを抑えることもせずにデンバと対する。
「それに……ついては、申し訳なく、直ぐに捜索隊を編を……」
「捜索隊は不要です。俺がスノーを探しますので」
「しかし……」
「それよりも犯人は俺の自由にして良いですね?」
一応は確認のを取ってはいるが、シローの殺気が、視線が、犯人を殺すと言っている。
「で、できれば……捕縛し引き渡してしい……のだが」
「善処します」
そう言うとシローはスクッと立ち上がり部屋を後にする。
「まったく……ベットーネあのバカは何をしてくれるのだ……」
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シローの後姿を見送った後ボソリと呟くデンバ。魔道ギルドのギルド會館を破壊し多くの職員や魔導師たちを死傷させたアキムの馬鹿さ加減に辟易し今後の魔道ギルドの立て直しをどうするか頭を痛めるのであった。
綺麗なりになって消える魔。それが10や20ではない數発生した。
シローの前に立ちはだかる魔は盡く無慈悲に瞬殺される。
「シロー殿、この先にスノー殿が?」
「ああ、間違いない。この奧にスノーが居る」
シローは【サーチマップ】を最大限に使いスノーとその周辺に居る適反応を既に認識していた。
スノーの周囲には適反応が5つ。そしてスノーたちが居る部屋と思われる場所を守る様に魔の大群が待機していた。
ここは『炎の迷宮』の25層。前人未到とも言える階層である。
そんな階層にスノーを連れ去ったアキム・ベットーネは奴隷たちと共に広い部屋のような場所に立て籠もっているのだ。
シローは『炎の迷宮』の23層まではダンジョンの床を破壊し降りてきたが、23層の床が思いの他強固で破壊するのに手間取ったので普通にダンジョンを攻略しながら25層までやってきた。
そしてアキムが立て篭もっている部屋の前には百を超える魔が犇めいていた。
「待ってろよ、スノー」
現れる魔をジーナがけ止め、アズハが切り裂く。2人の息はピッタリである。
立ち塞がる魔を盡く退けるとやがて大量の魔が蠢く通路に出る。多くの魔の為に通路の先が見えないほどの數だ。
「多いですね、突っ込みますか?」
「いや、ここは俺が殺る」
シローはスーっと2人の前に出ると手を前に翳す。そして大量の魔力が手に集まってくると【超越魔法】を発させる。
「イカロスの怒り」
手の先から膨大な炎が噴き出す。その炎はとてつもなく高溫でまるで太フレアのような猛烈な炎だ。
そんな業火が通路を埋め盡くしている魔を飲み込む。そうなるとどうなるか、通路の床や壁をも焼きあれほど居た魔は消滅していた。
「ほぇ~凄いです~」
「ああ、まったくだ」
本気になったシローを誰が止めれると言うのだろうか?
もし止めれる者が居るとすればそれは……今は囚われのとなったスノーだけであろう。
「行くぞ」
突き當りの黒焦げとなった扉の前に立つシローたち。
扉はしっただけで脆くも崩れ去った。
「うひゃひゃひゃ、隨分派手にやったじゃないか」
「……」
そこに居たのはアキム・ベットーネ。そして4人のだった。そして更に扉があった。
4人のはアキムが座る椅子の左右に2人づつ分かれて立っていたが、次の瞬間そのはバラバラとなって吹き飛んだ。
「……」
シローが放ったエアロスマッシャー、つまり大量の鎌鼬がアキムたちを襲ったのだがアキムは辛うじて防をしたが瞬時のことで自分以外を守ることができなかったのだ。
「スノーはどこだ?」
「な、何してるんだよっ!私のハニーたちが……」
「もう一度だけ聞く、スノーはどこだ」
酷く低い聲だ。
シローの後ろにいるアズハとジーナの背筋にうすら寒いものが走るほどに。
「ふふふふひゃ~っは~、どこに居るかだと?……さ~ねぇ、探してみてらそうだ~い」
アキムの後ろにある扉の先にスノーが閉じ込められていると普通に考えが浮かぶ。
アキムは椅子から立ち上がりしずつその扉に近付く。
「止まれ、それ以上けば問答無用に殺す」
「ひゃ~っは~、さっき行きり殺そうとしたくせに何を言っているだ~」
アキムの言う通りである。
「なるほど、言う気はないか?」
「ひゃ~っはっはっはっはっは~、何で紅蓮の魔師であるこのアキム・ベットーネ様が貴様ごときの言うことを聞かなければならないのかな~」
その言葉を聞くや否やシローは有り余る魔力を発させるように発する。
それをじたアキムも素早く魔法を発させる。
「ギャーッ!」
地力が違い過ぎると言うのは時に殘酷な結果を齎もたらす。
魔導師の稱號を得ていたとしても人の領域を出ていないアキムと既に人の域をしたシローでは例え同じ魔法を発させたとしても威力に差が出る。
明らかに自力の差があり過ぎて戦いにもならないのだ。
アキムは中が焼け爛れたが何とか生きていた。
「にゃ、にゃぜだ!?にゃぜこのぎゅでん「うるさい!」ギャウッ」
シローに毆り飛ばされたアキムが數メートル後方に何度かバウンドして止まった。ピクピクと痙攣しており、どうやら失神しているようだ。
魔導師は撃たれ弱いのだ。
「チッ、たった一発で気を失うかよ!」
「無理もない、シロー殿の拳をけて立っていられる者の方が可笑しいのだ」
「はいです!一撃必殺です!」
シローは気を失っているアキムに蹴りを喰らわすとアキムは壁に激突した。
気を失っている相手を蹴飛ばすほどにシローは怒っており、容赦する気はないのだ。
「アズハ、そいつをこれで縛り上げておいてくれ」
「はい!」
シローは取り出したロープでアキムを縛り上げるように指示すると扉の前に立つ。
この先にスノーが居るのだと逸る気持ちを抑え扉のノブに手をかける。
ギーっと音を立てて扉が開きその先に踏み込んだシローが見たものは……
「……な、何なん……だ?」
「これは……」
シローとジーナは目の前にあるものを見て呆然と立ち盡くした。
ジーナとアズハはシローの部屋の前で困り果てていた。
シローが自分の部屋に籠ったきり出てこないのだ。
この狀況が既に3日続いている。
「困ったものだ……」
「仕方がありませんよ、奧様が……」
「それは分かるのだがな……このままではシロー殿のがもたないだろう……」
あの日、アキムを毆り飛ばし蹴り飛ばしたあとシローはスノーを発見した。そう発見したのだ。
しかしシローが見たのは赤くき通るクリスタルに閉じ込められていたスノーだった。
シローはそれを見て暫く放心していたが、我に返るとそのクリスタルからスノーを助け出そうとしたが、そのクリスタルがどうしても壊れないのだ。
そして気が付いたアキムが言い放った言葉が「と言うものは時と共に薄れていく、だから私はスノーに永遠のしさを與えてやったのだ!」だ。
それを聞いたシローが切れたのは言うまでもない。
アキムは顔をボコボコにされ中の関節を砕かれ舌を抜かれて魔道ギルドに引き渡された。
ジーナとアズハが止めなければ今頃アキムはあの世でナンパでもしていただろう。
シローはスノーを助けるために考えられる全てを試したが、殘念ながらスノーを助け出せてはいない。
奧の手である【チート】を使ってもクリスタルは壊れることなく存在し続けたのだ。
そしてシローは世界に絶したのだった。
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