《異世界を追い出された俺は──元の世界でハーレム作りに勤しみます【凍結】》俺は転生である

すぅー。

はぁー。

すぅー。

はぁー。

「よし!」

教室へと、いざ行かん!

パチ。

目が、覚めた。

と同時に起き上がって戦闘勢をとる。

くそっ!

ここはどこだ!?

俺はつい先ほどまで、元仲間と命がけの追いかけっこをしている最中だった。

どういうことなのだろうか。

いつも背に向けられていた濃厚な殺気が忽然と消えている。

現狀の把握は、ここが何処か知る手がかりにもなる筈だ。

えっと、取り敢えずベッドから下りて椅子を引いて。

座って。

機に肘をついて。

………………。

椅子?

機?

誰の?

ほぉわっつ?

驚き過ぎて思考が麻痺してしまった。

ここは──もしや、我が家の自室ではないか。

俺が生まれ育った世界の。

いや待て。

安直に決めつけるのは良くない。

男の子なら皆が隠しているだろう例のブツの場所を確認。

……よし、ある。

中學二年生を経験した者なら皆が記していただろう日記の中を確認。

……うん、俺の筆跡だ。

近所迷になるから聲を抑え、小さくんだ。

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「いぃぃぃやっほぉぉおおおい!」

念願の、家である。

特に裏切り者と罵られてからは願って祈ってんだ帰宅である。

とここまで喜ばしいことが続いたが、この後が重要だ。

俺が異世界に召還されてから何日が経過しているのか。

よくあるだろう、元の世界と異世界での時間経過の差異。

あちらで隨分過ごしてしまっている。

この部屋が俺がいなくなった時と全く変わらないのも、その、親がこの部屋をそのままにとって置いてある、的な理由からだった場合こんなに歓喜している暇などない。

本當のことは話さないにしろ、いなくなってから今まで何をしていたのか説明する義務があるだろう。

「目覚まし、目覚ましっと」

ベッドの枕元に置きっぱだっためざまし時計を手にして裏を向ける。

電池はまだ使えていることを前提として……あまり、年月が過ぎてませんように!

それこそ神様、異世界の神だろうが構わないから祈るような気持ちで時間を確認した。

「2018年の4月10日……」

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俺がこの世界から無理矢理連れ出されたのは確かーー4月7日。

たった三日だ。

様に召還されてしドキドキして。

こんな強くもないしかっこ良くもない俺について來てくれるって仲間と出會って。

一緒に冒険して旅をして。

最後の最後でちょっとのミスみたいので裏切り者、と罵倒されて。

それら全てが。

「ははっ……」

乾いた笑いがれる。

そうだ、あんな目に遭ったんだ、忘れた方がいい。

たった三日だけだったんだ。

異世界で培ったチート使ってコッチでハーレム作ればいんじゃね?

三日間というない期間で俺は力魔力とまあ、々生きていくうえで何となく役に立ちそうな技能をにつけることができた。

何より、神年齢は結構いっているから、年上の包容力とやらも備わっているに違いない。

多分。

これはもう大きなアドバンテージだろう。

そうと決まれば。

特に意味は無いが、抜き足差し足忍び足で恐る恐る自室のドアを開けて階段を下り、一階へ。

思った通り父さんも母さんもいない。

リビングの時計を見ると今は17時54分。

そろそろ二人とも帰って來る頃だ。

三日間の間にルーティンが変わっていなければ。

さて、どのような作り話をするか。

拐されていた、とするには犯人が存在しなくて俺がもう家にいるこの狀況は明らかに怪しい。

しかしそこにこう──犯人がし目を離した隙に無我夢中になって走った。どの道を通って來たのか覚えていない──付け加えるとどうだろうか。

両親に噓をつき、心配させることにもなると思うが中學生のことだ。

この設定でいけば疑われることはあるまいて。

これで納得してくれると思いた……い。

あっ!

慌てて洗面所へ向かう。

ゴンッ。

「いてぇっ」

急いでいたものだから壁に足の小指をぶつけてしまう。

しかしそれを無視して小走りに鏡の前に立った。

意外と自分の家のことは覚えているものだ、と余計なとこを考え始める脳を視覚から得た報で埋め盡くす。

「よ、良かったぁ……」

今ふと思いついてしまった、後で手遅れだった時やばかったこと。

それは外見だ。

長い時をあっちで過ごした俺の姿がその年月分年をとっていたら、と危懼したのだ。

幸い、杞憂だったけれど。

元々顔とからかわれていただけあって、背が數センチびたことと髪に白髪が混ざっていること以外に変化は無さそうだった。

白髪は……監された時の恐怖ってことで。

と、この服も隠さなきゃな。

……勿無いから捨てないが。

もしかしたら、いつか役に立つ日がやってくるかもしれないし。

まじまじと見てみると、追いかけっこの際に破れたのだろう箇所が幾つもある。

こんな服で息子が帰ってきたら余計に心配されるだろう。

自室に戻って戸棚から適當に引っ張り出した服に著替える。

……前に著ていた服が未だ著られるというのは屈辱だな。

世界有數の富な魔力が老化を抑えるとはいえど。

著替えた後はベッドにダイブ。

ドアが開いたらすぐに……分かる、し……ちょい寢と、こ………………

パチ。

もうここには危険が無いことは分かっているのでゆっくり起き上がる。

……心の準備は出來た。

久しぶりに父さん母さんに會いに行こう。

「──これが、全部だ。不安にさせて、ごめん」

本當に、ごめん。

頭を下げて何度も謝るが二人からの返事がない。

そんなにベタベタした家族でも無かったが、淡白な家族でも無かった。

まさか、俺の噓が見抜かれた?

いやいや、それ程お末な作り話では無かった、と思う。

逃げ帰った俺が家の中に居るのも変だと思い、家の外で帰りを待っていたし。

綻びは無いはずだ。

恐る恐る顔を上げると。

両親が泣いていた。

初めてだった。

魔王を倒すところまでいった勇者の俺が、驚愕した。

「え、あの、その」

手をバタバタさせ、何と言っていいのかわからない俺の口から意味の無い言葉が次から次へと流れ出る。

「どうして、あなたが、謝るのよ……」

母さんの言葉。

「お前がいなくて、どれだけ不安だったか……っ」

父さんの言葉。

彼らが揃ったリビングにった俺は彼らに一言も喋らせることなくボロが出ないようまくし立てたため、これが久しぶりに聞く両親の聲だった。

「警察に相談しても見つから、ないし! 學校の先生に相談しても、別にいじめなどはありませんでした、としか話してくれないし!」

母さんの言うことはそりゃそうだ、俺はそもそもこの世界にいなかったのだし、本當にいじめられていたわけではないし。

しかし、申し訳なさが込み上げて來る。

母さんの隣に座る父さんもを噛み締めて頷いている。

俺も、やっと、涙が出た。

を表一つ変えず殺せるようになった俺が。

あちらの世界で一度も泣かなかった俺が。

「父さん、母さん! ただいま!」

「「おかえり」」

いじめをけてはいなかった、ということをきっちり説明して、その上で別の學校に転校したい、ということを伝えた。

転校する。

それをどいつか分からない犯人から離れ遠くに行きたい、とけ取ったらしい両親は引っ越すこともその場で決めてしまった。

仕事は?

もちろん訊いた。

だが……そんな些細なことは気にしなくていいと言われた。

些細なことなのだろうか。

そんなこんなであっさりその希れてもらった俺が転校したい真の理由。

新・ハーレムを築き上げることだ。

今同學年は皆中三。

験生だ。

俺が元々通っていた公立中學の奴らも験勉強に熱をれてどころではない筈。

そこで思いついたのがこの転校計畫だ。

母さんが先に言っていた“警察”を利用させてもらう。

拐、及び三日に渡る監の被害者から転校したいという相談をける。

そこから中高一貫校への転校の斡旋をしてもらう。

中高一貫校ならばエスカレーター式だから験勉強は関係ない!

というわけで俺のハーレム計畫に支障はない!

どうだ、この完璧な計畫は!

ただ一つ問題は両親を利用していることに対する良心の呵責だな。

それは追い追い親孝行することでどうにかしよう……。

そんなじでうまい合に隣の県の公立中學校が俺をれてくれることになったのだ。

一応試験はけた。

しかし、後から聞いた話によると、その試験は見るからに悪い點數を取らない限り誰でも學をれる、というようなものだったらしい。

つまり、異世界行って殆ど記憶から勉強したことが抜け落ちていた俺でも學出來る。

やべ、俺天才じゃね!?  とか思った時期もありました。

はい、そんなことは無かったです。

昨日のうちに校長先生に挨拶を済ませた俺は今日から授業に參加することになっている。

ハーレムのため、と思って中三の勉強はもう終わらせてあるし、勉強面に対する不安はない。

これから、俺の順調ハーレム生活が始まるのだ……!

高揚する心持ちのまま、擔任の俺を呼ぶ聲に応えてドアを開け放った。

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