《マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで》顔出しNGの事があるのです 6

「おい、何やってた勇志? 遅いぞ」「わりぃ、ちょっと腹黒な後輩の相手をしてた」

  コートの中に戻ると、すでに5対5のための男混合チームが出來上がっていた。

 1人分空けておいてくれたのか、そのまま真純のいるチームにれてもらうことになった。

「なんだ義也か、あいつ來てたのか」「よく分かったな、義也だって」

「勇志が悪く言う後輩なんて1人しか知らないからな」「それもそうか、ハハハハハッ」

「聞こえてるよ~ッ!!」

 こちらに大きく手を振りながら、大聲でぶ義也。

 あいつは『地獄耳』という腹黒特技まで持っているのか、本當に恐ろしい奴だな。

 そんな事を考えながらジェスチャーでシッシッと手を払う仕草をしておく。

「それで、うちのチームは?」「えーと、男子が俺と勇志の2人、殘りは子だね」

「なるほど、ザッと見渡す限り、どのチームも男比は変わらないな。 まあ全的に男子がないもんな」

Advertisement

 そうやって見渡していると、殘りのチームメイトであろう子たちが駆け寄ってくる。

「勇志くん、よろしくね!」「足を引っ張らないように頑張ります」

「おう、こちらこそよろしくお願いします。 えーと、あと1人は?」「その… 」  チームメイトの子の1人が気まずそうに1人の子に視線を向ける。

 その先には1人でシュート練をしている花沢華さんがいた。

「あと1人は花沢さんで良いのかな? だとしたら中々バランスのいいチームじゃないか」「そうだな、勇志とあの子がガード、君たち2人がフォワード、俺がセンターってとこかな」

「でも、あの子がガードで大丈夫ですか? だってあの子パスが… 」

 2人のうちの子の1人が心配そうに話し、もう1人の子もゆっくりうなづいている。

 まあ彼たちの言うことももっともだろう。

「大丈夫大丈夫、そこは俺たちがフォローするよ」

 この1週間の練習の中で、花沢さんが男子にパスする姿を見たことがないし、花沢さんに男子がパスを出すと避けるか、手を出せずにに當たってしまう。

 本人に悪気がないのはわかるのだが、だんだんと周りの空気が悪くなっていくじがする。  バスケはチームプレイのスポーツだから、それが出來ない人に対して風當たりが強いのは仕方がないと思う。

 でも俺は、花沢さんを見ていると、なんか昔の自分を見ているようで、どうしてもあの子が放って置けないんだよな。

「花沢さーん! 同じチームになったからよろしくねー!」「…. はい …おねッ… がいします…」

 し離れたところにいる花沢さんに聲をかけたが、目は合わせてくれないもののモゴモゴと返事はしてくれている。

 たぶん応答してくれているが、聞こえるか聞こえないかのギリギリのボリュームのため、聞こえるようにとし距離をめるが、花沢さんがそれをけて距離を離すため、一定の距離が常に保たれている。

 忍び足で距離を詰めても距離を取られ、大で距離を詰めても距離を取られ、駆け足で距離を詰めたら、駆け足で距離を取られる。

 そんな攻防をコート1周分に渡り、繰り広げていた。

「あいつら、何やってんだ?」「さあ? 新しい練習か何かかしら」

 向こうで小畑と委員長が何か言っているが、聞かなかったことにしよう。

 「それじゃあ最初のチームから総當たりで順番に試合を始めるわよ!」

  委員長の合図で試合が始まる。俺たちのチームがまず最初に出番だった。

 ジャンプボールはチームの中で一番背の高い真純が務め、俺は真純の後方、殘りはオフェンスよりでポジションを取っている。

 おそらく、真純はジャンプボールを取ってくれるだろうからディフェンスは俺1人で十分だろう。

  真純とは長い付き合いだから、阿吽の呼吸が取れる。 隨分とバスケをしてなかっから不安だったが、まったく問題なかった。

 まあ普段からガップレとかでも一緒にいるしな。

 阿吽の呼吸とまではいかなくてもいいが、チームプレイのスポーツでは味方のきを理解して、それに合わせて自分もく連攜が重要で、特にバスケでは、味方との連攜が勝敗を大きく分ける。 それがまた堪らなく面白い。

上手く連攜が取れて、點數をれた時なんて最高に楽しいからな。

 「ピィーーー!!!」

 ホイッスルの合図と共に上空に上げられるボール、落下と同時に2つの手がボールに重なり、バシーン! と大きな音を立ててボールがはたき落される。

 落とされた先は、予想通りオフェンス寄りにポジションを取っていた陣の真ん中で、直ぐに3対2の攻防が繰り広げられる。

 陣の素早いパス回しと數の利もあり、あっという間に先制點を決める。

 直ぐにそれぞれが、あらかじめ決めておいた相手にディフェンスにつく。

 男混合チームではポジションを決めて行なう『ゾーンディフェンス』では、格差を使って陣の隙間を強引に突破されてしまうため向いていない。

 そのため、あらかじめ決めたマークマンにつく『マンツーマンディフェンス』がどのチームも基本なディフェンスの形になる。

 花沢さんもマークマンが子のため、何もできずに抜かれるということはないはずだ。

 問題は5対5のセットプレー、軽快なパス回しが必須だが、花沢さんがボールを持った場合、パスできる相手が子に限られてしまう。 

 それに俺と真純のパスが、花沢さんに上手く通るかも難しいところだ。

 そこはもう臨機応変にくしかない。  あとはディフェンスからオフェンスへの切り替えを早くしての速攻で騙し騙しやるしかないな。

 俺は腰を一段と低く構え、いつでもボールをスティール出來るというプレッシャーを相手に掛けるのであった。

    人が読んでいる<マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください