《マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで》顔出しNGの事があるのです 20
「アイツふざけやがって!! どこまで人をコケにすれば気が済むんだ!?」
 たまたまトイレで用を足していたら、隣に六花大の月勇志が我が顔で用を足していやがって、ムカつくから聲掛けたら俺のことを知らない覚えてないときて、オマケに小便まで引っ掛けていきやがった!
 アイツとは中學の時同じバスケ部で、レギュラー落ちした俺は試合前にはアイツのボール拾いまでしてやってたのに、知らないとは結構なご分だよな。 
 レギュラー落ちした俺のことなんぞ眼中にないってことなんだろうよ! 
 しかも、アイツは俺がかに想いを寄せていた卓球部のユキちゃんからそれとなーく告白されたのに、全く気付かないで、結果的に振りやがった。
 その後、 ムカついてバスケで1対1を申し込んだが、手も足も出ずに負けた。 
 その後、「お前やる気あるな」と言われ、手取り足取りバスケを教えてきやがって、あんな屈辱を味わったのは後にも先にもない。
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 だが、そのおかげで神無月學園にり、レギュラーにまで這い上がることができたわけだから、それだけは謝しなきゃいけねえな。
 そして今日、やっとアイツをぶちのめす機會が舞い込んできたこともな!
「おい慎、さっきからなにピリピリしてんだよ、 もう試合前のミーティング始まるぞ?」「うるせぇ黙ってろ!」「わかったよ…」
 くそッ、イライラする!! 次の試合はベンチのザコ出すんじゃなくて、レギュラーの俺を出してもらわねえと直接アイツをボコれねぇ!
「集合!!」「「「うぃー!!」」」
「次の試合も正直大したことないだろう。 レギュラーメンバーは溫存して、サブのメンバーをスタメンにするぞ」
 なにふざけたことを言ってんだタヌキジジイ!!
「監督! 向こうの15番には借りがあるんで、俺に行かせてください!」「そうは言ってもなあ?」
「頼みます!!」
 そう言って普段絶対に頭を下げない俺が監督に向かって頭を下げる。アイツをボコせるんなら頭なんていくらでも下げてやらぁ!!
「慎がそこまでするのは始めてだな… よっぽど因縁が深いのか、わかったスタメンで慎を出す! 皆んないいな!」
「「「うぃーす!!!」」」
 ははははははッ! 見てろよ月勇志、今日こそお前を倒して、お前に惚れ込んでる立花時雨を俺のにしてやる!!
 「選手整列!! 各チームのスターティングメンバーはコートにって!」
 審判の呼びかけで、俺らと六花大がほぼ同時にコートの中央に向き合うように整列する。 俺の背番號が6番でアイツは15番だから真逆の位置になるが、ガン付けるのは忘れない。
「おい勇志、お前向こうの選手からガンつけられてるぞ?」「すげぇお前のこと睨んでんぞ? 何かやらかしたのか?」
「えぇッ!? さあ~… み、に覚えがないな~」「「噓だな」」
 あの野郎! 余裕ぶっこきやがって! 
 しかし、真純と小畑までいるのか… 六花大付屬中の元レギュラーが3人もいるんじゃ、こっちもレギュラー全員出すことになるかもしれねぇ。
 それにしてもさっきの試合じゃ、勇志も小畑も試合に出てなかったじゃないか!? 戦力を溫存してたってのか? ふざけやがって!!
「ジャンプボール! 位置について!!」
「おい、俺が15番をマークするから、お前が4番につけ! いいな?」「はッ、はい!」
《ピィーーーー!!!》
 ジャンプボールを制したのは六花大。 
 そこからあっという間にゴール下までボールを運ばれ先制點を決められてしまう。
 「なッ、なんだよあれ?」「あんなに出來るなんて聞いてないぞッ!?」
「気合いれろ! お前ら!!」
 クソッ! こいつらの心を折るのには十分過ぎる速攻だった!
 今のはレギュラー全員でも止めれるかどうかってレベルのスピードだったぞ!?
 コートサイドに立っているタヌキジジイの顔も一瞬で引き締まってやがる。
 ダメだ! こいつらじゃ攻め切れない、あっという間にボールをスティールされちまう! 何やってんだ下手くそども!!
《ピィーーー!!!》
「タイムアウト!! 神無月學園!」
「皆んな戻れ! 正直向こうがこんなに出來るなんて予想外だった。すぐに全員レギュラーに代する。 ディフェンスはマンツーマンで様子を見て、文雄! お前の判斷でゾーンディフェンスに切り替えていい!」「待ってましたッ!!」
「引き締めて行ってこい!!」「「「うぃーすッ!!!」」」
《ピィーーー!!!》
 サイドからボールをけ取り、得意のセットプレーに持ち込む。六花大はマンツーマンディフェンスで対応してくるみたいだが、だらけだぜ?
 勇志や真純、小畑は攻め切れないが、殘り2人は相手にならない。そのを集中的に攻めていくだけだ!
 その2人が付いている味方にボールを集め、そこからセットプレーでジワジワ相手のゴールを奪っていく。 
 開幕に離された得點差はもう既になく、しずつこちらがリードし始めていた。
 ふふふふははははッ!! 行ける、行けるぞ! このまま突き離してやるッ!!
「どうした勇志? その程度かぁッ!?」
 ボールを持った俺のディフェンスにつく勇志をおちょくるために聲を掛ける。
 すると、勇志はコートサイドに顔を向け、まるで幽霊でも見たかのように驚愕の表を浮かべていた。 
 何が起こったのかと思い、俺も勇志が向いている方向に顔を向けるが誰もいない…
 どういうことかと勇志に視線を戻すが、既にそこに勇志の姿はなく、俺が持っていたボールが同時に後方に勢いよく飛ばされてしまった。
 急いで振り返ったが、既に勇志はレイアップでゴールを決めているところだった。
 「あの野郎! 汚ねえぞ! もう許さねぇッ!!」「おい文雄! あれやるぞ!!」 
 エンドラインに戻りながら慎に聲を掛ける。
「マジか!? し早くね?」「いいからやるぞ! 指示出せ!」
「わーったよ!」
 そう言うと文雄は右手でメンバーにサインを送る。オールコートのゾーンディフェンスのサインだ。
 基本的なディフェンスは相手がハーフコートを切ってから行うが、オールコートディフェンスは相手がハーフコートを切る前からディフェンスをする。 
 そうすることによって相手チームにプレッシャーを掛け、容易にボールをパスしたりドリブルで運べなくして、ボールスティールするディフェンスだ。
 そして、オールコートのゾーンディフェンスは特定の相手を決めていたディフェンスとは違い、ポジションと役割が決まっていて、ボールを持った相手を2人がかりで潰しにいき、安易に出たパスをカットして、そのまま速攻を決めるというディフェンスだ。
 極めて難易度は高いが、神無月の優秀なメンツには朝飯前だ。そう… まさに神無月だからこそ出來る最強のディフェンス形態だ!
「ディフェンスが変わったぞ! 全員注意しろッ!!」
 小畑が気付いて聲を張り上げているがもう遅い!
 あっという間に囲まれてパスを出せなくなった相手は、仕方なく山なりのパスを出して凌ごうとする。 
 それが俺たちの狙いだとも知らずに。
「殘念でしたー!」
 真純に向かって出された山なりのパスを簡単にカットして速攻を決める。この時點で點數は30點差あり、チームはすでに勝利を確信していた。
 ざまあみろ勇志! これが俺とお前の力の差だよ!!
 さすがにここまで得點差をつけられてやる気をなくしたのか、相手チーム全員けずに固まっている。もうオフェンスを仕掛ける元気もないってか?
 しかし、エンドラインから勇志がボールをけ取ると、巧みなフェイントとドリブルであっという間に2人を抜き去っていく。
 ちッ! 油斷しやがって!
「カバーれ!!」
 次の2人がディフェンスにるが、1人はの下を抜かれ、もう1人はドリブルの勢いでをれ替えられて抜かれて、あっという間に俺と1対1の狀況になってしまった。 
「ふざけやがって!!」「いや、本気だよ?」
 勇志はそういうと1歩後ろに下がり、スリーポイントラインからシュートを放った。
 てっきり俺を抜いてゴール下でシュートを打つと思っていたため、チェックが遅れる。
「しまったッ!?」
 勇志が放ったシュートは放線を描き、まるでゴールに吸い込まれるように綺麗にっていった。
「「「うぉおおおーー!!!」」」
 勇志の5人抜きを目の當たりにした會場が一気に湧き上がる。
 それもそのはずだ。無名の學校の選手が、全國レベルのレギュラーメンバーを全員抜き去ってゴールを決めたんだからな。
「ねぇ今の見た!? ちょー凄くない?」「見た見た!六花大の15番、ちょーカッコいいッ!!」
 客席から黃い歓聲がチラホラ聞こえてくる。 ふざけやがって!! 
 勇志にれられた得點を取り返そうと躍起になるが、こちらが攻めようにも相手チームは勇志以外全員ディフェンスの形からかない。崩そうにも時間が掛かってしまう。
 そうこうしていると、また勇志がドリブルで突破して點數を取られる。
 クソクソ!!またしても4人抜かれた! 下手くそどもめ!!
 俺がそう何度も同じ手を食うと思うなよ!
「もらったッ!!」
 一気に勇志に向かってダッシュし距離を詰める。これで否が応でも足を止めなければならない。 すると勇志はスッとボールを橫に放り投げる。
 遅れて後ろから飛び出てきた真純がボールをキャッチし、そのままノーマークでシュートを決められてしまう。
 あり得ない… なんなんだよお前は… いったい何だってんだよッ!!
 《ピィーーー!!!》
「前半終了!!」
 ベンチへの戻り際にすれ違った勇志の顔は笑っていた。
【書籍化+コミカライズ】悪虐聖女ですが、愛する旦那さまのお役に立ちたいです。(とはいえ、嫌われているのですが)※完結済み
★書籍化&コミカライズします★ 目が覚めると、記憶がありませんでした。 どうやら私は『稀代の聖女』で、かなりの力があったものの、いまは封じられている様子。ですが、そんなことはどうでもよく……。 「……私の旦那さま、格好良すぎるのでは……!?」 一目惚れしてしまった旦那さまが素晴らしすぎて、他の全てが些事なのです!! とはいえ記憶を失くす前の私は、最強聖女の力を悪用し、殘虐なことをして來た悪人の様子。 天才魔術師オズヴァルトさまは、『私を唯一殺せる』お目付け役として、仕方なく結婚して下さったんだとか。 聖女としての神力は使えなくなり、周りは私を憎む人ばかり。何より、新婚の旦那さまには嫌われていますが……。 (悪妻上等。記憶を失くしてしまったことは、隠し通すといたしましょう) 悪逆聖女だった自分の悪行の償いとして、少しでも愛しの旦那さまのお役に立ちたいと思います。 「オズヴァルトさまのお役に立てたら、私とデートして下さいますか!?」 「ふん。本當に出來るものならば、手を繋いでデートでもなんでもしてやる。…………分かったから離れろ、抱きつくな!!」 ……でも、封じられたはずの神力が、なぜか使えてしまう気がするのですが……? ★『推し(夫)が生きてるだけで空気が美味しいワンコ系殘念聖女』と、『悪女の妻に塩対応だが、いつのまにか不可抗力で絆される天才魔術師な夫』の、想いが強すぎる新婚ラブコメです。
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