《マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで》顔出しNGの事があるのです 21

「みんなお疲れ!! 得點差は9點、これなら後半巻き返しができる! このまま逆転だ!!」

「「「おーーーーッ!!!」」」

 小畑がハーフタイム中のメンバーに喝をれなおす。全國大會出場の経験がある神無月學園を相手にここまで善戦しているためか、全員気持ちが高ぶっているじがする。

 個人的には前半で相手にある程度得點差をつけて優位に立ちたかったのだが、さすがに簡単にはやらせてくれなかった。

「勇志、どうだ?」

 小畑が隣の椅子に座りながら聲を掛けてくる。平然を裝ってはいるが、小畑も肩で息をしていて力が殘り厳しいのは一目瞭然だ。

「俺の方はもうし行ける、小畑はどうだ?」

 聞かなくてもわかっていたが、あえて問いかける。

「俺の方はお前に比べたら大したことないぜ! それにお前に凄い負擔を掛けてるのに弱音なんて吐けねぇよ!」

「大した奴だな、小畑は」「おっ、おうよ!!」

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 素直にそう思ったので口にしてみたが、し照れ臭そうにする小畑がし新鮮だった。

「神無月は後半どう攻めてくると思う?」

「そうだな… オールコートのゾーンディフェンスはもうしてこないだろう、長差と格差を使ってマンツーマンディフェンスに戻してくるだろうな。そして1番厄介なのは選手の代… 」

「うちの代要員は相手のプレーを見て震え上がってるし、荷が重いだろうな。それに比べて相手はジャンジャン代して選手を回してくるわけだ」

 俺の話を引き継ぐ形で小畑が自己解決に至る。そしてやる気をなくしたように椅子に深くもたれ掛かりながら天を仰いでしまった。

「 常に全力で來られたら、こっちが先に音を上げるのは目に見えてる」

 追い討ちを掛けるわけじゃないが覚悟は決めてもらわないといけない。

「向こうの監督も同じ考えみたいだな」 

 小畑とは反対側に座っていた真純が、相手のベンチを見ながら話しかけてくる。

 俺もそちらの方に目を向けると、監督がベンチの選手に指示を出してアップの準備に取り掛からせている景が見えた。

「さすが全國レベルの學校は違うね~、怖くてちびっちまいそうだぜ… 」

 小畑があからさまにオーバなリアクションをしながら反応する。

 「トイレでしろよ?」「冗談だよッ!!」

「殘り3分前!!」

 審判がコートの中央から聲を張り上げる。すると和やかだったムードが一転し、一気に空気が重くなる。

「全員集合!!!」

 小畑が全員を集め、再び円陣を組ませる。

 「いいかみんな! この試合に負ければ、俺たちはもう2度とバスの練習するコートサイドで子のわがままボディを見ることができなくなるッ!! そんなことがあっていいのか!? 否!! 斷じて否!! だからあえて言おう… 勝つぞーーーッ!!」

「「「おおおーーーッ!!!」」」

 みなの心が1つになった… 機は不純だが、それでやる気が出るのならいいとしよう。

 ああ、この國はなんて平和なんでしょう… 

 《ピィーーーッ!!!》

 後半開始のホイッスルが鳴る。相手は5人中3人れ替えて後半戦に臨んできた。 予想通り力勝負で挑んでくるつもりらしい。

 壯絶な點數の取り合いが続く中、神無月學園は次から次に選手をれ替えてくる。

 その度に俺たちの力は著しく削られ、後半に3回だけ使える60秒のタイムアウトを力をしでも回復するために使っていた。

「ハア….ハア… もうタイムアウトは使えない、殘り時間は2分… 得點差は12… 」

 喋るのも辛そうな小畑が狀況を整理する。ベンチのメンバーたちも、この危機的狀況に言葉も出ないようだった。

 「むしろ12點しか離されてないってことがすごいと思うけど?」

 1番力があり、まだ余力がありそうな真純がスポーツドリンクでを潤してから口を開く。

 さすが普段から力作りを欠かさないだけある。今この時だけは真純の底なしの力が羨ましい。

「このままじゃジリ貧だな… 勇志なんか打開策ないか?」

 いつもお気楽脳天気な小畑だが、真剣な表をして俺に尋ねてくる。小畑に真剣な顔をさせるほどまでに神無月學園に追い詰められていた。

「ある… でもこれはあまりにもリスクが高い、それでもやるか?」

「このままやっても勝てないんならやるしかねぇだろ!」「わかった、じゃあ説明するぞ」

 殘り時間もほとんどない中、メンバーに作戦を説明し終えたところでブザーが鳴った。

「マジか… いや、でもこれならイケるか?」「勇志、お前本當に天才だな! ずっと一緒にいるけど驚かせられてばっかだもんな」

「真純は大袈裟なんだよ、とにかくこれで行くから、殘り2分みんな頼んだぞ!」「「「おうッ!!!」」」

 それぞれがコートに戻りポジションを確認する。

「勇志、お前いつになく楽しそうな顔してるぞ?」

 すれ違い様に真純が変なことを言ってくるが、俺そんな楽しそうな顔してるかな?

 まあ確かに、滅多に験できないこのがすごく気持ちいいとじている自分がいる。そういえば自然と口元も上がっている気がする。

 「全員ポジションにつけ!!」

小畑の掛け聲をけ、それぞれがコートに散らばる。

「まさか!? ここであれをやってくるつもりかッ!?」

  神無月學園の監督が勢いよく椅子から立ち上がり、驚愕の聲をあげる。

 まあ驚くのも無理はない、俺たちが今やっているのは…

『オールコートのゾーンディフェンス』

 前半で神無月學園がしていたものだ。

 といっても、そっくりそのままは個々の力量差がありできないため、六花大付屬のオリジナルなゾーンディフェンスになっている。

 殘り2分という時間で、あえて力を消費するオールコートのゾーンディフェンスをするのは無謀と言われてもしょうがない。

 しかし、相手をうまく捉えることができれば勝機はある。

 エンドラインから真純、サイドを俺と小畑が固め、後ろは殘りの2人で守る、1.2.1.1の布陣だ。

 うまくハマれば相手はハーフコートからボールを運ぶことができず、一方的にこちら側が攻め続けることができる。

 そう、簡単に言えば『攻めのディフェンス』ということだ。

 早速、相手側はボールを運べず、困の表を浮かべている。

「くそッ! けねぇ、誰かヘルプを!!」「こっちにパス回せ!!」

「おっと、いただきまーす!」

 相手が出したパスをいとも簡単に小畑がカットし、パスを回す。そのまま真純がけ取り、シュートを決めた。

「殘り時間は!?」「あと90秒ですッ!!」

「カウント頼む! あと8點差、気合いれろよ!!」

 小畑がベンチに殘り時間のカウントを頼みポジションに戻る。會場もこのギリギリ攻防に息をつく間もなく見守っているように靜かだった。

「よし、取った! 勇志!!」

 ボールをカットした真純から絶妙なパスをけ、そのままレイアップシュートを決めようとジャンプする。

「勇志! 後ろだーッ!!」「なッ…!?」

 ボールがしっかりリングを通ったことを確認し著地の勢にった瞬間、後ろから凄い勢いで押し出され、エンドラインを越えてそのまま壁に打ち付けられてしまった。

「ーー ッ!? 腳が…!」

 を庇うように著地をしたつもりだったが、どうやら腳を痛めてしまったようで、痛む足を庇うために仰向けに転がる。

 目を開くと、立ったまま俺を見下ろす村嶋慎の姿があった。

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