《マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで》顔出しNGで新曲作ります 7
 お兄ちゃんへ。
 元気ですか? お兄ちゃんがうちに帰らないようになってから早いことでもう1週間が経とうとしています。
  5日前に、お母さんは息子がグレてしまったとショックをけて寢込んでしまいました。
 お兄ちゃんが修學旅行に行った時と一緒で、お兄ちゃんが帰って來たら直ぐ元気になると思います。
 先日、莉奈さんが家に遊びに來て、「勇志がいないなら泊まっていってもいい?」と言って、お兄ちゃんのベッドで寢ていきました。
 さすがに止めようと思ったんですが、お兄ちゃんのベッドで凄く幸せそうにしている莉奈さんを見たら止められなくなってしまったので、そのままにしておきました。  歩ちゃんも、最初の頃はお兄ちゃんいないのに間違えて家にお兄ちゃんを迎えに來ていました。歩ちゃん、凄く悲しそうな顔をしていました。私も何だか寂しいです。
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 どうせお兄ちゃんのことだから、朝起きれずにいつも困っていることと思います。しょうがないからお兄ちゃんが帰ってくるまで、私がモーニングコールして起こしてあげるね!
 じゃあコンサート頑張ってね! ちゃんとkira☆kiraのサイン貰ってきてよ!じゃあまたね!
 追
 先日、家にお兄ちゃんの先輩と名乗る髪のが長い落武者みたいなおっさんが來たけど、警察呼びますよって言って追い返しといたから、お兄ちゃんも気を付けてね。
 ☆
 練習終わりに攜帯をチェックすると、妹のから珍しく長いメールが屆いたと思ったらこんな容だった。俺はお兄ちゃんとしてに慕われているのか、いないのか、よくわからん容だった。
 でもきっと、なりの寂しいアピールなんだろう。もう直ぐ帰るからね!
 ちなみに妹よ、その落武者は多分、翔ちゃんだからね?
 確かに見た目おっさんみたいだから間違えるのも無理ないけども、とにかく今度翔ちゃんに會ったら謝っておこう。
「ユウくん、お疲れ〜!」「あ、はい! お疲れ様でした!」
 今日もまたハードな練習が終わった。
 やっとバンドメンバーとも納得がいくセッションが出來るようになり、咄嗟のアドリブやアレンジも問題なくこなすとこができた。
 これなら本番も大丈夫そうなのだが、俺にはまだ別に問題が殘っていた。
「キアラ、まだ俺のことを避けてるんだよな〜… 」
 練習後、すぐに逃げるようにスタジオから出て行くキアラの姿を見ると、流石の俺も悲しい気持ちになる。
 キアラは湯事件から俺のことを避けていて、俺の顔を見ると逃げるように何処かへ行ってしまう。
 聲を掛けようとは思うけど、あんな事があったからか、俺の方もかなり気まずくて逃げるキアラを追いかけられないでいた。
「ちゃんと會って話をしないとな」
 夜も遅いし迷ではないかとも考えたが、今しがた練習が終わったばかりだし、キアラのとこに行ってもまだ大丈夫かな? 
 俺は片付けを終えた後、そのままキアラの部屋に向かうことにした。
「この部屋か… 」
 キアラの部屋の前まで來ると、急に張してきてインターホンをなかなか押せないでいた。
 ああ… 一キアラにどんな顔をして合えば良いんだろうか…!?
 いやいや待て! 俺、お面を被ってるからそんなこと気にしなくていいじゃないか!
 そんなことにも気付かずにいたとはけないが、そうと分かればこっちのもんだ。
 覚悟を決め、思い切ってインターホンを押す。
 2、3秒程の沈黙の後、キアラが応答する。
「はい… えッ!? ゆっ、ユウさん?」「あのー、し話をしたいなと思いまして、良かったらどこかでお茶でもどうかな?」
「でもこんな時間だと、どこも閉まってますし、そそそその… ユウさんが良ければ私の部屋でお茶を出しますけど…?」「えッ!? こんな時間に上がっても大丈夫?」
「はいッ!大丈夫です! でも、3分程待ってください!かたづ… いえ!準備しますのでッ!」「お、おう… ここで待ってるね… 」
 その後すぐに中から凄いドタバタとした音が聞こえてきて、3分程して聞こえなくなったと思ったら玄関のドアが開き、隙間からキアラが顔を覗かせた。
「お待たせしました、どうぞ… 」「お、お邪魔します… 」
 キアラの部屋の中にると、そのままリビングの機の前に案され席に著いた。
 ザッと見回したじ、部屋の作りはアキラの部屋とほとんど同じだが、キアラの部屋は人形や可いもので溢れていたアキラの部屋とは違い、落ち著いた家や小が多く、とても居心地が良いじがする。
「そんなにジロジロ見ないでください… はっ、恥ずかしいです… 」「あッいや、ごめん… 」
 妹のは別として、の子の部屋にることなんて滅多にないもんだから、ついキョロキョロしてしまった。
 しかし、何だ? どこからか常にいい匂いがするぞ! これはキアラの匂い…!?
 そうか、なるほど… ここはパラダイスなのですね、分かりました。
「それでお話というのは… 」「え? あッいやその~、最近俺、キアラから避けられてる気がしてて、それで思い切って會いに來たんだけど、どうやら俺の思い過ごしだったみたい… 」
 現にこうして部屋の中にまでれてもらって顔まで合わせている。 俺を避けているならまずそんなことはしないだろう。
「私もそのことでずっとユウさんにお話ししようと思っていたんです… でも、ユウさんの顔を見ると、お風呂のこと… 思い出しちゃって恥ずかしくなってしまって…  嫌な思いをさせてしまってごめんなさい!」
「いやいやいや! 俺の方こそごめんね! 恥ずかしい思いをさせてしまって… でもお風呂のことキアラのおかげで本當に助かったよ、ありがとう。キアラにはいつも助けてもらってばかりで、本當に頭が上がらないよ… 」
「そんなことないです! 私だっていつも助けて貰っています! 今回だってユウさん、お忙しいのに私たちのために遅くまで練習してくださっていて、なんて禮をすればいいかわかりません… 」
 そう言って泣きそうな顔をするキアラ。
「いやいや! そんな大層なことしてないから! 気にしないで」
 急いでフォローをれるが、ますます泣きそうな顔をするばかりだ。
 弱ったな… キアラの泣きそうな顔は凄くこたえる。
「じゃあ今度、俺たちののライブにkira☆kiraがゲストで出演してくれるっていうのはどう?」「え…?」
「それで今回の件は貸し借りなし!ってことでどうかな?」「そんなことでいいんですか…?」
「いやいや、駆け出しのバンドに世界のアイドルがゲストで來てくれるなんて凄いことだよ!」
「でも… 」「もちろん、この前のお風呂の件は別でお詫びするから、何でもキアラの言うこと聞くよ」
「え! いいんですか!?」「そんなんじゃ全然嬉しくないかもしれないけど… 」
「そっ、そんなことありません!!嬉しいです!! それでお願いしますッ!!」
「お、おう… 喜んでくれて嬉しいよ、じゃあまた何してしいか決めて教えてね」
「はい、わかりました!」
 ここまで話して、やっとキアラの顔に笑顔が戻った。お風呂の件もなんとか許してもらえそうだ。
 キアラの機嫌が治れば、相乗効果でアキラも一緒に機嫌が良くなるだろうし、これでコンサートには萬全な狀態で臨むことが出來そうだ。
 kira☆kiraの2人の歌を最高の狀態で世界中の人々に屆けたい。
 2人の歌が沢山の人たちを勵まし、勇気を與え、一歩前に進む原力になっていく様子を、間近で見ることが出來るなんて本當に栄だ。
 「キアラ、俺… コンサート頑張るから、絶対最高のコンサートにしような」
「はい! 最高のコンサートになるように私も頑張ります!!」
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