《マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで》顔を隠したある休日の話 1
『ーー 私はユウさんのことが大好きです! ーー』
 ふとした瞬間にどうしてもあの事ばかり思い出してしまいます。
『ーー いつかユウさんが私のことを好きになってくれるように私… 頑張りますッ!ーー』
 本當は告白するつもりなんてこれっぽっちもなかったのに、ついその場の雰囲気で言ってしまいました。
 私が好きと言った時のユウさんの驚いたような困った顔が、今でも脳裏に焼き付いていて、凄くどうしようもない気持ちになります。
「はぁ… もう何であんなこと言っちゃったんだろう…」
 スターエッグプロダクションにある自室に、私の溜息だけが何度も響き渡ります。
 こういう時、シンプルで余計なを置いていない自分の部屋がすごく広くじてしまいます。
 あれから何となくメールも電話も出來ずに、ただ過去のユウさんとのメールのやり取りが殘った畫面を見るだけになっている攜帯を、そっとテーブルに置いて顔を伏せます。
「なぁキアラ、最近ずっとそんな調子だけど、本當に大丈夫なのか?」「えッ!? アキラちゃん!! いつの間に來てたの!?」
 アキラちゃんの聲が聞こえて急いで顔を上げると、私のベッドで寢転がったアキラちゃんが心配そうな顔をして私のことを見ていました。
 どうやら、ユウさんのことで頭が一杯になっていて、アキラちゃんが部屋にって來たことに全く気が付かなかったみたいです。 
「さっきからここにいたんだけどなー」「ごめんね、全然気付かなくて… 」 
「別にいいけどさ、なんかあの學園祭から、キアラ元気ないよな? まさか、またユウに変なことされたんじゃ…!?」「違う違うアキラちゃん! 別に変なことなんてされてないよ! ただ… 」
「ただ?」「ううん、何でもない… ごめんね、心配かけて… 」 「それなら良いけど… 」
 私のせいでアキラちゃんまで何だか落ち込ませてしまったみたいです。
 ここは何か話題をふって、雰囲気を変えなくちゃ!
「あ、アキラちゃんは私に何か用事でもあった?」「そうだったそうだった! えーと、マリーちゃんに頼まれたお使いがあって、キアラに行ってもらうように言われてたんだ!」
「マリーさんが私に?」「うん、そうそう!」
 普段お使いなど頼まないマリーさんが、私にお使いを頼むなんて、珍しいこともあるんですね。
 それにしても、わざわざアキラちゃん経由で私に連絡しなくても、電話かメールで直接伝えてくださればいいのに…
「それで、何をすればいいの?」「えーっとね、このメモに書いてあるって」
 そう言ってアキラちゃんは、綺麗に折りたたまれた小さな紙を私に差し出します。
 「読んでみて!」「えーと… “10時に玄関前のエントランスに1番のお気にりの服を著て待てってね♡”  これってどういうことなのかな、アキラちゃん?」
「さっ、さあ〜…? とにかく急いだほうが良いんじゃない? 10時まであんまり時間ないしさ!」「アキラちゃん、なんか怪しい… 」
 この様に、アキラちゃんが私と目を合わそうとしなかったり、そわそわして落ち著きがない時は何か噓をついているか、私に知られたくないことを誤魔化すときが多いんです。
「そッ、そんなことないよ! ほらほら早く支度して!!」「わッ!? もう、そんなに急かさないでよ〜」
 アキラちゃんに背中を押されながら、ウォークインクローゼットにった私は、何か怪しいとじながらもお気にりの服に著替えることにしました。
…
……
………
10時に玄関前のエントランスで待て、とだけ書かれたメモの通りにエントランスに來ましたが、この後のことはアキラちゃんに聞いても『聞いてないから知らない』と言われてしまいました。
 今日のアキラちゃん、やっぱりなんか変だったな… 
 もしかして、私とユウさんの間に何かあったって勘付いているのかな…
「おーい! キアラ? もしもーし!」「えッ!? あっ、はいッ!!」
 エントランスのソファーに座って考え事をしていると、突然誰かに私の名前を呼ばれて驚いて顔を上げます。
「ゆッ、ユウさんッ!?」
 顔を上げた私の目に飛び込んで來たのは、いつものムンクのびのようなお面を被った《Godly Place》のユウさんでした。
「大丈夫? なんか難しい顔をしてたけど… 」
 ええーッ!!? どうしてユウさんがここに!? なに!? 一、何が起こっているの!?
 とっ、とにかく何か返事をしないと…!
「でゃ、大丈夫でひゅ!!」
 キャーッ!! 思わず噛んじゃったよ〜!!
「ふッ、あははははッ!」
 慌てふためく私を見て、ユウさんはお腹に手を當てて笑い出しました。
「もっ、もう! 笑わないでください! いきなり聲を掛けられて驚いただけなんですからね! 」
 そう言ってしいじけて見せるのは、もちろん照れ隠しです。
 でも、聲を掛けられたのがユウさんじゃなかったら、こんなに驚いたりしなかったので、ちょっとくらいいじけてもいいですよね?
「いや、ごめんごめん…  それじゃあ早速だけど行こうか….?」「ちょっと待ってくださいッ!」
 そういってショップが並ぶエリアの方に向かおうとするユウさんの腕を摑み、ユウさんの前に回ります。
「その… どうしてユウさんがここにいるんですか?  それに私と一緒に行くって… 私、ここで待っていること以外は何も聞いてなくて… 」
 ユウさんに會えたことは素直に嬉しいですが、ユウさんが來てくれた理由も、これからどこかへ一緒に行くということも、何も知らないのは何よりもユウさんに申し訳ないです。
「えーっとね… 俺も詳しいことは言えな… 知らないんだけど… まあとにかく! これからキアラは俺とデートをします!」
「えぇーッ!!??」
- 連載中90 章
【書籍化&コミカライズ】婚約者の浮気現場を見ちゃったので始まりの鐘が鳴りました
婚約者である王太子の浮気現場に遭遇したソフィーリアは、自分が我慢の限界を迎えていたことを知る。その時、ソフィーリアの前に現れたのは一人の騎士だった。 ーーーーーー 婚約破棄から始まるものを書いてみたいな、と軽いノリで書き始めたシリアスもどきのギャグです。 第3章始めました! ー------ 1/7異世界(戀愛)&総合/日間ランキング1位 1月 異世界(戀愛)/月間1位 1月 総合/月間2位 ー------ 書籍化&コミカライズ決定しました!!!!! 本當に有難うございます!!!!
8 89 - 連載中124 章
【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
8 171 - 連載中555 章
Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~
何の根拠もなく「これだ!」と、とあるオフラインのVRゲームの初見プレイを配信する事を決めた能天気な無自覚ドジっ子なサクラ。 いざ人任せにしつつ配信を始めたら、なんでそんな事になるのかと視聴者にツッコまれ、読めない行動を見守られ、時にはアドバイスをもらいつつ、ポンコツ初心者は初見プレイでの珍妙なゲーム実況を進めていく! そんなサクラが選んだゲームは、現実に存在する動植物を元にして、モンスターへと進化を繰り返し、最終的に強大な力を持つ人類種へと至る事を目的としたゲーム『Monsters Evolve』。 そのオンライン対応版のVRMMO『Monsters Evolve Online』がサービスを開始して少し経った頃に、VR機器そのものに大幅アップデートが行われ、タイトルに制限はあるがリアルタイムでの配信が解禁されたものである。 これはオフライン版の『Monsters Evolve』を描く、もう1つの進化の物語。 カクヨムでも連載中! pixivFANBOXで先行公開も実施中です! また、本作は『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』の関連作となります。 関連作ではありますがオンライン版とオフライン版という事で話としては獨立はしていますので、未読でも問題はありません。 もしよろしければオンライン版の話もどうぞ。 https://ncode.syosetu.com/n7423er/
8 116 - 連載中11 章
魔力、愛、君、私
姉を探すリルと戦士のハルマ、 お互い同じ國の出身でありながらリルには小さな身體で殘酷な過去を抱えていた。 メーカーお借りしました() https://picrew.me/share?cd=cljo5XdtOm 亀さんペースですごめんなさい
8 119 - 連載中425 章
初心者がVRMMOをやります(仮)
親の頭があまりにも固いため、ゲームはおろか攜帯すらもっていない美玖(みく)。このたびめでたく高校一年生になりましたので、今まで母方祖母に預かっていてもらったお金でVRMMORPGをやることに決めました。 ただ、周囲との兼ね合い上、メジャーなものはやりたくない。親の目を盜んですることになるから、ヘッドギアは小さなもの。そして月額料金は発生せず、必要に応じて課金するもの、と色々條件を絞ったら、「TabTapS!」というゲームにたどり著いた。 ただ、このゲーム初心者がやるにはかなり厳しいもので……
8 198 - 連載中432 章
俺の高校生活に平和な日常を
主人公・佐藤和彥はただのアニメオタクの普通の高校生。普通の高校生活をおくるところがある1人の少女と出會うことで和彥の平和な日常が壊されていく。暗殺者に吸血鬼に魔法少女etc… 果たして和彥に平和な日常が戻ってくるのだろうか?
8 84