《僕の前世が魔でしかも不死鳥だった件》不死鳥の自覚
僕が僕を過去に伝説とされた不死鳥だと自覚したときから、見ている世界が大きく変わった。
端的に言うと、どこか褪せてしまったような気がする。
何千年、何萬年、何億年という時間を過ごしてきた僕が、自分よりも遙かに年下になる両親に甘えることも出來る訳もなく、小學校の學前には、すでに親離れ、もとい両親との間に壁が出來ていた。
気味悪がられてる、とも言うかもしれない。
五歳になったばかりの子供が、両親からの質問に極めて落ち著いた理屈っぽい答えばかりで返す様は、我ながらかなりシュールだったと思う。
何気ない日常の會話ですら、
「夕くん、今日のご飯は何が良い?」
「何でも良いよ。栄養のあるものならね………」
「……………」
これが當時五歳の僕と母さんの會話だ。
不死鳥が食事の栄養を気にするのもどうかと思ったが、食事は栄養がある方が良いのだと本に書いてあったのでそう口をついて出ていた。
そのときの僕はといえば、前世の世界では読むことの出來なかった小説などの語にハマっていて、常に家ではその手に本を広げながら気のない返事ばかりしていた。
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想のない子供。
そんな僕の姿に母さんはいつも困ったような苦笑いを浮かべていた。
その苦笑いが無関心の表に変わり、いつからか聲もかけられなくなったのはたぶん、二つ下の妹がちゃんとした會話ができるようになり、しっかりと両親に甘えはじめてからだろう。
正直、僕はそれを全く気にしていなかったし、むしろ面倒な聲をかけられなくなって楽だとさえ思っていた。
そのは、今もさほど変わっていない。そもそも僕には、親がいるという概念すら、いまひとつ分からないのだ。
僕たち世界で伝説とされる生きは、人間の想像や願が、地上に降りてきた神と相まって生まれる幻想生だ。いつの間にかそこにいて、意思を持っていていた。生まれたときから、すでに一人だった。
慣れすぎていたんだ。一人でいることに。
何億年も生きていて、ずっと一人でいて、それが當たり前で、寂しいとすら思わなかった。
敢えて何が嫌だったかというと、あまりにも退屈な時間だけだ。
それさえなければ僕は一人ほど楽なものはないと思っていて、今住んでいるこの世界には、退屈を紛れさせてくれるものがいくらでも溢れ返っている。
最初は両親という話相手がいることで、暇潰しには楽しく思えたが、他の一人で出來る娯楽を知ってからは、あっという間にそっちに流れてしまった。
特に読書は、今までになかった知識を與えてくれたり、ユニークな語を語ってくれるものばかりで、ただの他人との會話より実に有意義で楽しかった。
それがダメだったのかもしれない。
何がどうダメだったのかは、ハッキリとよく理解出來ないが。
それを続けていくうちに、両親の心が僕から離れていくのが分かったから、たぶんそうなんだろう。やがて図書館で適當な本を借りてきてくれる以外は、本當に相手にされなくなった。
通っていた保育園でもそんなことばかりしていたから、友達は一人も出來なかった。そもそも何言ってるかよく分からん子供を相手に、友達にしたいとは思わんが。
先生たちも最初は積極的に皆のに加えようとしてきたが、何回か流し気味に會話をしていたら、気味悪がられて誰も近付いて來なくなった。
小學校の學を機に、僕は両親と同じ部屋から一人部屋に移された。妹は変わらず両親の寢室で寢ていたが、僕はついぞ追い出されたらしい。
もっと早くに移してしかったものだが、まあ結果ようやく一人で寢られる空間に來れたのだから良かった。
これで何の気兼ねもなく、ゆっくりと寢られる。
それにそろそろ試してみたいこともあったのだ。
昔の僕の力は、今なおも顕在なのかどうか。
空を飛べば音速を越え、どんな攻撃をけても一瞬では再生し、黃金の炎を放てば國を跡形もなく焼き付くす。
昔にいた世界では、僕は神に等しい天災の一つとして恐れられ、人々には讃え祀られていた。
まあ、祀られてたのは人間が勝手に自分達で造ったらしい不死鳥の祠だか神殿だかで、僕じゃなかったんだが。
というか崇められるその様を遙か上空から見ていた僕は「何してんの?」という心境だった。
話が線したが、ようはその世界にいた頃の僕は、天地に災害を及ぼす力を持った存在だったのだ。
果たして、今は?
自分を自覚してから今まで、何度か試そうとは思っていたのだが、何分、歳が歳なので試そうにもなかなか一人になることが出來なかった。
けど、一人部屋なら話は別だ。
家は一戸建ての二階で窓の外にはベランダもあるし、一階にある両親の寢室からは離れている。何かしてても気付かれることはないだろう。
家族が寢靜まった時間を見計らって、僕は靜かにベランダのガラス戸を開けた。
自分の力の実験のためだ。
だが正直、試すまでもないことは分かっていた。
普段の生活から、すでに自分の特が発揮されていたからだ。
まず空腹や満腹がないこと。
食べた分だけは排便として外に出されるが、求めた栄養が吸収されているかは怪しいところだ。
そして睡眠もない。
寢ようと思えば寢れるが、別に寢なくてもあまり変わりはなかった。
あとは疲労。
いくらいても疲れることはないし、本を同じ勢で永遠と読んでいても筋が固まることも関節が固まることもない。
他の人間たちがじるらしいその覚とは無縁だった。
の仕組み、臓や骨格などは人間と同じようだが、能は隨分と違うらしい。
ここら辺の知識は本を読んで割りと學んでいたから、自分が人間と違うことを改めて自覚した。
一度本を読みながら道を歩いていたとき、転んで腳をりむいてしまったことがあったのだが、起き上がった頃にはすでに傷は消えていた。
まさにあの頃の再生能力を彷彿とさせる。
他には、目を凝らせば數キロメートル先まで見えるとか、耳をすませば住宅街一帯のありとあらゆる音が聴こえるとか、そんなところだ。
でも僕にとって一番重要なのは、そんなちゃちな能力じゃない。
何度も何度も過去の記憶の中で求めた、あの空の世界。
そこに羽ばたいていく翼。
僕はどうしてももう一度、あの空を飛びたかった。
いや、飛べるはずだ。
こんな姿になっていても、しっかりとイメージ出來る。
ベランダに出てガラス戸を閉じると、僕はあの頃の自分の姿を思い起こすようにイメージした。
――――行ける……。
ベランダの手すりに腳を掛け、僕はそこから飛び降りた。
いや、飛び立った。
黃金の炎を纏いながら、かつての不死鳥の姿で、僕はこの現代の空を舞い上がった。
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