《過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか》8話 過去に戻り後悔を拭うことは可能だろうか 2

「おはようございます」

「おはよ」

本日2回目の朝を迎えた。過去から戻る前の時間は23時を回っていて睡魔が若干襲っていた狀態で過去から戻ったせいか、そのまま睡魔は殘っていた。

「朝ごはんできてるから、さっさと支度しなさい」

「新婚ですね」

「もう一回やるわよ」

頬のを軽く可憐は摘んできた。

これも前回と変わらない。

「はい支度します」

可憐が作ってくれた朝ごはんをたいらげ可憐に想を言い、學校に行く支度をする。

過去に戻った今回の俺のミッションは可憐を岐阜県に連れていくことだ。

「あの、可憐さん」

「なに?」

「今日學校休みませんか?」

「休まないわよ、私生徒會長だし理由もなしにそんなことできない」

「そうですか」

簡単に斷られてしまった。

「どうかしたの?」

可憐が顔に疑問符ぎもんふを浮かべている。

いきなり過去に戻る前のことを言ったとしても混を招き相手にされないというオチも考えられる。

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「えっと…、今日可憐さんは本當だったら學校休むつもりだったんでしょ?」

その言葉を聞いた可憐はし肩を上げ驚いたような様子を見せた後に俯うつむく。

「どうして?」

家庭事は何一つ話していない相手に、本來の予定を知られている現狀は奇妙だ。

可憐は知っている理由を聞いてきている。しかし、ここで「過去に戻ってきたんです」と言ったら可憐は信じてくれるだろうか。

可憐と會って2日目、2人で過ごした時間はない。可憐も俺もまだお互いのことを信用することができていない。

だから“過去に戻った”という現象のことを話すのが怖いとじてしまう。

「あれ?昨日言ってませんでしたっけ?」

結局何を言えばいいか分からずそんな適當なことを言ってしまった。

「私、言ってないと思うけど」

可憐は家庭の事を話していない。その理由はよく分かる。家庭で何か嫌なことが起きた時、決まって複雑な容だ。それを聞かれ口に出そうとすると複雑さが増してさらに嫌な思いをしてしまう。

答えたくない。というわけではない、答えたくないのだ。

「そーでしたっけ?」

「ま、いいわ、もう時間だしそろそろ行きましょ」

「はい」

結局岐阜に行くことは葉わず次の作戦を模索する。

間に合うためには學校から帰るまでに新幹線に乗らなければいけない。

長嶺原ながみねはら高校は長野県にある高校で電車もさほど多くない。したがって決められた電車の時間には忠実に従わなければいけない。朝電車の時刻を調べたところ放課後に駅に向かえば間に合うということが分かった。

「先に自転車で行けばいいのに」

「一緒に行きたいんですよ、察してください」

「自分で言ったら本末転倒ね」

アパートを出て學校に向かっている間、周囲の長嶺原の生徒たちの視線が俺と可憐の2人に集まっている。これは昨日とは変わらない。

學校に著くと翔かけるの暑苦しい絡みが待っていた。これも前回と同じだ。

1時間目は授業に集中せず、ずっと可憐を岐阜に連れて行く方法ばかりを考えていた。

後20分で1時間目が終わる。それまでには考えをまとめて起きたい。

長嶺原高校は2時間目の前にクラスでのホームルームをやる。遅刻防止だとかそういう理由で1時間目の後にやるらしい。

前回學校の中であったのは放課後だけだ。だからホームルームでまとまった考えを可憐に提示しなければならない。

「クソっ…」

名案が出ない自分に対しての苛立いらだちを誰にも聞こえないストレス発散方法で和やわらげる。

寢ていないということも手伝って頭痛が発生してしまい脳みそをうまく働かすことができない。

『キーンコーンカーンコーン』

最悪だ。何も良い案は出なかった。

俺はまた何もできないのか…

ふと中學生の頃の記憶が脳裏のうりに浮かんだ。

その記憶を首を振って振り払う。

いや、ダメだ、何かしなければ、あの時の俺と同じだ。

に移さなければ。

翔かけるが授業のチャイムを聞いた瞬間にニヤニヤしながら「さっきの話の続きを聞かせろ」と言ってきたが「腹痛」と言って3年生の教室がある一棟に向かった。

この學校は1、2年生は二棟の棟を使っていてるが3年生は一棟の棟を丸々使っている。3年生の特権というやつだろう。

一棟に著き可憐のクラスの1組を探す。ありがたいことに、1組は二階だ。5組だったら四階まで駆け上がらなければいけなかった。

1組の扉を開くと3年生は俺の方を見る。教室は喧騒けんそうという布で包まれていたが俺が開いた扉によって吸い込まれ今は靜寂という新たな布が包み込んでいる。

やはり、3年生にも俺と可憐の関係は疑問が多く、思うことがあるのだろう。

耳をすますと小聲で「なんであいつが夏ノさんと」という嫉妬の聲も聞こえる。

しかし今はそんなことは重要ではない。

教室を見渡し、可憐を見つけようとする。だが可憐は何かを察したのか教室の後ろの扉から出て俺の方にやってきた。

「どうしたの?」

「話したいことがあります」

「來なさい」

教室から離れると、また違う布がかかった。

可憐に著いて行くと“立ち止”と書かれた屋上の扉の前までやって來た。

「そこ立ち止ですよ」

「生徒會で使うときあるから私がいればれるわよ」

可憐は鞄から鍵を取り出した。

「それアリかよ」

俺はずっと屋上に憧れていた。青春といえば屋上だからだ。一年生の時は絶対に屋上に行ってやるという思いで毎日學校に來ていた期間があるほど。

そんな俺の前でいとも簡単に屋上を開けてしまうのだから早く可憐と仲良くなっておけばと思った。

屋上にると5月らしい寒い風が吹いた。

「で、話って何?」

「えっと」

考えに考えた結果何も出てこなかった。だから話そうにも話せない。

「早く話して、さむい」

「あの、朝學校休もうって言ったじゃないですか」

正直に話すしかなさそうだ。

「私が用事があるとかそんなことを言ってたからとか適當な理由をつけてサボろうとしてたやつね」

「うっ…」

俺が不真面目クソ野郎だと捉とらえられていたことにショックをける。

でも違うんだ。

「それは、し適當でし的を得ているというか何というか」

「何よそれ」

一瞬、前回の可憐の泣いている姿が頭に浮かんだ。

ダメだ。今回のような件に対しての後悔はさせてはいけない。

そう思った瞬間、俺の口は開いた。

「可憐さん。早く岐阜の病院に行きましょう。」

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