《過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか》11話 過去に戻り後悔を拭うことは可能だろうか 5
「スゥー、はぁー」
病室の扉の前で深呼吸をしてから3回ノックして扉に手をかけ右にスライドさせる。
「失禮します」
心臓が全速力で走ったときのように心拍數が上がっている。
久々の張に推薦試の面接のような空気を行で作ってしまう。
病室にはひとつのベットがあり、そのベットには誰もいない。検査か何かだろか。
可憐の父と母はとても若々しく、高校生の頃は2人とも男で周りからの注目を集めていたのではないかと思ってしまう。
「はじめまして直斗君、可憐の父です」
「母です」
「はじめまして、長嶺原ながみねはら高校の町 直斗です」
本當に面接みたいになってしまった。
可憐の両親は「まあ座って」と微笑みながら目の前にある椅子に俺を促した。
「あんまり張しないでね」
ニコリと笑って可憐の母が張を解いてくれた。
その笑顔には可憐の面影があり親子だなと當たり前のことを考えてしまう。
「ありがとうございます」と禮を言って促されたパイプ椅子に腰を預ける。
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「直斗くん、ありがとう」
座ったタイミングでしの間を開けて可憐の父がし頭を下げた。
「え?」
「可憐を連れてきてくれたのは君だろ?」
「あ、まあ、そうですね」
最終的に行くと決めたのは可憐だ、だから連れてきたという表現が合っているのかは正直分からない。
「知っていると思うけど可憐は今我が家から家出していてね」
可憐の父が窓から暗い空を見上げ話した。その聲はどこか寂しげだ。
肝心の可憐は今いない、親に席を外してしいと言われたのだろうか。
「はい、知っています」
「可憐は友達の家に泊まっていると聞いているけれど…」
可憐の母が微笑みながら淡々と始める。側はたから見れば人のお母さんというじだが、その微笑みからは冷たさが宿っていて首を絞められているような息苦しさに苛さいなまれる。
「その友達って、あなたじゃないわよね?」
可憐の母は、核心を突いてきた。
ここまで來るのに、この話題が出るのが本當に怖かった。
自分のする娘が知らない男の家に泊まっている。考えただけでも不安と怒りが渦巻うずまくのではないのだろうか。
「い、いえ!僕じゃないです!」
俺は危機を察知さっちし両手を可憐の母の前でブンブンと振り誤魔化した。
バイトで俺は一人稱が“僕”に変わる。それは上司付き合いの中やお客様に敬意を払っていると見せるためだ。つまり目上だと思う相手は一人稱が“僕”になる。
なんて自己紹介をしている僕は本當に焦っているのだろう。
落ち著こう。
「そう、あなたじゃないのね」
可憐の母の冷たい視線は無くなった。
「はい」
「もしあなただったら…」
再び母ノの視線には冷たさが宿り顔をしかすと、青い線が見える。
あれ、あの青い線って某バスケ漫畫のゾーンにった時にしか見ないんだけどな
「僕じゃないんで、安心してください」
「分かったわ」
再びニコリと微笑んだ。暖かい微笑みだ。
そのとき、母ノの鞄からピピピピと攜帯が鳴り「ちょっと失禮するわ」と殘し攜帯を耳に當てて病室を後にした。
攜帯には英語で喋りかけているように聞こえて本當に何者なのだろうかと疑問が浮かぶ。
部屋に殘された俺と可憐の父との間には沈黙が流れ気まずい空気になる。
「直斗くん」
「は、はい?」
「可憐をありがとね」
「あ、いえ、結局は可憐さんが來るって決めたので」
「あー違う違う」
可憐の父はにへらと笑う
「泊めといてくれて」
ビクッとしてしまい、反的に背筋をばし目を見開いた。
バレていたのか。
「そんな顔しなくても私は母さんとは違うから安心しなさい」
「え、いやでも」
「可憐にはね、大切な他人がいないんだ」
「え?」
可憐の父は立ち上がり窓の前に立つ。座っていたから分からなかったがかなりの高長だ、180センチはあるだろう。
もう外は暗くなっている。時刻は19時だ。
窓に映る自分を見て話を続けた。
「あの子は昔から真面目で正しかったんだ」
「はい」
可憐の父は踵きびすを返し窓に寄りかかる。
その姿はドラマのワンシーンかと思ってしまう。
「でもね、直斗くん、世の中は間違っている、その間違いは年齢なんて問わないんだ。大人が間違っていれば、その子どもですら間違ってしまう。いや、間違いを正しい事だと思い正しい事を間違いだと勘違いしてしまうんだろう」
そう語る可憐の父の目は何年も前の過去を見ているようだった。
その目で語る可憐の父の話は全貌ぜんぼうは見えてこずとも曖昧模糊あいまいもこだが読み取ることができた。
「可憐は長野県にいるけど昔は岐阜に住んでたんだ、それは多分もう分かってると思うけど」
「はい、祖母の病院がここって聞いた時に実家があるんだと」
「うん、その通りさ」
「々…あったんですね」
岐阜から越して來た理由は完全には分からない。しかし可憐の父の口ぶりから察するに良い理由ではなさそうだ。
「そう、々ね」
可憐の父は俯うつむき呟つぶやく。
その々は俺には聞くことができなかった。それは容がなからず分かっていたから。聞いて踏みるようなことがあるなら不躾ぶしつけだと思うから。
「私は親という立場から何もすることができなかった」
可憐の父は窓の方に踵を返し自分の顔を睨にらむようにしてし顔を歪めを噛んだ。その表は過去の自分に対しての、否、過去と今に対しての悔しさを表している。
「可憐が君と一緒に岐阜に來てくれた時嬉しかった。それは単にお見舞いに來てくれたからではない、可憐が誰かと一緒に遠くまで來るということが嬉しかった」
俺は可憐の父の話に返す言葉が見つからなかった。
「直斗くん、どうか可憐を…」
可憐の父が言いかけた言葉を遮るかのように病室の扉が開かれた。
俺はその言葉の続きは朧おぼろげであるが分かるような気がした。
だから別に気になるようなこともなかった。
「お父さん、話が長い、待ちくたびれた」
扉を開けたのは可憐でもなく可憐の母でもない。
桃がかったショートヘアーに白の長袖、形は分からないが銀の短いネックレス、そしてスキニージーンズだからよくわかる長い腳、だが、長は160にギリギリ屆かない程度。
誰だこいつ。
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