《過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか》14話 過去に戻り後悔を拭うことは可能だろうか 8
おばあちゃんは肺がんを患わずらっている。
今まで容態はそこまで悪くなかった。しかし年齢も手伝って段々と重くなってきていたのだろう。
醫師も私たちに「覚悟しておいてください」と小さな聲で投げかけ病室を出た。
いつかはこうなると分かってはいたが、いざとなると実は無く、本當に何をするべきなのか分からない。
手ではない。
おばあちゃんは末期だから施す手は無いのだろう。
けれど、呼吸をするためのチューブを
につけるためか、手室に運ばれた。
その部屋の前の待合室で私たち家族はおばあちゃんを待った。
みんなの顔にはの気が引いているように見えているが同時に覚悟を決めているようにも見えた。
「ちょっと、外の空気吸ってくる」
私は椅子から立ち上がり一階の付まで降りて外に向かう。
自ドアが開いた。
寒い。
特に目から頬にかけ冷たさをじる。
私の頬をつたる雫しずくは最初は熱を持っていたものの段々と熱を奪われた。
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それを何度も袖で拭う。
けれど拭っても拭っても止まらない。
そしてシャボン玉のように、おばあちゃんとの思い出が浮かんでくる。
まだおばあちゃんはいなくなった訳ではない。けど…いつかはいなくなる。
その“いつか”が確実に近づいていることに私はどうして気づかなかったのだろう。
毎日心配はしなかった。それは私が鈍どんかんだったから。
おばあちゃんはお見舞いに行くたびにいつも明るくて元気で年齢に似合わない言葉や笑顔で、まるで友達と話しているかのような覚にもなっていた。
けれど、その間にもおばあちゃんには時間が近づいていて、その距離に私は気づかなかった。
「私の…バカ…」
しでも長く一緒にいるべきだった。
—バサッ
その音と同時に私のは長嶺原ながみねはら高校のブレザーに覆われた。
「——5月の夜は寒いでしょ、カーディガンだけだとキツイっすよ、ああ、でも俺は大丈夫です、特殊な訓練けてるんで」
直斗はニコリと笑って冗談をそんな冗談を言う。
「な、なんで直斗がここにいるのよ、帰ったかと思ってたわ」
私はあくまで平靜を裝いながらブレザーに腕を通した。
直斗は私を見てニコリと再び微笑んだ。
その微笑みは優しかった。
それを見た瞬間、私のちっぽけな強がりもすぐ破綻した。
涙を見て直斗はポケットからハンカチを取り出し私の顔にれた。
直斗は自販売機で二本のココアを買ったあと、一本を私に渡し、病院前のタクシー乗り場のベンチに腰をかけた。
プルタブを開けに熱をじる。
「ねえ、どれくらい待ち伏せしてたの」
「んー5分くらい、近くのコンビニとかでゆっくり立ち読みとかしてたら電車に乗り遅れちゃって、そんで戻ってきたってじです」
「直斗ってバカなの…」
「かもですね」
「今日どうするのよ」
「近くに漫畫喫茶があったんでそこで一泊しようかと」
そう言って直斗はポケットからスマホを取り出し何か作をして直斗がこれから向かう漫畫喫茶のホームページを見せてきた。
スマホを作する指は遅くきづらそうだ。
「うそつき」
「え?なにが?」
「別になんでもない」
直斗の悴かじかんだ手を見る限りずっと待っていたのだろう。けれど素直になれなくそんなことを言ってしまう。
なんでこの人はこんなにも優しくしてくれるのだろうか。
「ねえ、可憐さん」
「なに」
のしかかっていた沈黙を直斗が退ける。
「自分を責めないで」
「えっ…」
「おばあちゃんは可憐さんのことが大好きです」
「うん」
「だから…可憐さんは一緒にいれなかった時間を悔やまないで」
直斗の目は暗く塗りつぶされた空の中に一つだけ輝く小さな星を捉えているように見えた。
私は直斗のその優しい聲音に核心を突かれ返す言葉を見つけられなかった。
「近な人がいなくなると考えたとき、可憐さんはこんなにも涙を流したんじゃないか、可憐さんのおばあちゃんを大切にする気持ちを後悔っていう理由を使って隠さないでほしい」
気づくと私はまた泣いていたようだ。
「かく…さない…」
嗚咽混じりの言葉で私はそう言い放った。これは覚悟にも似たようなものだと私は思う。
おばあちゃんがいなくなることに私は後悔ばかりを掘り出し自分を責めていた。
そんな時間があったならば、おばあちゃんとの大切な時間を思い出し“ごめんね”という言葉ではなく“ありがとう”という言葉を贈らなければ…
「辛いけれど、そればっかりじゃないはずです…」
「うん…」
直斗の目は潤っていた。
その目を見た時ふと脳である映像がフラッシュバックのように一瞬映し出された。
し落ち著き、心に余裕ができた私は、直斗に向かって蠱的こわくてきにこんなことを言ってみた
「——ねえ、直斗、今度は未來どこから戻ってきたの?」
直斗は目を見開き、何も言わずに私の顔を見ている。
俺は今から4日後の5月11日土曜日から來た。
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