『超能力』『異能力』─────。

人智を超えたその力に憧れたことのない人は恐らくいないだろう。一口に超能力といっても形態は様々だ。無難なところであれば飛行能力や瞬間移能力、時間停止能力を考える人もいるだろう。或いは、し理學の知識のある人であれば重力作能力。 

だが、同じ能力をしがっていても、その使い道は人それぞれだ。これもまた超能力の魅力とも言うべきだろう。例えば同じ瞬間移の能力を手にれても、怠け者であれば、遅刻すれすれに家から目的地へ瞬間移するが、悪知恵の働くものであれば銀行の金庫へ瞬間移し、金庫のものを全て持ち去ってしまう。

もしこれらのような超常の力を手にすることができれば、きっと薔薇の人生が待っている。そう思う人ばかりだろう。だが、本當にそうだろうか。

人間というものは不思議で、手にしていないや手にらないものは『完璧だ』と信じてやまない。だが、いざんでいたものが手にると、欠點しか目につかなくなってしまう。攜帯電話の機種変更も、しい服のためにアルバイトをするのも、全てが全て「しいモノ」の為である。だが、手にれてしまったものは不便さばかりが目についてしまい、「この機能が邪魔」だとか「こっちの服の方がデザインが良い」とか、そう言ったことしかじなくなってしまうものなのだ。これは人間における大きな矛盾であるが、これがあるからこそ人間は常に向上心を持てるのかもしれない。

これから綴られるのは、そんな超常の力をまずして手にした年の語である。

彼らはまぬ力によってげられたり、苦しめられたりしてきた。

これは決して語られるはずのない語である──────。