《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》異変
自宅から俺の通う「檜戸(ひのきど)高校」までは、徒歩で約二十分ほどである。今ならし早歩きをすれば間に合うだろうか。なんてことを考えながら急いで高校へと向かう。
「やっぱさみぃ…」
一歩踏み出す度に、頬に當たる風がとても冷たい。凍っちゃう、マジで。
そんなことを考えながら學校へ向かっていると。
『ん……い……ちゃ…」
うっすらとそんな聲が聞こえ、足を止める。周囲を見渡してみても特に人影はない。気のせいだったのだろうか。
「寢不足か…」
どうやらただの空耳だったらしい。
そこからし歩くと校門が見え、ほかの生徒の姿も見けられる。
「間に合ったみたいだな…」
校門をくぐると、一人の男がこちらに向かって手を振っている。
「おせぇぞ!塚田!」
短髪の頭と大きな格が特徴である俺のクラスメイト、佐藤三郎である。
「わり、朝からバタバタしててな…」
「ったく、こっちは朝練でシンドいっていうのに、朝から妹さんと何をふしだらな…ふげッ!」
Advertisement
それ以上言うのは法にれそうな気がしたので、ラリアットを食らわせて黙らせる。
「いきなりラリアットはないだろ……」
をさすりながら三郎が言う。
「朝から下ネタはねえだろ」
 冷ややかな視線を三郎へ向けて俺は言った。
昇降口で上履きに履き替え、階段を上り、教室のドアを開けて廊下側の自分の席に著く。
「おはよう、コウジ」
後ろからそんな聲が掛けられる。
後頭部から一つにまとめられて腰までびたラベンダーのような紫紺の髪と、ペリドットのようなスプリンググリーンの瞳。長は俺と同じかし小さい程度だろうか。
彼の名前は佐伯サトミ。小中高と同じ學校に通っていた馴染で、家も近所である。
「ああ、おはよう佐伯」
短く挨拶を返す。
「そういや、一限目ってなんだっけ?」
一限目を忘れていたので、今のうちに聞いておかなくてはならない。
「ああ、一限は生だよ。ちゃんと課題やってきた?」
「え?課題?」
佐伯の口から放たれたその単語に反応する。
「そうだよ。え、まさか…」
「あのクソ出っ歯ァ……」
生擔當の教諭の顔を思い出し、思わず聲に出してしまう。
すると佐伯がノートを渡してくる。
「今回はそんなに量は無いと思うから、私の寫しなよ」
「いいのか?」
佐伯のやさしい提案にちょっと驚く。
「ダメって言っても頼んでくるでしょ?」
「ありがたき幸せ」
やはり持つべきものは友達だろうか。
ほどなくしてこのクラスの擔當教諭が教室へり、朝のSHRが始まる
普段通りに出欠を採り、授業が始まる。
だが、授業が始まると途端に眠気が襲ってくる。前日に夜遅くまでゲームをしすぎただろうか。
瞼はだんだんと重くなっていき、意識も遠のいていく。
そのとき、ポトッと何かが落ち音がする。音のした方向を見ると俺の消しゴムが落ちているのが見えた。
「あぁ~、マジか。」
ぼやきながら落とした消しゴムを拾い上げる。シャーペンを握って眠っていたためノートには何本も線が描かれている。
面倒と思いつつ、今しがた拾った自分の消しゴムで線を消そうとする。
しかし、
「痛ッ!」
線を消すために握っていた消しゴムが右手から消え、右手の親指を強く突き指してしまったのだ。すこし大きな聲を出してしまったため、周囲の視線が集まってくる。
「ちょっと、どうしたの?」
後ろの席で授業をけていた佐伯が小聲で尋ねてくる。
「いや、落とした消しゴムが消えてて…」
背後に振り返って事を説明する。
「は?あんた何言ってんの?」
明らかにヤバい奴を見る目でそう言ってくる。
「ホントだって、マジで」
「要は無くしたんでしょ?」
呆れたように肩を竦めながら佐伯はそう言った。
「違うって!マジで消えたん―――」
必死に否定しようとすると、目の前に佐伯の右手が差しべられた。
「はいはい、分かったからアタシの使いなよ」
絶対に俺の言うことを信じていなかったが、消しゴムが必要なのは事実である。
「あ、ありがとう…」
しぶしぶ右手に乗った消しゴムをけ取った。
程なくしてチャイムが鳴り、授業が終了する。一気に張が解け、靜寂に包まれていた教室が一気に騒がしくなる。
次の授業擔當の教師は比較的厳しいため、ロッカーにっている參考書を早めに準備しなければならない。俺は席を立ち、教室の後ろへと向かおうとした。が。
「うわっ!」
足をらせて思い切り転んでしまった。
本日二度目の悲鳴にまたもクラス中の視線がこちらへ集まる。
「おいおい、どーした。だっせぇなー」
見かねた佐藤が半笑いで手を差しべる。俺はその手を摑み立ち上がる。
「なんか、ったんだよ…」
足をらせた場所を見てみると、し濡れているのがわかる。
「………水?」
指でれてみても特に違和はなく、顔を近づけて臭いを嗅いでみても特に臭いは無かった。
しかし、この季節なので水筒を持ってきたわけでもないし、俺は今日一日まだトイレにさえ行っていない。そのほかに水道に向かった覚えがあるとすれば、朝洗顔と歯磨きをするために自宅の洗面所に向かったくらいである。俺の席の近くで水が滴るような要素はなかったはず。
この水は一どこから來たのだろうか。
そんなことに思案を巡らせていると、後ろから佐伯が聲をかけてくる。
「コウジ、なんか今日変だよね。合悪いの?」
「確かに。お前大丈夫か?」
佐伯の発言に佐藤が頷きながら同意を示す。
「いや、別に大丈夫だけど…」
「そう?なら良いけど」
どうやら不審に思われ、心配されてしまったらしい。心配してくれるなんて、佐伯も案外優し―――。
「コウジがいないと、帰りの荷持ち居ないから」
「佐伯ぃ…」
毆りてぇ。
確かに華奢なの荷を、力のある男が持ってやるという理屈は理解できる。だが、こんなにも堂々と、何の悪びれもなく言われると、々殺意が…もとい、々憤りを覚えてしまうのだ。
「ま、調管理には気を付けてね」
「はいよ」
そんな短いやり取りを終え、參考書を取り席に著く。
その後は特に変わった様子もなかった。その日もゆっくりと、しかし確実に一日は終わりへと歩を進めた。やがて、帰りのSHRが終わり學校を出て自宅へと向かう。
「今日はなんか疲れたな…」
最初の一限で疲れたため、思わずため息が出てしまう。
「今日のコウジは、なんか面白かったよね」
佐伯が笑いながらそう言ってくる。この、人の不幸を面白いなんて。人でなしめ。
結局のところ、帰り道は佐伯の荷持ちにされてしまった。
いくら近所とはいえ、帰宅途中に自分の荷を人に持たせるのはおかしいと思ったが、我慢するのも男の量だろうか。
「んじゃ、アタシはここで」
佐伯がそう言い出してきた。どうやら、もう自宅へ著いてしまっていたらしい。
「おう、じゃあな」
付き合っているわけでもないので、短く返事をして帰宅した。
【書籍化】俺は冒険者ギルドの悪徳ギルドマスター~無駄な人材を適材適所に追放してるだけなのに、なぜかめちゃくちゃ感謝されている件「なに?今更ギルドに戻ってきたいだと?まだ早い、君はそこで頑張れるはずだ」
※書籍版2巻でます! 10/15に、gaノベル様から発売! コミカライズもマンガup で決定! 主人公アクトには、人の持つ隠された才能を見抜き、育てる才能があった。 しかしそれに気づかない無知なギルドマスターによって追放されてしまう。 數年後、アクトは自分のギルド【天與の原石】を作り、ギルドマスターの地位についていた。 彼はギルド構成員たちを次から次へと追放していく。 「鍛冶スキルなど冒険者ギルドに不要だ。出ていけ。鍛冶師ギルドの副支部長のポストを用意しておいたから、そこでせいぜい頑張るんだな」 「ありがとうございます! この御恩は忘れません!」 「(なんでこいつ感謝してるんだ?)」 【天與の原石】は、自分の秘めた才能に気づかず、理不盡に追放されてしまった弱者たちを集めたギルドだった。 アクトは彼らを育成し、弱者でなくなった彼らにふさわしい職場を用意してから、追放していたのだ。 しかしやっぱり新しい職場よりも、アクトのギルドのほうが良いといって、出て行った者たちが次から次へと戻ってこようとする。 「今更帰ってきたいだと? まだ早い。おまえ達はまだそこで頑張れる」 アクトは元ギルドメンバーたちを時に勵まし、時に彼らの新生活を邪魔するくそ上司たちに制裁を與えて行く。 弱者を救済し、さらにアフターケアも抜群のアクトのギルドは、より大きく成長していくのだった。
8 184【コミカライズ&電子書籍化決定】大好きだったはずの婚約者に別れを告げたら、隠れていた才能が花開きました
***マイクロマガジン社様にて、コミカライズと電子書籍化が決定しました!応援してくださった皆様、本當にありがとうございます。*** シルヴィアには、幼い頃に家同士で定められた婚約者、ランダルがいた。美青年かつ、魔法學校でも優等生であるランダルに対して、シルヴィアは目立たない容姿をしている上に魔法の力も弱い。魔法學校でも、二人は不釣り合いだと陰口を叩かれていたけれど、劣等感を抱える彼女に対していつも優しいランダルのことが、シルヴィアは大好きだった。 けれど、シルヴィアはある日、ランダルが友人に話している言葉を耳にしてしまう。 「彼女とは、仕方なく婚約しているだけなんだ」 ランダルの言葉にショックを受けたシルヴィアは、その後、彼に婚約解消を申し入れる。 一度は婚約解消に同意したものの、なぜかシルヴィアへの執著を隠せずに縋ってくるランダル。さらに、ランダルと出掛けた夜會でシルヴィアを助けてくれた、稀代の光魔法の使い手であるアルバートも、シルヴィアに興味を持ったようで……? ハッピーエンドのラブストーリーです。 (タイトルは変更の可能性があります)
8 121最強の超能力者は異世界で冒険者になる
8 121異世界転生の特典は言語理解EXでした〜本を読むだけで魔法習得できるチートスキルだった件〜
主人公のアレクは、言語理解EXという特典をもらい、異世界転生することになった。 言語理解EXをもらったアレクは幼少期から家の書庫でたくさんの本を読み漁る。 言語理解EXの能力は、どんな言語でも理解してしまう能力。"読めるようになる"ではなく、"理解してしまう"能力なのだ。つまり、一度見た本は二度と忘れない。 本を読むだけで魔法の概念を理解してしまうアレクは、本を読むだけで魔法を習得できてしまう。 そんなチートスキルをもらったアレクは、異世界で二度目の人生を送る。 ほぼ毎日投稿。悪くても3日に1回は投稿していきたいと思ってます。
8 115同志スターリンは美少女です!?
歴史にその悪名を知らしめるスターリンは美少女になりました。その中身は日本の元社會人ですが、何の因果か女の子スターリンの中身になりました。 なので、第二の祖國、ソビエト社會主義共和國連邦。通稱USSRを戦禍から守っていこうと思います。 やることの多いソ連ですが、まずは國內のゴミ掃除から始めましょう。 いや、割とマジで國內の腐敗がヤバイのです。本當に、頭を抱えるくらいに真剣に。 あと、スターリンの著しいイメージ崩壊があります。 *意味不明な謎技術も登場します(戦力には関係ありませんが、ある意味チートかも)
8 165俺の大好きなアイドルが妹だった?!(仮)
ストック準備中 日本、いや世界中に愛されるアイドルがいた。その名もMain。リーダーのあいを含む3人ユニット。 そんな人気アイドルのあいが何と俺の妹だった?! ただのメガネ妹が自分の大好きなアイドルだと知った主人公、坴(りく)の日常ストーリー。
8 136