《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》片鱗

「では。決闘…………………開始ッ!!!!!」

浜曷の言葉と同時に、ヒカリは目にも留まらぬ速さでガンホルダーから銃を引き抜き、その引き金を引いた。その銃口から出された弾丸は、一直線に俺の仏にあるアテスターめがけて飛んでくる。だが、俺もヒカリ同様に開始合図と同時に両手に白と黒の炎を燈し、飛んできたその弾丸を右手でけ止め、著弾と同時に窒素へと変換する。

「おおおおおお!!!!!」

「バカな!弾丸が見えるわけない!!」

観客は歓聲を、ヒカリは悲鳴じみた嘆の聲を上げた。無論、俺だって音速を超える弾丸を目視して、尚且つその弾丸に対して右手で防を行うという一連の作を、ヒカリが引き金を引いてから著弾するまでのごく僅かな時間で出來るはずがない。

では、何故こんなことができたのか。それは先刻のお前という呼び方と関係している。

あの呼び方をした後、ヒカリは最短で倒すと言った。即ち、一瞬で決著をつけるつもりだったのだろう。だが、彼は力み過ぎていた。

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一瞬で倒すことに集中し過ぎた結果、彼の視線は常に俺のアテスターにあった。この時點で第一撃がアテスターを狙うということは確実と言えた。

さらに、より正確な撃を行うのなら、両手で一つの銃を握った方がが上がり合理的であるため、彼は片方の銃しか使わないことは推測できた。

あとは彼が発砲の反に備えて、左足を一歩引くのを確認すると同時に、右手をの前に持ってくるだけだ。もっとも、銃を使わずに能力でアテスターを破壊しようとされたなら、なすなく負けていたのだが、彼は能力より銃を行使する傾向がある。それは俺が保護されるときに特殊部隊を銃のみで壊滅させたことから想像できた。勿論、この決闘に負けないために能力を隠していた可能もあったのだが。

「コレでわかったろ?お前に俺は倒せない」

無事に第一撃を防いだ俺は、語気を強めてヒカリに言った。だが。

「たった一撃防いだくらいで………調子に乗るなぁ!!!」

ヒカリはそのまま、五発、六発と続けて発砲する。

俺は直線的に接近せず、右へ左へとを反復させながらヒカリへと近づいていく。

中には右手で薙ぎ払うように消し飛ばした弾丸もあった。そして、著実に距離を詰めていく。

俺も無闇に彼に接近しているわけではない。ある程度、彼の能力を絞ることができたのだ。

まず、彼の能力は遠距離まで屆くものではない。遠距離能力であれば、第一撃から能力を行使する可能もあったし、最初の弾丸が防がれた時點で能力を行使するのが普通だろう。

つまり彼は、遠距離では能力を『使えない』『使う意味がない』『使ってはならない』のいずれかの理由がある。

やがて距離は詰まり、ヒカリまであと5メートルというところまで接近した。

銃は戦闘において、必ずしも萬能ではない。銃を構える際は反を上手く逃がすために肘関節はびきった狀態になる。つまり、両手をばした範囲られてしまえば、銃は無意味になってしまう。また、リロードや姿勢の立て直しにかかる時間も含めると、有効程距離は更にびていく。

「くっ……このっ!!」

悔しそうに歯噛みしたヒカリは、弾切れになった銃をリロードして再度構えるよりも、能力を行使した方が効率がいいと考えたのだろうか。銃をガンホルダーへしまうと、こちらへと一歩踏み込んできた。

「………………喰らいなさい」

ヒカリがそう呟くと同時に、周囲の音が完全に消えた。かと思うと、今度は轟音が鳴り響いた。

俺は両耳を塞ごうとした。だが、バキャン!という音と共に左手の甲に痛みが走る。見てみると、刃で切りつけられた様な切り傷が出來ていた。

「なんだ……これ?」

「アンタはついにったのよ。アタシのに」

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