《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》弁當

早朝。コウジは家庭的な音によって目を覚ました。

目覚まし時計は朝7時にセットしているが、それより2時間早い朝5時。眠い目をこすりながら、音のする方であるキッチンへと向かう。

キッチンでは芳ばしい香りと、の焼ける音、そしてエプロンにを包んだヒカリの姿があった。

ワークトップの上にはし小さめの弁當箱があった。だが、そこは問題ではない。

問題なのはその數。2つだった。2つの弁當箱に同じ材が詰められていた。

「何してるんだ?」

「見てわかんないの?お弁當作ってるのよ」

「いや、それくらいは分かるわ」

「じゃあ何?」

急かすようにヒカリが言う。

「何で弁當箱が2つあるんだよ」

並んだ弁當箱を指差しながらコウジが問う。

「そんなの、2人分必要だからに決まってるでしょ。アホなの?」

「だからそういうことじゃねえって!!」

「何よ。朝っぱらからギャーギャーうるさいわね」

「2人って誰だよ!」

そう。弁當箱が二つあること自は問題ではない。その消費者が不明なのだ。一つはヒカリの分であるとして、もう一つは一誰なのだろうか。彼氏?友人?もしかして……俺?

「もしかして、アンタの分と思ったの?」

睨みつけるようにこちらを見て、ヒカリが答えた。

「殘念だけど、これはアンタの分じゃないわ。用が済んだらどっか行って」

猛犬を追い払うように手を振られ、コウジは背を丸めて立ち去った。

と、見せかけてはいたが、実際はベットで橫になったままヒカリが家を出るのを待っていた。

しして、ガチャッという音ともに玄関から人が出て行く音を聞く。ヒカリだ。コウジはその音を聞くと、ヒカリの後を尾けた。

つまるところ、これはいわゆる尾行である。本人は勿論、他の學園の生徒にも目撃されることはあってはならない。

「あの弁當…………誰のだ?」

たかだか弁當如きにストーカー紛いの行為をしていると考えると、なかなかに稽だった。だが、それでも一度芽生えた疑問はそのまま放置していてはならない。勉強もそうだ。つまりストーキングは勉強だ。何言ってんだ俺は。

尾行を続けていると、ヒカリは學園の校舎にっていった。ということは、ここの學園の生徒だろうか。

だが、ヒカリは職員室で教師から鍵をけ取ると、そのまま歩き続け、やがて重厚な扉の前に立った。

「校舎にこんなとこあったのか…?」

ヒカリはその扉を先刻け取った鍵で開けると、そのまま奧へとっていった。

當然コウジもその後に続く。

扉の向こうは長く薄暗い下り階段で、下りていくにつれて気溫がしずつ下がっていくのを皮じる。

やがて、白いが見え始める。

そのの正はLED燈で、燈の元へと行くとその照明が照らしているものが見える。

純白の大きなベッド、そこに座る痩せた、仕切りのカーテン、ベッドの側に立つ白の男。

「ココは……………病院?」

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