《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》

「ココは……………病院か?」

ヒカリの後を尾けた果てに辿り著いたその場所で、コウジは一つ言葉をこぼした。

すると背後から聲をかけられる。

「なんで………アンタがこんなところに…………?」

振り返る。そこには、つい先程まで尾行対象だった城嶺ヒカリの姿があった。コウジを見つけたことに驚きを隠せない様子だった。

「いや、これは…その………」

「…………尾けてきたの?」

靜かな怒りを込めたその聲で、コウジへと問いを投げかける。

「……………ああ」

「…どうして?」

「その…弁當が誰のものなのか……し気になって……」

「……………そう」

「怒らないのか?」

コウジは、この尾行が発覚すれば間違いなくヒカリは激昂し、絶することになると思っていた。だが、ヒカリは存外落ち著いた様子でコウジの橫を素通りして行ったのだ。

「怒らないわよ。悪いのはアタシだわ」

ヒカリが背を向けたまま言う。

「アンタが同い年の子の後を尾けるような、気の悪い変態っていうことを計算にれなかったアタシが悪いの」

その言葉には無論、怒りが込められていたが、同時に悲哀や呆れのようなものもじられた。

「…すまん」

「謝るくらいならさっさと出てって!!このストーカーが!!!」

コウジはその言葉に後ずさり、そのまま病院を後にした。

「あっ!おはよう!コウジくん!」

「ん、ああ。おはよう」

病院を出たコウジは、そのままSSクラスの教室に來ていた。

ただでさえギスギスした共同生活に、さらに大きなヒビをれてしまった。

「どうしたの?元気ないね」

「まあ、城嶺と々あってな…」

「コウジくんの相部屋って城嶺さんなんだっけ?」

「ああ、そうだよ…」

と、そこに。

「アタシがどうかしたの?」

カバンを手にしたヒカリが、レンタの背後に立っていた。

「いっ、いたの!?」

「いたわよ。あと、口や噂はもっと小聲でするものよ」

「いや、そんな話はしてないよ…」

レンタが苦笑しながら否定する。同時にコウジの中である考えが浮かぶ。今ならあの病院について何か聞けるかもしれない、と。

「なあ、城嶺。さっきのアレは───」

「あ、もうSHRが始まるわね」

その言葉は最後まで言い終えることなく、半端に途絶えてしまった。否、遮られてしまった。

「城嶺。帰ったら聞きたいことがある」

今度はし聲を大きくし、再びヒカリに言う。

「奇遇ね。アタシもよ」

冷ややかな視線をコウジへ向けたまま、ヒカリは応えた。

帰宅後。 507號室のダイニングにて、2人は対峙していた。

「今すぐ507號室から出てって。アンタみたいな気の悪い奴と一緒の部屋なんて免よ。しでも“大丈夫かも”なんて考えたアタシがバカだったわ」

「その前に!お前が今日行っていたあの地下について教えてくれ!!」

議題は今後の部屋についてだ。

ヒカリはコウジのストーキング行為に痺れを切らしており、部屋を出ていくことを要求している。

一方でコウジは、ヒカリが足を運んでいた謎の地下施設について説明を求めていた。

「そんなのアンタにはなんの関係もないでしょ!!」

「相部屋の人間が何してんのかくらい把握させろよ!」

「その考え方が気持ち悪いって言ってんでしょ!!それにもう相部屋じゃなくなるんだから関係ないわよ!!」

犬も食わない喧嘩とはまさにこのこと。

「頼む。教えてほしい」

突然コウジがヒカリに頭を下げて頼み込む。その様子にヒカリが微かに揺する。

「い、嫌よ」

「お願いだ」

ダメ押しにもう一度。

「わっ、わかったわよ……。見られたからには説明するわ。でも、説明したらすぐに出て行ってちょうだい」

頭を下げながら、コウジは心でニヤついていた。

「ありがとう(やっぱコイツ、チョロいな)」

數分後、落ち著きを取り戻した2人で。

「アンタ、病室のの人、見た?」

「ああ、えらく痩せてたな…」

「あの人はね………………アタシのママよ」

「………………は?」

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