《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》降下

數分歩くと、すぐにヘリポートのある屋上へ著いた。

だが、扉を開けると、そこにはヘリはなかった。代わりに、巨大な深緑があった。

それは─────。

「………オスプレイ…?」

そう。そこに佇んでいたのは、何枚もの回転翼を備えた巨大なオスプレイであった。

すると、その中でコウジに手招きをする人影が見える。レンタだ。

「コウジくーん!早く乗ってー!」

らしい笑みを浮かべながら、ひらひらと手を翻すレンタ。

コイツはもうでいいだろう。

オスプレイに乗り込むと、會議室にいたSSランク生徒の他に、S+ランクの生徒が50名ほど座っていた。

コウジも皆に倣い、備え付けのシートに座り、シートベルトを締める。

それと同時、一人のが厳かな口調で言う。

「これよりこの機は離陸し、十分ほどで足立區へと著くだろう。各々で戦への心構えをしろ。呉々も抜かりなどないように」

そういったは、目を瞑っていた。

しい黒髪は一つに結わえて背中までばしており、刃渡り1メートル程の日本刀を攜えている。

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SSランク序列第6位、鵞糜サナエだ。

大きな刀を持っていながら、特に違和はなかった。それは、大きな武を攜えているのは彼だけではなかったからだ。

各々が各々の固有武を既に準備している。

或いは雙刀を、或いは戦を、或いは大鎌をそれぞれ持っている。

サナエは最後に「では、三笠。頼んだ」と、正面に座っているを見ながら言った。

は「はい」との抜けた聲で返した。

淺蔥の髪が肩甲骨辺りまでびていて、その黒い瞳は眠たげだ。

はおもむろに目を瞑ると、息を一つ吐いた。

すると、アテスターの花の意匠が強く輝く。

コレは才華を行使するサインだ。

そして、彼はこう呟いた。

「─────〈萬回折Full Diffraction〉」

しかし、アテスターのが消えても特筆するような変化は起こらず、その直後、プロペラの回転音とともに機は浮上した。

中、コウジは隣席のレンタに尋ねた。

「なあ。離陸の直前に何かやってたけど、あれなんだ?」

「あー。あれはステルスだよ。あの子は『三笠リン』って言うんだけどね。核者が“グリマルディ”って人で、才華が『れたに當たった波を完全に回折させる』ってモノなんだよ」

回折。それは電磁波や音波において発生する現象だ。

通常の場合、観測者Aと観測者Bが互いに向かい合っているとき、その中間地點に巨大な板を一枚挾めば、AはBを、BはAを互いに視覚的な観測ができなくなる。

しかし、Aが「私はここにいます」と聲に出せば、その聲はBの鼓を震わせ、聴覚的に観測することが出來る。このとき生じているのが、“波の回折現象”である。

波は障害へぶつかると、その障害の背面へと回り込む質を有しており、波長が長ければより回り込める。音や水は特にこの現象が顕著に現れる。しかし、電磁波の場合、その波長は音の約100萬分の一であり、人間ができるほどの回折は生じない。

だから、とレンタは続けた。

「三笠さんの能力を使えば、レーダーはもちろん、眼や遠鏡でも見えないし、ソナーでも絶対にわからない。完全無欠なステルスだよ」

興味深げにレンタが笑う。

「なるほどな……」

様々な才華や核者が存在しているのだと改めて実したコウジだった。

すると。

「目的地上空へ到著した!SSランクの生徒は全員降下を開始しろ!」

と、サナエがぶ。

それと同時に、機の気圧がしずつ下がり、乗り込み口の扉が開く。

「えっ?降下??」

コウジが指示の容を理解できず右往左往していると、レンタがコウジの肩にリュックの様なものを背負わせる。

「なあ。これから何するんだ?」

「さっき言ってたじゃん。降下するんだよ」

脳裏に嫌な予がよぎる。

「ま、まさかそれって…」

「うん。“飛び降りスカイ・ダイビング”だよ」

「噓やんけぇ!!!」

悲鳴じみた聲でそう言うが、その聲を無視してレンタはコウジの手を引く。

「よし!!降りるよーっ!」

だっ。と、レンタが機の床を蹴る。

コウジとレンタのは機を離れて宙へ放り出される。

「ぃいいやぁああああ!!」

猛烈な浮遊がコウジのを襲った。

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