《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》逆境

毆打。毆打。毆打。発砲。発砲。

【排斥対象イントゥルージョン】という暴力ちからを、より大きな“才華”という威力ちからでもってねじ伏せる。

コウジはナックルダスターを裝著した左手で、ヒカリはその両手に持った拳銃でそれぞれ【排斥対象イントゥルージョン】の中樞を打ち砕く。

瞬間、ヒカリの目前まで【排斥対象】が迫る。

即座に引き金を引く。が、弾丸が出されない。

弾切れだ。まだ弾倉はあるが、リロードするような暇はない。

まずい、やられる。

が、背後からコウジの聲が聞こえる。

「城嶺ぇ!上だ!」

頭上を見る。そこには巨大な明な球があった。

重力に従い、自由落下の最中のその球

ヒカリは一瞬思考が停止した。だが、すぐに理解した。

そして、んだ。

「なるほどね……。開華!─────〈自在周波數FREEQUENCY〉!!」

ヒカリのアテスターの花の意匠が強く瞬くと同時、周囲を轟音が満たす。

すると、ヒカリの頭上の球は地面へ落ちる前に砕され、周囲へと飛び散った。

飛び散ったその破片は、【排斥対象】のを抉りながら著地した。

ヒカリに向かっていた【排斥対象】の前腕は呆気なく切斷される。

ヒカリはその隙に拳銃のリロードを行った。

すると、コウジが得意げに笑いながらこう言った。

「俺特製のガラス球だ。どういたしまして」

実際にヒカリはコウジのおかげで助かった訳だが、その自慢げな様子に不思議な憤りを覚えたヒカリだった。

先程ヒカリの頭上にあった明な球は、二酸化ケイ素の非晶質アモルファス。すなわち私たちが普段目にするガラスだ。

コウジは自の才華で以って、その巨大なガラス球を生み出し、投擲した。

そして、ヒカリは周囲の音の振數をガラス球の固有振數と同期させ、破壊し、あの逆境を乗り越えた。

だが、あの狀況を切り抜けたからと言って、ヒカリとコウジが無事に生還できる保証はなかった。

加え、力的にも限界が近づいていた。

いくら才華を持っていたとしても、が強靭になったり、関節がになったり、持久力が増したりといった特典はない。

あくまでも付與されるのは能力だけで、それ以外は普通の人間と全く同じなのだ。

ヒカリもコウジも、額に汗を滲ませ、肩で息をしている。

このままでは2人が負けるのも時間の問題だった。

先程ガラス片で前腳を切斷した【排斥対象】も、すでに態勢を立て直し、ヒカリに襲いかかろうとしている。

萬事休すと思われた、その時だった。

【排斥対象】の中樞から刀の切先が生えたのだ。否、刀が生えたのではない。

──────【排斥対象】は、背後から日本刀で貫かれたのだ。

中樞を貫かれた【排斥対象】は、その場で虛空へ溶け消える。

そして、【排斥対象】の中樞を刀で貫いた人の顔が見える。

長い黒髪を後頭部で一つに結わえた長

つり目がちだが、その眼からは優しさのようなものじられる。の名は…………。

「…………鵞糜!?」

ヒカリは驚愕しながらその名を口にした。

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