《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》相談

6限目はLHRだった。

その中で、擔任の簑田紗枝が、教卓で話していた。

「えーと。最近、なんだかヤな事件が起きてます。なんでも、高校二年生を中心に、傷害事件が起きてるらしーよー。被害者はみんな人気のない路地裏で襲われてるみたいで、のどっかがちょん切られちゃってるみたいねー」

話の容と簑田の口調が全くマッチしていないが、事件の概要は伝わった。

「んで、事件が頻繁に起きてるのは新潟県の糸魚川らしくて、犯人の特徴は長175cmくらいで、ガタイがいいらしいね。それでいて、めっちゃ強いらしいよ」

ガタッ。と。その話を聞いたサナエが立ち上がった。

「そ、その犯人は……何か武を持っていたか?」

そのサナエの質問に、一瞬戸った簑田が答える。

「えぇっと……。そういう報はないけど、5、6人が鉄パイプ持って襲ったのに、たまたま落ちてたデッキブラシで全員返り討ちにしたらしいよ」

「……そうか………」

「あ、それと。なんか、鏡で切りつけられたって言ってる子が何人かいたよ」

「…鏡……か…」

その表を曇らせながら、サナエは著席した。

放課後。「相談がある。このあと喫茶店で會えぬだろうか?」

コウジにそう尋ねてきたのはサナエだった。

結局、朝の話はタイミングが合わず、サナエから聞くことができなかった。

「ああ。俺でいいなら、話聞くくらいならできると思うけど…」

「ありがとう。では、宵の漆時に」

そういうと、サナエは何処かへ行ってしまった。

こうなると、コウジも7時まで暇になる。とりあえず、寮に帰ろう。

時刻は17時。寮室の扉を開け、靴をぎ、手洗いとうがいを済ませてダイニングへ。

すると、芳しい香りが鼻を抜けた。

「長かったのね」

キッチンを見るとそこには、夕食の支度をするヒカリがいた。どうやら夕飯はビーフシチューのようだ。

「ああ。今朝の廊下の話、このあと詳しく聞かせてもらうんだ」

「そうなのね。帰ってくるのは何時になりそう?」

「んー。どんな話されるのか見當もつかないから、そればっかりはハッキリしないけど、話が終わったらすぐ帰ってくるよ」

「あら、そう。誰がいるの?」

「鵞糜と二人きりだけど…」

「……そう」

瞬間。僅かにヒカリの表が曇った。

「い、一緒に行くか?」

「行かない」

「弁當味しかったよ」

「あっそ」

「え?怒ってるの?」

「…別に」

「そっか…。怒ってるのか……」

「……」

ヒカリはその言葉に、反駁はできなかった。當然だ。怒っているのだから。

自分に「優しくする」と言った男が、翌日には他のと二人きりで喫茶店へ向かうのだ。なんだから裏切られた気分である。

もっとも、裏を返せば、それは誰にでも等しく優しいという長所ではあるのだが。

ヒカリは、に翳りを殘したまま、コウジを見送った。

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