《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》私盟
喫茶店『FERTILIZER』は、聖アニュッシュ學園の生徒たちの憩いの場である。
営業時間は朝9時から夜10時まで。勉強をする生徒、部活仲間と談笑する生徒。様々な生徒でいつも賑わっている。
だが、夜7時を過ぎると生徒たちは翌日の授業の準備や、家事のために帰宅していく。
そんな靜かな店に二人、男が向かい合って座っていた。年はティーカップに注がれたストロベリーティーを、は湯呑みに注がれた緑茶を啜っていた。
「それで、相談ってなんだ?」
「今日の6限で、簑田先生が仰っていたことだが…」
「あの、糸魚川の連続傷害事件か?」
新潟県糸魚川市で、連続して傷害事件が発生している。被害者は高校二年生が多數で、いずれもの一部を切斷されている。
証言によると、犯人の長は175cmほど、恵まれた格で、高確率で武道経験者。また、犯行の際に鏡のようなものを使っていたとの証言もある。
「左様だ。あの事件、才華による犯行だと我は睨んでいる」
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「…なんだと?」
「犯人は恐らく、何かしらの才華を得た。そして、その才華で犯行に及んだ」
やけに強く、確信に満ちたサナエの口調にコウジは尋ねた。
「そう思う拠は?」
「被害者は皆、の一部が斬り落とされていた。だが、その切斷面があまりにもらかすぎた。どんな刃でも再現できないほどに」
それに、とサナエは続けた。
「厳には切斷ですらなかった。斷面積が一致しないのだ。切斷ではなく、一部を抜き取られたという方が適切だ」
「なるほど……」
の一部を抜き取り、切斷に見せかけ、且つその斷面はこの世のどんな刃でも再現できないらかな切り口。
犯人が才華を持っているというのも頷ける。
「それだけじゃない、これを見てくれ」
そう言って、サナエがタブレット端末を手渡してきた。
その畫面は真っ暗で、その上に赤い文字が羅列されている。
その羅列を、コウジは半ば無意識に読み上げた。
「……業報サイト…?」
その不穏な響きに、サナエはこくりと頷いた。
「このサイト。怨んでいる人間の名を書き込むと、その人間に何かしらの罰を下すらしい。簑田先生に調べてもらったが、このサイトの設立はつい二週間前。そして、被害者の名前は犯行以前にこのサイトに名前が書き込まれていた」
「じゃあ犯人は…」
「…このサイトの管理人である可能が高い」
だが、まだ最大の謎が殘ったままだ。コウジはその疑問を口にした。
「────なんで、それを俺に?」
そのような推測は學園側に言うべき報であり、コウジに告げたところでメリットはないはず。
サナエは「そうだな」と、一度視線を伏せ、もう一度力強くコウジの目を見た。
「…………我に…力添えしてくれぬだろうか」
「…と言うと?」
「既に學園は、サイト管理人に學園への招待狀を送っている。だが、犯人は拒否するどころか、これ以上自分に干渉するなら大勢の人を犠牲にすると言っている」
犯人は好戦的な格だ。
大勢の人を傷つけるという発言も噓ではないだろう。
「我々が保護された時と同様、犯人も保護するべきだ。だが、才華の容が不明であるが故に、単獨で保護へ向かうのは危険なのだ」
「だから、俺に頼んだのか?」
「左様だ。尤もっとも、嫌なら他を當たるが」
「いや。俺で良ければ力に───」
言いかけて言葉が詰まる。脳裏を過ったに、口を塞がれた。
ヒカリだ。今の彼は、表面上こそ普段通りかもしれないが、母親という、ヒカリを構する上で重要な要素が欠損した狀態にある。そんなを一人殘して良いのだろうか。
答えは否。先刻、家を出る時に背中へ刺さった視線の悲しさを無視できない。
「─────ヒカリも。城嶺も、一緒で良いか?」
「ああ、勿論だ。人手が多いほうが、こちらも心強いからな」
サナエは、嫌な顔をするどころか喜ぶように快く頷く。
「よし。それならこの3人で犯人を保護しよう」
「うむ。突然の相談で悪かったな」
二人は固い握手をわすと、店主に禮をしてから店を出た。
コウジと別れたサナエは、暗い夜道を一人で歩く。
そして、ふと呟いた。
「……………待っていろ、マサタ」
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