《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》焦燥

「コウジ君……って、どしたの?その顔。真っ白に燃え盡きた顔してるけど?」

赤髪を後頭部で一つに結えた年が、そう聲をかける。

「ああ、レンタか…。おはよう…」

機に突っ伏したコウジは、その顔を見てからくように答えた。

朝から暴言で心をKOされたのだ。燃え盡きた顔をしていてもおかしくはないか。

三限が終わった晝。そろそろ晝食を摂ろう。

するとそこへ、長が駆け寄る。

「塚田!大変だ!」

長く黒いポニーテールのの名は鵞糜サナエだ。

「おぉ…。ど、どうした?」

を起こしながらサナエの方を見る。

その顔は蒼白で、急事態であることを示唆している。

「奴が……犯人がいた…!」

「はっ!?」

「急いでくれ!現場へ向かうぞ!」

「あ、ああ!」

サナエとコウジは、急いでヘリポートのヘリに乗り込んだ。

「現場は?」

「…大阪だ」

「大阪っ!?間に合うのかよ!」

「分からぬ。だからこそ、全速で向かわねばならん」

ゆっくりと機が持ち上がり、下向きにGがかかる。

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「でも、なんで大阪に…?事件が起きてたのは糸魚川だろ?」

「奴は大勢の人を巻き込むと云っていた…。大阪で多くの人が集まる場所といえば……」

「UAJか…!」

UAJ。Universal Amusement Japanの略稱で、今や世界的に人気を誇るアミューズメントパークである。

そんな場所で、傷害行為目的で才華を使えば…。

結果は火を見るよりも明らかだ。

「む…?所で、何をしておるのだ?」

俯き加減のコウジに、サナエが問いかけた。

その手にはスマートフォンが握られている。「ああ。SNSで報を集めてんだよ。テレビや新聞なんかより斷然早いからな」

る程な…」

サナエは心したように頷いていた。

「それより、犯人の報を教えてくれ」

顔も名前も知らないのに、數多の來場者の中から犯人を特定するのは不可能に近い。

「此れだ」

そう言うと、サナエはステープラーで留められた紙束をコウジに手渡した。

その紙には、ダークブルーの髪をした年の顔が載っていた。その雙眸は濃紺で、優しげな雰囲気を醸している。

そして、その顔寫真の下には様々なプロフィールが記されている。

《 那原マサタ

長・177.4cm       重・69kg

       生年月日・平15年7月10日

年齢・15歳 型・B- 》

簡潔ではあるが、十分な報がそこに記されている。同時に、學園の報収集能力を改めてした。

その資料に目を通していると、1時間半ほどでUAJが見えてきた。

SNSで目立った報はなかったが、サナエは焦燥を表すように頻りに貧乏ゆすりをしていた。

「降下點だ。行くぞ」

サナエは短くそう殘すと、ヘリから飛び降りた。

「おい!ちょっ、待てよ!」

蕓能人が言ったセリフを吐きながら、コウジはその背を追った。

飛び降りてから數分で、足が地を捉えた。

なんの騒ぎも起きていないアミューズメントパークの敷地に著陸すれば、単なる無銭場に過ぎない。

そこで、コウジとサナエは、パークから程近いホテルの屋上に著地した。

「なあ、こっからどうするんだ?」

「手段は二通りある。其の一は、其処の扉を開け、何事も無いかの様にエントランスを抜け、現場へ向かう」

そう言いながら、サナエは左手側にある扉を指差した。どうやら、あの扉が階段に繋がっているらしい。

「その二は?」

「もう一度、此処から飛び降りる」

「………え?」

「もう一度、此処から飛び降りる」

「聞こえてるわ!」

コウジは思わずんだ。

ココから?飛び降りる?死んじゃうよ?

この、さては脳筋だな?

そんな思いをめながら、コウジはサナエに提案する。

「と、扉から抜けようぜ…」

「ふむ。承った」

そう言うと、サナエは腰に攜えられた鞘から刀を抜いた。そして、その刀で─────。

─────ジャキン、と。扉を切斷した。真っ二つに。

「………………」

「行くぞ」

もはや驚きで聲が出ない。

え、なに、今の?斬ったの?刀で?えっぐ…。

驚きに固まる暇もなく、サナエと共に階段を駆け下りる。そのままエントランスを抜け、ホテルからパークへと向かった。

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