《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》増援

ヒカリの遙か後方。一際高いローラーコースターの最高到達點に、人影が確認できる。

「おい、ヒカリ。今、何した?」

コウジは思わず問いかけていた。

「盡つくしレナ。A+ランクの生徒よ。彼の固有武がスナイパーライフルだから、それで撃ち抜いてもらったの」

「い、いやでも!あそこからここまでは直線でも1500メートルはあるぞ!」

直線距離で1500メートルと言う事は、実際に弾丸が描く軌道は三平方の定理に則り、1500メートルよりも長くなるはずである。

そんなことを考えていると、コウジのアテスターからも聲が響く。

「初めまして。A+ランク16位、盡レナと言います」

がそう言うと、今度はまた違う聲がアテスターから鼓を震わせた。

「はぁっ……はぁっ……。妹の…盡ハナ……ですっ………」

その聲は荒く、息が上がっている。

まるで、今尚走り続けているかのような…。

瞬間。

「さよならねッ!!!」

ハナというの聲が、そうぶ。

同時。

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ドグォォン!

発音が鼓を、衝撃が皮を揺るがす。

方角は、先刻までマサタがいた方位。

振り返る。まさか…マサタがまた何か行を起こしたか?

だが、視界はその推測が過ちであると示した。

そこには半徑2メートルほどのクレーター。

飛び退くマサタ。

そして…………巨大な戦斧せんぷを振り下ろした緑髪の

は、重心位置の変化と戦斧の柄の回転に耐えられずに、が大きく地面から離れている。

「すばしっ…こいねー。逃げら……れちゃっ…たねー」

が肩で息をしながらそう言う。呼吸くらい整えてから喋ろう。

「うぜえんだよ!!」

マサタが勢を立て直しながらんだ。

その手に握られた薙刀の鋒きっさきが、ハナの首筋目掛けて空間を駆ける。

しかし、鋒は獲を捕らえることなく空中を裂く。

ハナは大きく仰反ることで、その攻撃を回避していたのだ。

さらに、摑んでいる戦斧の取手を強く引いた。

戦斧の刃が深々と地面に食い込んでいるため、戦斧は移しない。代わりに彼がマサタのいる方向へと移する。

そのまま彼の右足の踵が、マサタの顎を蹴り抜こうとする。だが。

マサタはその右足首を摑むと、薙刀を逆手に持ち替えた。

そして、彼の鳩尾みぞおちを突き抜こうと振り抜く。

だが、またしても鋒は獲を見失ってしまう。

はその圧倒的な速度の反応により、マサタの薙刀を躱していた。

というのも、彼はその上半を捻り、地面と垂直であった背を地面と平行にした上で、空いた左足で戦斧の柄を蹴り、一気に上を起こすことで攻撃を回避したのだ。

次いでハナは右手で拳を作ると、容赦なくマサタの顎を振り抜いた。

瞬間。一気にマサタの視界が大きく揺れ、手元から力が抜けていく。

當然、空中という不安定な狀態で放たれた攻撃は、十全な威力を発揮しない。

それでもハナの拳がマサタの意識を揺るがすことができたのは、彼の戦闘経験の富さと、のこなしの巧さによるものであると言えるだろう。

ハナはそのまま、今度は左腳の膝でマサタの顎を蹴り抜く。

大きく姿勢を崩したマサタは、地面に餅をつく。

その様を見下すように、ハナが言い放った。

「まー、何でこんなことしたのか、學園で聞くねー」

立て続けにダメージを加えられたマサタの顎は、鈍い痛みを発している。

視界が定まらず、相手の発言を理解するので一杯である。

だが、一つだけ察したことがあった。

(ここで負けたら………負けたら……)

「あのゴミ共以下じゃねぇかぁあああああああ!!!!!!!!」

そうぶと、跳ね起きの要領で一気にを起こす。

同時に、地面に傾斜のついた3次元を作る。

まるでそれは…スターターブロックのような。

それを蹴ると、通常では考えられないような速度で、マサタのはハナの元へいた。

原理は単純だった。

3次元があらゆる力やエネルギーを完璧に跳ね返すのなら、それに力を加えれば、加えた二倍の力で跳ね返る。

人が走るとき、特にスタートダッシュにおいて、足で地面を蹴り抜くという作用があり、それに対して地面は蹴った足を押し返すという反作用が起こり、は前方へとき出す。

だが、それが地面ではなく3次元であった場合。加えた力が跳ね返り、さらに反作用が加わる。

つまり、與えた力が1である場合、その力に対し反対向きに生じる力は2である。

これにより、マサタはハナに薄する。

圧倒的な速度と、低く落ちた重心は、ハナにタックルをする為であると推察させた。

ハナはそれを見切り、大きく跳躍する。

マサタはハナの下を通過する形になる。

しかしそれは、マサタの思通りであった。

マサタは立ち止まることなく直進を続け、それにれた。否、その人。だ。

「鵞糜がびィ!」

コウジは思わずんだ。

そう。マサタがれたのは、未だきの取れぬままのサナエであった。虛うつろな眼をしたサナエの顔が、マサタに前髪を摑み上げられることでわになる。

しかし、そんな狀況でありながらも、サナエは聲を発した。

「どうし…た…。殺す…のか…?ふっ……やはりお前は…×××だな……」

嘲笑混じりのその聲を聞き、マサタはんだ。

「〈境界超越Manifold Breaker〉ぁぁあ!!!!」

同時。サナエは……………………消えた。

そこに服と、刀のみを殘して。

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