《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》分岐

那原マサタ。その生涯を、ここでは彼の記憶に基づいて述べる。

マサタは新潟県糸魚川市で産聲をあげた。

父親は小さな剣道場の師範。強く、厳しく、そして優しく。マサタを心共に育んだ。

母は病弱で病床で力なく微笑むところしか見たことがない。

だが、父と二人で母の見舞いに行く時、両親は共に笑顔で夫婦仲は非常に良好だった。

だが、そんなある日だった。

父が話があると、マサタを今に呼び出した。

冬の凍てつく空気を、囲爐裏の炎が溶かす。

その炎を挾むようにマサタと父は対峙した。

「父さんと母さん、離婚するんだ…」

『…え?』

剎那。マサタの思考が完全に停止した。

「ごめんな…マサタ……」

『ちょ、ちょっと待てよ親父!なんでだよ!』

「…………お金だよ……」

『は?』

「母さんの治療費を工面くめん出來なくなってな…」

『…ふっざけんなよ!じゃあお袋を見捨てんのかよ!だったら最初か───』

「母さんが!……そうしてくれと頼んできたんだ…。俺だってこんな事はしたくないんだ……」

『なら!俺がバイトでも何でもするよ!だからそんなこと言うなよ!』

「お前は…本當に良く育ったな。でも、それもダメだ。母さんは、誰にも迷かけたくないって…」

『迷掛け合えるのが家族だろ!』

「家族だからこそ、相手の意思は尊重するべきだ」

『そ、そんな……』

翌日。マサタは泣きながら離婚屆に判を押す父親の寂しい背中を、何も言えずに見ていることしかできなかった。

それから父親は工事現場で働くようになった。

だが、それでも二人で食い繋いでいくのが一杯だった。

しかし、父親は休日には必ずマサタと稽古をつけてくれた。

平日は學校帰りに一人で走り込み、筋トレ、素振り等を行い、休日は父親と稽古をする。それがマサタの日課だった。

父の様なけない男になりたくない。

その一心で木刀を握りしめていた。

それから一年ほど経った頃。

炬燵こたつで眠ってしまっていたマサタは、夜中に目を覚ました。テレビもつけたままで眠っていたらしく、今も畫面の向こうで賑やかなCMが流れている。

電源を切り自室のベッドで眠ろうとした、その時だった。

電源を切りはぐったのか、再び畫面が點燈する。

そこには、煌びやかな裝を纏い、ステージの上で歌って踴るの姿があった。

しかしそれは、本の人間ではない。

紛れもない──────アニメ映像だった。

普段なら気にも留めず、すぐにまた電源を切っていただろう。

だが、マサタはえも言われぬ魅力に圧倒され、気が付くとエンドロールが流れるまで畫面を見っていた。

それからと言うもの、マサタは毎日のようにその番組を視聴した。

その他のアニメ番組も、クラスの友人からDVDを借りたり、原作の漫畫を借りたりした。

いつしか、マサタはそれらのコンテンツを心の底からするようになっていた。

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