《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》排除

「いやぁー、ちょっと買いすぎちゃったかな」

自分の手元から鉛直にぶら下がるビニール袋を眺めて、マサタはぼやいた。

だが、口でこそ後悔してる風を裝ってはいるが、その口角は上がりきっており、まるで満足しきっている様だった。

すっかりと“大ファン”になっていたマサタにとって、アニメはもはや生活の一部と化していた。

そんなマサタも高校生になった。スクールバッグにはアニメキャラクターがプリントされた缶バッジとストラップが大量に付けられていた。

更にクリアファイルや下敷き、筆記用に至るまでが、大好きなアニメのグッズであった。

原理は単純で、「好きなものに囲まれたい」という極めて一般的なもの。

きっとそう思ったことがある人もなくないはずだ。特に、何かをこよなくしたことがある人は。

例えばアイドルが好きなら、団扇やサイリウム。銃が好きなら、モデルガン。何かのマスコットキャラクターが好きなら、ぬいぐるみ。歌手ならCD、畫家なら絵。と、いった様に、人は好きなものを自分の傍に置いておこうとするものである。

無論マサタも、その一つに過ぎない。

しかし不思議なことに、そんな誰もが抱いたことのあると、やったことのある行を、表面化させてはならないと考えている人間が一定數存在している。

否。そう考えているのではない。彼らにとって重要なのは、表面化させたことではなく、どのような趣味を表面化させたかである。ある趣味は許され、また別の趣味は許されない。

結果から端的に言おう。マサタはいじめをうけた。

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