《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》服用

帰宅してすぐに、マサタは渡された薬を服用した。

違法薬や毒など、様々なリスクを想定する。

だが、仮にこの薬が違法薬で、検挙され、服役することになったとしても、今自分が通っている學校よりは居心地がいいだろう。

また、これが致死量の毒であったとしても、死ぬことで現狀から解放されるのなら、それもまた悪くないだろう。

「これで楽になれんのかな……」

そう呟き、カプセルを嚥下する。だが、変化は訪れなかった───────────その時は。

変化が現れたのは、その日の晩。寢に就こうとしていたマサタを襲ったのは、激しい頭痛だった。

脳が膨張し、破裂するような痛み。その他にも様々なの不調がマサタを苦しめた。

頭痛の他に、吐き気・嘔吐・眩暈・発熱・腹痛・下痢・手足の痺れ等だ。

そんな最中に、マサタは幻影を見た。

自分の目の前に、自分が居たのだ。

だがそれは自分ではなく、鏡に反した自分自であった。

しかしその鏡は、れるなり消えて失くなり、元の虛空へと戻ってしまった。

マサタの頭の中で様々な想定が浮かんだ。

自分は夢を見ているのか?それとも幻覚か?やはり劇薬か?はたまた、違法ドラッグだろうか?

そう考えるマサタの手は震えていた。

それは癥狀なのか、それとも土壇場で怖がってしまっているのか。それは知る由もないが。

今考えればそれは、自で生み出した3次元空間に過ぎないのだが、なにも知らない人間がそれを理解できるはずもなかった。

マサタは布団に潛り込むが、眠ることはできなかった。

眠れても、苦痛によってすぐに目が覚めてしまうのだ。

結局、癥狀が治ったのは朝5時を回った頃だった。

マサタは皆勤賞を失うことを覚悟しつつ、病院へと向かった。

そして、醫師に昨夜の病狀や、もらったカプセルの事を洗いざらい話した。

尿やの検査、幻覚・幻聴などの癥狀の問診など、危険ドラッグ等を摂取したときに現れる癥狀を徹底的に調べられた。

暫くして、醫師が検査結果の記された紙を渡した。

「検査の結果は───────でした」

「え?」

「よかったですね。でも、もう知らない人からもらったものを口にしてはいけませんよ」

醫師は優しく微笑んだ。

「…………………」

「それでは、お大事になさってください」

そう言うと、醫師は頭痛薬や解熱剤がった紙袋を手渡した。

きっと、この結果は喜ぶべきなのだろう。

だがマサタのの中にあったのは、現狀を何も変えられなかったことに対する落膽と、あのの思うままに騙されたことに対する無念だった。

「……遅刻か…」

ケータイ畫面に表示された時間は午後二時半。

今から學校へ向かえば、5限目の途中には到著できるだろうか。

行きたくない、休みたい、逃げ出したい。

だがここで休めば、まるで自分が奴らに屈してしまったようで、想像するだけで悔しくて堪らないのだ。

それに何より、汗水垂らして働く親父に合わせる顔がない。

マサタは回避─回避型の葛藤を背負いながら、重い腳を學校まで引き摺った。

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