《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》卒遽

學園中が真っ赤に染まる。

それはペンキではなく、赤い

サイレンのライトによって、赤く照らし出されているのだ。

その様は、まるでこの世の終わり。

だが事実、世界を滅ぼせるだけの力を持った者が、まさしく世界規模での爭いを繰り広げようとしていた。

『侵者多數!侵者多數!総員警戒態勢!』

突然の音聲に驚きつつ、コウジは首の後ろにあるアテスターのボタンにれ、回線を浜曷に繋いだ。

「侵者って誰です!?」

「それが……全員、那原マサタなんです…」

「はぁ!?どういうことですか!」

「それはこちらも分かりかねます。ですが、現在確認出來ていることは、侵している者が全員那原マサタと容姿が一致しており、能力も同じであるということです」

その二人の會話に、レンタが割りる。

「標的が不特定多數なら、さっきの先生の計畫は使えません。だから、僕たちで勝手にやらせてもらいますよ」

そう言うと、レンタは勢いよく駆け出した。

「おいっ!ちょ、どこ行くんだよ!レンタ!」

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駆けるレンタの背にび聲を投げる。レンタは振り返らずに答える。

「まずは、SSの教室に行ってみんなと合流する!みんなとなら何とかできるかもしれない!」

そう言った瞬間、レンタの姿が消える。

同時に、レンタの周囲のガラスが割れ、コンクリートの壁や床が大きく歪む。

「っ!?レンタ!?」

突然レンタが消えてしまったことに目を白黒させていると、隣のヒカリが聲を掛けてきた。

「行っちゃったわね…。アンタはどうするの?」

「俺は……………。那原に聞きたいことがある……」

「なら、行くわよ。平佐名の言う通り、今は協力が最優先よ。レナは時計塔の頂上から、SSの教室を援護撃して」

「分かりました」

指示をけたレナは、敬禮をしてから今し方歩いてきた道を走って引き返した。

それを見屆け、ヒカリとコウジは目を合わせ、共に教室へと向かった。

「みんな!大丈───」

勢いよく教室の扉を開けると、その衝撃的な景が飛び込んでくる。

教室中に飛び散った飛沫。

それに相反するように、落ち著いて自分の席に著いているSSクラスの生徒たち。

そして何より目を引いたのは──────────教卓の上に積み上げられた“3人のマサタ”の死だった。

きっとこれは、彼らがやったのだろう。

単獨でも強力なマサタが3人襲いかかってきたのを、彼らは返り討ちにして見せたのだ。

コウジはSSクラスの強さと恐ろしさ。その両面を思い知らされた。

コウジが唖然としていると、著席していた生徒が2名、こちらへ向かってきた。

「お二人は、お怪我はありませんか?」

そう話しかけてきたのは、輝く粟のセミロングの。萩澤キョウカだ。

その大きな両目は若葉のような緑をしており、話し方や口調も相まって、とても純粋で清楚な雰囲気を醸している。

「ええ、アタシたちは大丈夫よ。そっちこそ大丈夫だったの?」

ヒカリがそう問う。それに返したのは、長年。

「大丈夫だぜ。ただ、那原の才華、めんどくせぇよ」

爽やかなスカイブルーの髪と、澄んだ青緑の雙眸。スポーツマンと呼ぶに相応しい、堅実で熱的な雰囲気がある。彼の名前は舵咫散トモキだ。

「何とかしないとな…」

そう言いながら教室を見渡す。

そこで、コウジは異変に気がついた。

「あれ……。レンタは…?」

「ああ、平佐名なら、學園長室に行ったぜ」

そう言うとトモキは教室の南窓を指差した。

アニュッシュ學園の構造上、南窓からは職員室や會議室が覗けるのだが、そこから學園長室もむことができる。

だがそこから見える學園長室は、普段とは大きく異なっていた。

ドアが拉げ、廊下と部屋を區分する壁が壊れてしまっている。

「多分、平佐名と那原はあそこで殺りあってるだろうよ」

大きくわになったその部屋には、遠目からでも分かるほど、飛沫が撒き散らされていた。

「…………ヤバい!」

そうび、コウジは學園長室へと走った。

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