《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》拒捍

「まさかナイフが………二本あったとはな」

そう。アツシが持っていたのは、ナイフだった。

先程のアーミーナイフとは異なる、折り畳み式のサバイバルナイフ。

あの薙刀越しに伝わってきた違和の正も、このナイフだろう。

「誰が一本しかねェっつッたァ?」

勝手な先観により、ナイフは一本しかないと踏んでいたが、違った。

「ほらほらァ、いつまでソコでビビってンだァ?」

悔しいが、アツシの言う通りだった。

いつまでもここでアイツを眺めていても、事は進展しない。

ならば今度は………………。

「………………………………俺から仕掛けるッ!」

ぶと同時、空中に展開していた3次元を蹴り、前方へと大きく跳躍する。

當然ながら、3次元の壁を蹴ることでその力は反し、は通常の2倍の力で跳躍できる。

そして飛翔したは、放線を描く。

その放線の最高到達點に屆くと同時、今度は頭上に3次元を展開する。

を翻し、その3次元を蹴り抜き、頭から地面へ一直線に落下する。

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真下ではアツシが、ナイフで斬りつける勢を整えている。

だがこの勝負、刃の扱いに長けているマサタに軍配が上がる。

アツシまでの距離が、マサタの程より短くなると同時、マサタは勢いよく薙刀を振り抜こうとした。

しかし、それにもじず、アツシはその笑みをより一層濃くした。

そして、呟いた。

「〈滅戦士Abrasion Knight〉・GLIDE」

すると、手から薙刀のが消えた。

振りかぶる過程で、薙刀が手元から離れてしまっていたのだ。

「…なにッ!?」

現在のマサタのは自由落下を行なっている。

否、自由落下ではない。

3次元を蹴り抜くことで初速度が加わっている為、鉛直投げ下げと言うべきだろうか。

ともかく、このままではアツシのナイフを躱せない。

だが、アツシはマサタを斬り付けなかった。

その代わりに。

「ンがォ……ッ!!」

気味の悪い聲が、腹かられた。

アツシは自分の膝で、マサタの鳩尾を蹴り上げたのだ。

落下による速度と、膝を蹴り上げる速度、その撃力は戦意を削ぐには十分過ぎる威力を有していた。

が地面に落ちる。頬が、が、腹が、地面にれる。

視界が明滅するが、思考は止まらぬどころか加速する。

何故、薙刀が手元から離れてしまったのか。

腕から力が抜けてしまったか。

手汗でってしまっただろうか。

…………る?

────────まさか。

「てめェよォ、俺の才華が何るか當てたダケで勝ったキになってねェだろうなァ?」

「がほッ…………ぐぶッ………」

から、否、臓からが込み上げるような覚。

鼻腔をの匂いが満たす。

喋れない。

「才華の発條件まではわかンねェみてェだなァ」

「…………な……んで……」

俯せのまま、必死で聲を放り出す。

「俺の〈滅戦士〉はよォ、るダケじゃァ使えねェンだよ。だよ、ィ。俺は、俺のが付いたもンの係數を自在に変えられンだよ。そこまでは分かるワケねェよなァ、この無脳がァ」

嘲笑うようなアツシの言葉は、マサタの脳で渦を巻く。

「まざ………が……」

痰の様に粘度の高いに絡まり、聲がガサつく。

「そうだよ。てめェが俺に、ィ吐かせたンだぜェ?」

先刻のアツシのへの峰打ち、その際にアツシは吐し、そのはマサタに付著していた。

つまり今、マサタのは完全にアツシの才華の支配下にあると言う事だ。

「俺を傷付けてダメージ喰らわせるほど、俺ァ才華を使えるモンが増えンだよ。悪ィなァ、お前と違って利口でェ」

馬鹿にした様に笑いながら、アツシはその足でマサタの顔を踏みつける。

「でも痛ェもンは痛ェからよォ、その分はヤらせてもらうぜェ?」

そう言うとアツシは屈み込んで、マサタの前髪を摑み上げた。

「……ぉがぇ…」

マサタのから自ずと聲がれる。

半開きの目は自然とアツシを捉えていた。

しかしアツシは毆りもせず、蹴りもせず、マサタの顔を両手で左右から抑えた。

「………?」

「俺の才華にはよォ、こういう使い方もあンだよ」

そう言った瞬間、アツシの顔がにぃっと笑みに歪む。

それを笑みと呼ぶか迷うほど下卑ていて、悪辣な、悪魔の様な笑み。

そんな表のまま、アツシは言った。

「〈滅戦士Abrasion Knight〉・RUB」

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