《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》錯認
「〈境界超越Manifold Breaker〉ァァアアアアア!!」
マサタが力の限りにんだ瞬間、マサタとアツシとの間に巨大な鏡が聳え立った。
マサタによる3次元の障壁だ。
「意味ねェンだよ!〈滅戦士Abrasion Knight〉!」
そうび、アツシは指を鳴らす。
指が鳴ると同時、マサタは平衡覚を失い、転倒した。
否、平衡覚を失ったのではない。
地面から力が奪われ、立てなくなってしまったのだ。
見ると、地面にはが著いていた。
無論マサタ自のものもあるが、アツシのも付著していた。
先程までマサタ自が橫たわっていたせいで、マサタを介してアツシのが地面に付著していたのだ。
「ちき………しょぉう……!」
そんなことに目を白黒させている間に、アツシは3次元の壁を回り込み、マサタへと向かっていた。
何か、何か良い手は……。
「〈境界超越Manifold Breaker〉!」
再びそうび、3次元の障壁を消す。
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そして、自分より右側の空間を距離軸が一つない2+1次元へと書き換える。
そうすることで、自のを力0の床から引き離すことが出來る。
「あンだけカッコつけときながら逃げてンじゃねェよォ!」
そう言うと、走行中で前傾姿勢だったアツシのは、より水平に近づく。
猛スピードでアツシが駆けて來る。
だが、それでいい。
マサタは、床に転がる薙刀を拾い上げた。
マサタがあの地面からここへと移した真の目的は、手元から離れてしまった薙刀を回収することだった。
そして、その薙刀でアツシを迎え撃つ。
アツシがマサタの程圏に突すると同時、マサタはそれを一気に水平に振り抜く。
だが。
「読まれてねェと思ったのかァ?」
アツシが左前腕でそれをけ流す。
首に切り掛かった時と同様、刃が逃げていく覚。
のないへの峰打ちは、峰の移方向と狙ったの部位が、直角に近いことでその効果を生んでいる。
先刻の首への峰打ちが有効であったのは、首に対して峰が直角に移し、加えて仮にある程度ったとしても、肩や顎に衝撃を加えることが出來るからだ。
仮にの無いへ水平に峰打ちを行うとしても、そのの部位が水平に近い角度であれば、峰打ちすらもらせることができる。
「お前の負けは変わンねェンだよォ!!」
アツシがそうび、さらに距離を詰められる。
これほどの接近戦になると、マサタの薙刀では対処が出來なくなる。
目と鼻の先まで接近したアツシは、手にしているナイフの柄をマサタの鳩尾へと叩きつける。
「…ンげァあ!」
先刻の膝蹴りによる痛みが抜けない腹部に、更なる衝撃を加えられることで、鈍痛が脳まで突き抜け、思わず腹を抑える。
そして、蹲ることで曝け出されたマサタの背に、アツシはナイフを突き立てた。
「うあああああああああああああああ!」
耐えがたい激痛に、思わず絶する。
だが、ここで怯むわけにはいかない。
まだ、僅かだが、ける。
「〈境界超越Manifold Breaker〉ああああああああああ!」
半ば反の様に、才華で前方の空間から距離軸を一つ消す。
當然ながらは前方へと移する。
マサタは、奧歯が砕けるほど歯を食いしばりながら著地し、ゆっくりとを起こした。
だが、眼前にアツシの姿はなかった。
次元を繰り下げた際に消し飛ばしたのだろうか。
仮にそうだとしても、マサタが低次元へ転移させた空間は常にマサタの手の屆くところにある。
そのため、アツシを再びこの次元へと戻すことも可能である。
俺の…………………勝ちだ。
そう思った。
いや、思いたかった。
その時だ。
マサタは、あることに気がついたのだ。
自分がまだ─────決闘終了の音を聞いていないことに。
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