《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》圧尾
「………………ンなッ!?」
マサタはその右手で、ナイフをけ止めた。
ナイフが掌を貫通し、その鋒が手の甲から顔を覗かせる。
「そんな…そんなきで……俺を殺やれると思うなよ!」
そうび、マサタはナイフの柄ごとアツシの手を摑む。
そして、アツシの骨を蹴り抜いた。
「ぬゥあァあ!!」
そのまま後方に倒れ込んだアツシは、苦しげで悔しげな悲鳴を上げた。
マサタは、自分の右手を貫いていたナイフを引き抜く。
「いっ…!」
激痛が右手に訪れる。
だがそんな痛みに顔を歪めたのは數瞬。
直後、マサタはアツシのぐらを摑み上げた。
怯える様な、それでいて憤っている様な目線がアツシからマサタへと向けられる。
それにもじず、マサタは刺さっていたナイフの鋒を、アツシの元へ突き付ける。
「俺を………殺すのかァ……?」
アツシが問いかける。
「…………」
だが、その問いには答えない。
マサタは、その左手をアツシの元目掛けて勢いよく振り抜いた。
サパッ。
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小気味の良い音とともに、それは切斷された。
會場中に金管楽の音が響く。
ファンファーレだ。
頭上のモニターには、勝者がマサタであると大きく表れていた。
そう。マサタが切斷したのは、アツシの首元に裝著されたアテスター。
決闘における勝利條件は、『一方の戦闘不能』か『アテスターの破壊』であるが故だ。
自分が勝利したと言う事実を確認していると、アツシがその口を開いた。
「ンでだ…。なンで俺を…殺さなかッたンだァ…?」
「殺すのか」と言う問いは、「何故殺さなかったのか」と言う問いへと変貌を遂げていた。
そんなアツシの問いに、マサタは冷たく吐く。
「お前を殺して─────俺に何の利益も無いだろ」
さも、自分に有益であれば殺すかの様な言い振り。
しかしその言葉は、紛れもない噓だった。
マサタがアツシを殺めなかった最大の理由は、自分とアツシを重ねてしまったから。
それだけだった。
この學園へ転する際に、マサタは學園長の言ったその言葉を聞いていた。
『贖罪の機會を奪うのは、例え神であろうと許されない』、と。
マサタは自ずと、自分自へと抑止を掛けていた。
マサタ自、他者の許容のお蔭で、この學園で生活をしている。
それなのに、自分は他人を許さないなんて、それはあまりにも我儘が過ぎるのでは無いのだろうか。
アツシにも自分と同様に『許される権利』があるはずだ。
それを個人的な一時ので無視するなど、決してあってはならない。
無論、アツシに対して思うところが無い訳では無い。
だがそれは、アツシを殺すことでしか解決出來ないものではない。
ならば今は、彼を許そう。
そうして彼に『許されることのありがたさ』と『許すことの難しさ』を學ばせることが出來たなら、雙方にとってこれほど優しい結末はないだろう。
ただ、今目の前にいるアツシにそれを言うのは、何だか癪だった。
だからマサタは、噓をついてしまったのだろう。
「あッそォ………」
し悔しそうな聲で、アツシはそう吐いた。
勝利したマサタのに爽快や達はなかった。
あるのは、白熱した意識とを一気に冷卻される様な、そんな覚だけだった。
きっと、勝利に喜びをじるのは、自分が勝てる可能が低かったり自分に勝てる自信がない時なのだろう。
スポーツ選手が試合に勝利して喜ぶのは、それだけ相手が強いと認めているからだ。
だが、分かりきった勝負に、それはない。
蟻を踏み潰そうと、花を毟ろうと、達も歓喜もない。
それは自の勝率が100%であり、敗北する要素がないからだ。
今のマサタの中には、そんな空虛なが蟠っていた。
そんな空虛な神と創痍のとの狹間で呆けていると、背後からの聲が投げられた。
「那原マサタ。貴方のSSクラスとしての転が決定しました」
振り返ると、浜曷がそう話していた。
今のマサタは、その言葉を聞くだけでも力が奪われる様な狀態だった。
すると、浜曷の後方から白の人影が五、六人駆け寄ってくる。
救急用のミニストレッチャーと、醫療用のトーマスバッグの様なも肩から掛けられている。
それを見たマサタは、安堵の覚を抱きながら地面に倒れ込んだ。
冷たくい大理石の、背中に刺さったナイフの痛み、の鈍痛、マサタの意識は、それらの覚と共に途絶えた。
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