《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》稀覯

翌朝。

サナエは、病院のベッドの上で目を覚ました。

話を聞くところによると、サナエのスマートフォンで何者かが通報をしたらしい。

通報者はきっと…あのだろう。

は、サナエの中に恐れと悔しさを殘して、消えて行ったのだった。

それから3日ほどで退院したサナエは、父から真剣を譲りけた。

それは、剣道のみならず、居合道や抜刀道に関しても指導を行うためだ。

そしてその練習の一環として、父の投擲したA4紙に対して「突き」をしていた。

その時だった─────彼の才華が発現したのは。

突き抜いた紙が、積をそのままに、小石のようにコトリと落ちたのだ。

拾い上げようと紙にれると、その表面が異常なほどに冷卻されており、左手の皮に凍傷を負った。

今思えば、の主観的時間が靜止することで、分子の運が停止し、紙の保有する熱エネルギーがゼロになったと考えられる。

熱というのは分子の運量の大きさであるため、時間が止まったは分子の運さえも停止し、保有する熱エネルギーがゼロになるのだ。

その後病院へ行き、手の治療はされたが、何故そんな現象が起きたのかは當時のサナエには理解ができなかった。

その日の夜、ポストには學園からの招待狀が投函されていた。

サナエはそこで初めて、左手の凍傷の原因が、自の能力によるものであると知った。

そして、封筒に記された容と、自に宿った不可解な能力のことを、詳つまびらかに父親に話した。

父は暫く黙っていた。

すぐに決斷が下らないのは、自されているが故だろうか。

しして、父は顔を上げ、サナエに語りかけた。

その時、父に言われた言葉を、今でも鮮明に覚えている。

「いいか、サナエ。強さには四つの段階がある。

最も弱い者は、誰も何も守れない。

2番目に弱い者は、自分しか守れない。

2番目に強い者は、する人を守ることが出來る。

そして、最も強い者は、敵すらも守ることが出來る者だ」

真剣な眼差しで語る父の眼を、サナエも真剣に見つめ返していた。

「人を傷つけるためや、私利私の為だけに力を使うのは論外だ。人ですらない。お前のその力、他人様のために使いなさい。そうすれば、他人様もお前に手を貸してくれるさ」

「……はいっ!」

「お前は那原家の長だ!を張って行ってきなさい!」

「有難う座います!」

父のその言葉に背を押されたサナエは、家を後にし、學園へと転したのだった。

サナエは學園でも稀な、「転前に才華で他者に危害を加えなかった」存在である。

それが幸運故なのか、自神の高潔さ故なのかは、誰も知らない。

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