《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》

それからのハナの生活は、過去最高に充実していた。

日中、友人らが學校にいる間は、ネットカフェや漫畫喫茶などで時間を潰し、放課後には友人と皆でカラオケやショッピングに行った。

友人らと放課後に遊んでも、殆どの友人とは22時には解散し、友人たちは翌日に備えた。

それでも、門限が19時だったハナにとっては、人生で初めての夜遊びであった。

ある程度の期間は貯めていたお小遣いで遊び、それからはモデルの仕事による給料で生活していた。

既にハナの知名度は決して低くはなく、仕事で生計を立てるのに十分な知名度を獲得していた。

そんな生活をしていく中でも、特に親しくしてくれた友人がいた。

の名前は椎名祥子。両親と不仲と言う訳ではないが、互いに相手に対して興味を示さないため、夜通し遊んで朝に帰宅をしようと怒られないが、勉強で好績を修めようと褒められない。

そんな冷め切った親子関係だった。

その環境のせいか、彼し不真面目で、歯に著せぬ言いをするだった。

それでも彼は優しく、そして面白かった。

だから、一緒にいて退屈したことはなかった。

ハナと祥子は、お互いの家庭環境を知ったことで一気に親になった。

カラオケで、二人で朝まで歌い明かしたこともあった。

居酒屋で、ひたすらにお酒を飲んだこともあった。

街中でナンパされたときは、祥子が相手の間を蹴り上げ、そのまま走って逃げ出した。

電車に乗って、海沿いの町まで遊びに行ったこともあった。

そこで近くの遊園地に行き、観覧車から水平線に沈んでいく夕日を眺めた。

あの、遊び終えた寂しさに、しさが拍車をかけていく瞬間。

心のどこかで、こんなに楽しい時間が永遠でありますようにと、幾度となく願った。

それでも日は暮れ、観覧車はゆっくりと地へと落ち著いてしまうのだった。

「ねえ、この後溫泉行かない?海が綺麗に見えるところがあるんだって!」

祥子が楽しそうに提案する。

「え!?ホントに!?いいね!行きたいね!」

ハナはその提案を快諾する。

不平も不満も不安もない。

それはきっと、二人ならどこだって楽しめてしまうからだろう。

「じゃあ決まり!二人一部屋で予約取っちゃうよ!」

「うん!ありがとね!」

楽しみが終わり、また一つ楽しみが生まれる。

ああ、なんて幸せなのだろう。

それから二人は電車に乗り、旅館の最寄り駅で降車した。

帰宅ラッシュの電車し窮屈だったが、それも10分ほど耐えればすぐに目的の駅へと到著してしまう。

ホームをし歩き、改札を抜ける。

「ここを……左かな?」

祥子が、小首を傾げながら地図アプリとにらめっこをしている。

ハナもその畫面を覗き込む。

「んー、歩いて1.2㎞くらいだね」

ハナが目的の方向を指さしながら、そう言った。

その時だった。

「探したぞ。ハナ。」

背後から、重苦しく低い聲が聞こえた。

自分の名を呼ばれ、慌てて振り返った。

そこには───────────スーツを著た父が立っていた。

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