《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》馬
夕方。日が傾き、彼方のオゾン層が太線の青を吸収する頃。
「ハナー!道場行こー!」
隣の教室でHRを終えたリオが、こちらへと手を振っている。
「うん!今行くね!」
手早く荷をしまい、バックを肩へ掛け、駆け出した。
道場まではそれほど離れていないが、言えるほど近くもない。
その微妙な距離の移には、日中の出來事を報告し、を吐き出しあえる友人が必須だった。
「でさー、山田のヤツ、ケータイいじってんのバレたんだよ(笑)」
「あはは!面白いね、それ!」
「でしょ?あいつホント馬鹿だよ!」
二人で織りなす他無い會話は、長時間椅子に座ることで凝り固まっていた神を、ゆっくりと解していった。
15分ほど歩いただろうか。道場に著くと、竹刀同士がぶつかり合う音が響いてくる。
見ると、既に三名の利用者が窺えた。
SSクラス第2位の桐咲ソウタ。
同じく第6位の鵞蘼サナエ。
そしてその弟、第11位の那原マサタ。
既に三名とも防を著けているため、その顔は伺えない。
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だが顔が見えずとも、”たれ”に記された名前で判別を著けることは可能だ。
尤も、ハナであればたれがなくとも打ち合う姿勢のみでも判別はつくのだが。
ソウタは、その両手に二本の竹刀を握っている。
彼は珍しい二刀流で、試合中のきや判斷が非常に迅速で的確な為、そのきを真似たり、參考にしたりすることは多々ある。
何度か手合わせを頼んでみたことがあるが、悉く「斷る」の返答のみだった。
続いてサナエは、極めて高い技力を有している。攻撃の軌道が読まれないようにする工夫や、相手の攻撃を防するだけではなく、相手が嫌ったり苦手としたりする作を取る工夫などがされている。
幾度となく手合わせをしたが、未だに一度も勝ったことがない。
那原マサタ、彼は剣道ではなく薙刀道の鍛錬に來ている。
何度か手合わせをしたが、実力はほぼ互角だった。
慣れない薙刀という武との戦闘は、新しい発見ばかりで、全てが新鮮だった。
ストレッチと準備運を終え、ハナも速やかに防を著け、準備を整える。
すると、一人の人影が歩み寄ってくる。
剣道の防を著けているため、たれによってその氏名を確認する。
たれには「那原」と記されている。マサタだ。
ハナが用を聞き出す前に、マサタは話し始めた。
「なあ、盡。良かったら、俺と一本、勝負してくれないか?」
「うん!いいね!」
ハナは快活にそう返し、マサタとの試合を始めた。
試合は、正まさしく互角と呼ぶに相応しいものだった。
互いに一歩も譲らぬ狀況が続き、互いの集中力が拮抗した。
だが最後には、集中力が切れたマサタの隙を見逃さなかったハナが一本を取ったのだった。
「いやー、盡はやっぱり強いなー」
「ううん、そんなことないよね。結構、互角だったよね。私は、もっともっと、強くならなきゃね………」
「なあ、盡は何でそんなに強さを求めるんだ?」
マサタは、その心中に湧き出た純粋な疑問を、ハナへと投げかけた。
ハナはし返答に困った。どう答えるべきだろうか。二、三呼吸して、ハナはようやくどの返答が最もこの狀況に適しているかを判斷し、それを言葉として言い表し始めた。
「私はね……お姉ちゃんに勝ちたいんだ」
きっと『姉に敗北する悔しさ』を、マサタは知っている。そう思い、この答えを出した。
噓はない。いや、噓ともとれるだろうか。
本當の目的は、姉に勝つことではなく、『姉にしでも近づく』ことなのだから。
「そっか!俺もその気持ちわかるよ!姉貴とかには、負けたくないもんな!」
マサタが楽しげに笑った。
その笑顔は、自分と同じ気持ちで道場に足を運ぶものを見つけた喜びからだろうか。
「姉とか上の兄弟ってさ、先に生まれてるから、當然俺らより多くのことを経験してるんだろうけどさ、それを口実に負けたことを『仕方ない』って言われるのが、一番腹立つんだよな。負けに仕方ないもクソもねえのにな」
マサタが心中の吐を始めた。
「めっちゃデカく見えんだよな、目の前にある背中がさ。俺たちはスタートダッシュに失敗してるから、その背中を追い越すためには、そいつよりも早く走らなきゃならないんだよな。相手と同じ努力量じゃ、いつまでも差はまらないだろ?」
優しく笑いながらこちらを見る。だがその視線は、どこか遠くを見ているようだった。
「質でも量でも、アイツらの努力を上回らなくちゃ。それでやっと、ちょっとだけ近づけるから。やっぱり努力は続けなくちゃな」
「うん!そうだね!」
ハナは快活に笑った。
自分と似たような境遇を持った彼に、し親近が湧いたのかもしれない。
「でも、何かで俺たちが勝てたときは、やっぱりうれしいよな!」
「…………うん!」
その言葉には、共できなかった。
ハナがレナより優れている點など、一つもないのだから。
今までも、これからも。
最初から追い越そうなんて思っていない。ただ、時間以上に大きく開いてしまった二人の差を、しでもめられることが出來ればと、そんな高みを抱いているのだ。
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