《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》因
帰路では夕焼けがしい。
この夕焼けによって、一日の疲れは無かったことになるのか。それとも、この夕焼けを見るために、今日一日を生き抜いたのか。
その疑問は、生まれると同時に消え去る。
きっと自分の心中を理解してくれるのは、この時間の空だけなのだろう。
帰りがけにコンビニへと立ち寄った。
るとそこにはヒカリが立っていた。
「あら、ハナじゃない」
「城嶺先輩……」
「今帰るところ?」
「はい、そうですね。先輩は?」
「アタシは、コレ」
ヒカリはそう言いながら、視線を手首からぶら下げたビニール袋へと落とした。
そこには牛と卵、玉ねぎとシメジがれられている。
「夕飯の材料、コウジが買い忘れたのよ」
「それは困っちゃいますね」
「ホントよ…。今朝わざわざ三回も言ったのに」
ヒカリは笑いながら肩をすくめる。
そんな二人の関係が羨ましくて、ハナはなんだか寂しくなってしまった。
目の前に、尊敬する先輩がいるというのに。
世間話を程々に、二人は解散する。
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「じゃあ、ありがとうございましたね」
「あ、ハナ。ちょっと待って」
それをヒカリが引き留める。
「これ、あげるわ」
「…いいんですかね?」
「ええ。アタシからの日頃の労いってことで」
「すみませんね。ごちそうさまですね」
それは、一つのまんだった。
その、小さくも確かなぬくもりをじながら、ハナは自室へと帰った。
「ただいま」
玄関扉を開放すると同時、猛烈な倦怠がを襲う。
また、姉に怒られてしまった。
いい加減、姉に怒られないようにならなくては。
日々努力をしているつもりではあるが、それが結果を殘していないのなら、していないのと何が違うのか。
自立しなくては。しっかりしなくては。頑張らなくては。
まだまだ足りないのだ。こんな生半可な努力では、姉に追いつけないから。
夕食やシャワーを終えたのち、4時間ほど勉強を行う。
以外に、アドバンテージがないのは避けておきたい。
學校では習わないような、それでいて、この學園生活において実用的な知識を、頭へと取り込んでいく。
醫學、特に応急処置や手當。また、GCSの測定方法や、トリアージの分類、並びに傷病者の重癥度の區分。
出した際に、活躍する可能の高い知識をに著けていく。
姉の足手まといにならない為に。
一頻り勉強を終え、就寢する。
ベッドの上では、今日起こったことや、行った會話などが思い起こされる。
『相手と同じ努力量じゃ、いつまでも差はまらないだろ?』
あのマサタの言葉が、頭の中で跳ね返り続ける。
全く彼の言うとおりだ。
だが、相手と自分との間に、努力量以上に大きな差が存在しているとしたら、どうしたらいいのだろうか。
相手が努力だけでなく、才能によってもその力を手にれているとしたら。
果たして私は、追いつけるのだろうか。
その答えが出るよりも先に、ハナは微睡に飲み込まれてしまった。
ウーッ!ウーッ!ウーッ!ウーッ!
けたたましいアラーム音が、ハナを深い眠りから引きずり上げる。
音源は、枕元に置いた攜帯電話だ。
畫面を見ると「排斥対象出現 SS~A+クラス 非常招集」と記されている。
急いで寢間著から戦闘用の服へと著替え、廊下を駆ける。
向かうはヘリポート。
速やかに乗り込み、現場へと急がなくては。
ヘリポートには、既にほとんどの生徒が集っている。
「盡ハナ!乗り込み完了しました!」
ヘリへ乗り込むと同時、擔當教諭へ向けてそうぶ。
教諭は、何やら名簿のようなものにチェックを付けている。
そして、ハナが乗り込んですぐに、ヘリが離陸した。
まだ完全に生徒が集結した訳ではないが、これ以上待っていられるほど事態は余裕がないのだ。
移中、擔當教諭が概要を説明した。
「現在、神奈川県橫浜市橫浜ランドマークタワー付近にて排斥対象が出現しています。數は一ですが、高が推定300mを超えています。各員、警戒して対処に取り掛かって下さい」
仄暗い機では、その聲が反響している。
周囲から漂う圧倒的なまでの殺意。
その殺意は、排斥対象に向けられたものなのだろう。
しかしそれは、犠牲者を減らしたいとか、排斥対象が許せないなどというものなどではない。
ただ単純に、このたった一の排斥対象を討ち取り、その報酬を自分だけが貰いたい。
そんな自己中心的で、歪んだに他ならなかった。
私はどうだろう。彼らのようになっているのだろうか。
私は何で────────排斥対象と戦うのだろうか。
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