《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》磯目

同時、別機で一人、弾薬と銃の作の確認をする

その朱のショートヘアーを機の揺れに任せながら、コッキングレバーを引く。

「ハナ、大丈夫かしら………」

心配なのは、自分よりもハナである。

あの子は昔から、友達の為に自分を犠牲にする子だった。

この學園に私たちの両親はいない。

もっとも、いたところでどうせ役には立たないが。

だから、私が母に代わらなくちゃ。

だから、私がハナを育てなくちゃ。

だから、私がハナを守らなくちゃ。

いや、こんな言葉は単なる綺麗事に過ぎない。

私の心に巣食う、醜い孤獨を掻き消したいだけかもしれない。

誰かに憐憫の視線を送りたいだけかもしれない。

ただ、私がハナと一緒にいる口実がしいのかもしれない。

手のひらに乗った弾丸は、溫で溫かくなっている。

ああ、戦闘が───────────────始まる。

レナは生暖かい弾丸を、その大きなスナイパーライフルへと裝填した。

「うっわぁ…………でけぇ……………」

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マサタは排斥対象の巨を目の當たりにし、そんな聲をらしてしまった。

高300mという文字だけを見るだけでは想像できない大きさ。

隣にある観覧車が、まるでずっと遠くにあるかのように見える。

そんな、遠近覚を躙するかのような巨軀は、今なお咆哮を続けている。

マサタやコウジを筆頭とするSSクラスの生徒は、既に現場に到著。

その排斥対象の駆除にあたっていた。

だが、あまりに大きすぎるため、近づくことすら躊躇われてしまうのだった。

そして大きさよりもマサタたちの戦意を掻っ攫うのは、その見た目の禍々しさだ。

そのは、太く長い蛇腹狀になっており、その先端部分には巨大な人面がある。

その大きく開かれた両瞼からは、今にも眼球が零れ落ちてしまいそうだった。

視線が合うたびに、強烈な吐き気と悪寒がマサタの中を襲った。

また、その軀の左右からは無數の腕が生えている。

その腕は、人間の腕の形をしている。だが、大きさは、一本一本が15mと巨大である。

だが、何よりもマサタの嫌悪を引き立てたのは、その口である。

大きく開かれた口の両脇からは、昆蟲の顎のような部位が大きく出していた。

時折それが上げる咆哮は、人間の悲痛なびに酷似している。

海沿いの町で育ったマサタはすぐに気がついた。

これは、ゴカイだ。厳に言えばオニイソメである。

大型のものは長が3mを超えるそれは、水槽越しに見るだけでも十分な不快を味わうというのに、それが高300mにもなると不快という範疇を外れる。

「コウジ、行ける?」

マサタの背後で、ヒカリがコウジに問いかけた。

「え?逆に聞くよ?行けると思う?無理だよ?死んじゃうよ??」

コウジはその問いかけに対して、戸ったような返事をした。

「そうよね………あの大きさの排斥対象を見るのは、アタシもこれが初めてよ」

「……アレ………気悪いな…………」

うねうねとをくねらせながら、腕で建を破壊している。

その腕がれたには、のように赤く、強い粘り気を持った粘のようなものが付著している。

「でも、誰かがやんなくちゃなんないんスよ」

振り返らずに、マサタは背中越しに言った

「……いや、違うぞ。マサタ」

その発言に、サナエが食いついた。

「誰かじゃない。我らだ。我らに、他者へ縋るという選択肢は無い」

「おめェらァ!突ッ立ッてねェで早くしろァ!」

そんなマサタたちを見て、アツシが腹立たし気にそうんだ。

確かに、いつまでもこうしてはいられない。

しかし同時に、どんな攻撃が有効であるかもわからない。

先ずはサンプル數の獲得のため、一般的な武力攻撃を行うしかない。

「………レンタ!」

そうんだのは、サナエだった。

「うん!開華っ!〈不可視疾走Contract Transfer〉」

レンタはサナエにそう答えると、彼の左手を握り、地を蹴った。

瞬間、レンタとサナエは姿を消した。

「……………えっ?」

素っ頓狂な聲が、マサタのかられる。

「これがレンタの才華よ。平たく言えば瞬間移。厳には、自と自れているの最も離れた二點間を直徑とする完全真球の空間を、空間ごと素粒子以下の大きさまで圧速で移し、才華行使前に視認した任意の空間まで移して、圧した空間を展開する才華よ」

「………………えっ??」

ヒカリのその発言により、かえって理解が出來なくなってしまった。

ひとまず理解できたことは、瞬間移のような能力であるということ。

「じゃあ、アタシたちも行きましょう」

「ああ」

ヒカリ達も、レンタとサナエを追うように駆け出した。

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