《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》徳義

同時、A+ランクの生徒は、一箇所へと集っていた。

あの巨の【排斥対象イントゥルージョン】を相手にするためには、協調が必要不可欠である。

そう考えたA+ランクの生徒たちは、一つの場所に集して各々の才華で援助しあえば、個々で散るよりは被害を低減できると考えた。

「あれ……………?」

しかしその中で、ハナは小首を傾げていた。

「どうしたの?ハナ?」

その様子に気が付いたリオが、心配そうな聲をかけた。

「いや、お姉ちゃんがね、見えなくてね……」

「そう言えばそうだね……」

「お姉ちゃん……どこだろうね……」

「こちら盡レナ。目標を眼で捕捉。現在地から【排斥対象】までの距離測定を願います」

『現在地點から【排斥対象】までの距離、直線で2.66㎞です』

「了解」

アテスターからの機械音のような音聲は途絶えた。

レナは、【排斥対象】からし離れた場所から狙撃を試みていた。

それは、レナの固有武が狙撃用のスナイパーライフルであるが故だ。

だが理由は、それだけではない。

レナの才華は、ハナの才華とシンクロしているのだ。

レナの才華〈為一不二─定熱神通圧Pressure〉は、視認している『気溫が一定な空間』の気圧を自在に作することが出來る能力。

対してハナの才華〈為一不二─定圧神通熱Temperature〉は、視認している『気圧が一定な空間』の気溫を自在に作する能力である。

しかし現実的な問題として、実際に圧力や気溫が一定な空間は、殆ど存在しないと言っていいだろう。

勿論、微視的に見れば隨所に存在していると言えるかもしれないが、それは目に見えないほど小さな空間である。

見えていないものは、あってないようなもの。

二人は、同じ景を見ながら同時に才華を発することで、初めてその効果が発現するのだ。

逆に発するタイミングがずれてしまえば、再度才華を発し直さなくてはならないのだ。

「お姉ちゃん、聞こえる?」

「ええ、聞こえるわ。油斷しないでね、あれは相當手強いから」

「う、うん…………」

「大丈夫。何かあったらこっちで援護するし、この場所からなら時間さえ狂わない限り、二人で才華が使えると思うわ」

「うん。ありがとうね」

「そういうのは終わってから言って。さ、やるわよ」

「………………わかった」

その言葉と同時、スコープ越しのハナが駆け出していくのが見えた。

二人でアレを倒すことが出來れば、一いくらの報酬が手にるのだろうか。

そして、その報酬があれば─────────私とハナは、もう戦わなくて良いだろうか。

淡く儚い願が脳裏を過り、それを追い出そうと頭かぶりを振るう。

これではいけない。

私は、ハナを。

ハナだけでも、守らなくては。

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