13:00。

晝食をとった後はメイド服から、用意してあった私服に著替えて、學園へ向かうため車に乗り込む。著替えるのが面倒なので最初から私服で良いじゃないかとも思うけど、私服で下手にウロウロしていると、うっかり西園寺家庭番部隊に蜂の巣にされかねないので要注意だ。

顔パスとか以前に、そういうマニュアルと使用人教育が徹底されているのだ。疑わしき者は、ガンガン撃つべし撃つべし！(銃＝ＧＵＮだけに)

どうせ西園寺の敵はか外かを問わず常に履いて捨てるほどいる。襲撃なんぞ日常の景の1つなので、これは割と死活問題だった。

ちなみに、発見者が私でも不審者は確認する前に蜂の巣にするので悪しからず。(その時の適用マニュアルによって細かな差あり)

一緒に乗り込んだ車の後部座席で、柚様が著替えた私にコメントをした。

「わーっ！す、雀ちゃんの私服、か可いねぇ！えーと、ほらこの貓さん柄とか！」

……が、隠しきれない無理矢理が見える。まあ気持ちは分からなくもないです。護衛として助手席に座る私は苦笑する。

「柚さ──柚。別に、無理して褒めなくてもいいです……いや、いいよ」

「うっ……」

ほら見ろ即言葉に詰まるんじゃないですかっ！……とは言わない。

むしろ私もこの柄どうかと思ってるし。何しろ父のお土産なのだ。この男親特有のサプライズしとけば何でもいいだろ？的な思考はやめてしい。

基本買ってくれる服にサプライズなど要らないのだ。全國の父親諸君にはここを覚えていてしいものです。「いや、渡した時は喜んでたよ？」だって？ならばその服が今どこにあるか調べてみるのだ。多分八割の確率でその後1回も著られてない。

例えそれが奇跡的に流行りのデザインだとしても、サプライズで買ってこられた服を著こなせるのなんてなぁ、そんなのモデル並のしかいねーんだよっ！ということを是非頭に刻んでしい。

そして夢を壊すようでアレだけど、ほとんどの場合は救いようのないセンスなので、服を一緒に買いに行く(という名目の無言の財布役に徹する)ことが1番喜ばれると思いますです、ハイ。

ちなみに、別の車に別れて乗り込んだクロエは、なんてことはないジーンズに、これまたなんてことはないトレーナー姿だった。

……くっ。何故かクロエだけなんかシャレオツに見えたのは私の素材の問題ではなく、Tシャツの柄のせいであってしい。例え、クロエのバックスタイルに、私のTシャツとよく似た変な貓が描かれているような気がしても、それはきっと気の所為なのだ。

「別に、汚れるからこの格好にしただけで、このTシャツが気にってるわけじゃありませ……ない」

今著ているものとは別に、普通の服も用意してあるのだ。ちなみにそれは今回のために新しく買ったものなので、著るのを結構楽しみにしている。

「雀ちゃんは早くその口調に慣れようね……そうなの？」

あれ、今日お掃除する予定なんてあったっけ？と柚様は首を傾げた。

「ちょっと汚れるお掃除、、、、、、」

「えっ？」

思いがけない返事だったのか、柚様が理解できないという顔をした。ああ、しまったな。別にこれは言う必要は無かったか。

「いえ、柚さ──柚は気にしなくていい」

掃除って言っても、ちょっとした社會の、、、お掃除ですから。

ふぅん、と柚様が納得しきれないけど無理やり納得した、とでも言いたそうな返事を返した瞬間だった。

「──っ？！きゃ、な、なに？！」

車が大きく揺れ、エンジン音がその唸りの表を変える。軽く振り返って柚様に怪我が無さそうなことを確認すると同時に、運転手に目配せした。運転手が頷き返す。

車の揺れが激しいという事は、タイヤをやられでもしたのか。

「雀様、襲撃者です」

「分かってる」

助手席の窓を大きく開け放ち、を乗り出して後ろを見た。

「おっと」

すかさず銃撃の連続。ここ日本の法律をなんと心得る！？歴とした銃刀法違反ですよ、もうっ！

だけど相手の武種は分かった。あの形からするにドイツ製の自小銃だろう。連のスピードと、口徑から見て異能者との戦闘も視野にれた高級品である。

……ただのゴロツキじゃないな。

裝備から見える敵さんの資金力に、私は舌打ちした。

「──クロエ、襲撃」

「ああ、見えてるよ」

あらかじめ分け合ってつけていたインカムを通してクロエに通信をれた。位置から言えば、クロエは私たちの３臺後ろの車に乗っているから、より良く狀況が見えていることだろう。

「こちらから見える襲撃は、すぐ後ろの黒セダン1臺。間違いない？」

「それと、さらに2臺白いワゴン車も追加した方がいいかもしれないね……武の用意してるみたいだよ」

「チッ」

隨分と大所帯でやってきてるみたいだ。