《不老不死とは私のことです》學式編 23話
変態の回収は困難を極めた。
「うっ……すずめぇ……」
「うげっ、足にしがみついてこないで!しっしっ!」
ゾンビのようにノロノロとしたきで、しかし力強く足にしがみつくクロエを蹴り飛ばす。
「ふぇぇぇ、雀ちゃーん!!」
「あっ、柚は近付かないでねー餌もあげないでください」
「えー、俺は雀が食べたい」
「……土でも食ってろよ(虛無の瞳)」
どうしてこうなった。
私は現在、柚様を背に庇い、足に縋り付くクロエを足蹴にしている。つまり、が重くてきが取れません。
……この狀態で刺客がまた來たらどうすればいいのですかっ!
もう一度言おう、どうしてこうなった。
「あー、とりあえずクロエは服を著てきなさい。待っててあげるから」
ベリベリと、しがみつくクロエを引き剝がしながら私は言った。
「えー、じゃあご褒も?」
やたらとキラキラした目でこちらを見上げる邪龍に私は思わず「うっ」と聲を上げたが、頷くほかはない。
いや頷かなくても良いんだけどここで首を橫に振ればさらに面倒な事態になるのは目に見えている。そう言えば、この前の暗殺の仕事の報酬が未払いだったか。
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痛いのが嫌で、つい先延ばしにしていたんだった。
この男もまた、そういう足元を見て言ってきたに違いなかった。死ねばいいのに。
とりあえず私は、せめてもの抵抗として人知れず邪龍の死を願っておくしかない。
舌打ちしたい気分をこらえて頷けば、奴は歓聲を上げながら走り去って行った。
奴が本來自分が宿泊している部屋の方向に去ったのを確認してから、暗澹たる気分のまま後ろを振り向くと、そこにはなぜか顔を赤らめた柚様がいる。
柚様は、真っ赤になった顔のまま何やら「ご褒……」などと呟いている。何か変なことしたかな?
しかしそれはスルーすることに決めて、彼に聲をかけた。
「……さ、奴が追ってこないうちに早く」
「えっ!待ってあげないの?!」
待つわけがない。頭沸いてるのだろうか?(不敬)
クロエもクロエだ。々私たちが待ってるつもりで、ウキウキな気分でここに來るといいさ。
そして、置いていかれたことに気づいて絶してもらう所までセットである。
全く、眉を下げて悲しそうな顔をするクロエを思い浮かべるだけで幸せな気分になれる。ププッ、無様ァ。
そして、ヤツのことは知りません。
という訳で約1名を置き去りにして待ち合わせ場所に著けば、そこには既にイケメンの姿。こっそり確認しても焦ったような形跡(汗とか)は見當たらない。
……ちっ。時間前に著いてるとか、完璧かよ。(しかも爽やかな笑顔付き。仕方ないから10點加點しときますね)
心の中でまた1つ舌打ちをした。
「おはよっ大雅くん!」
頬を薔薇に染める柚様も通常運転だった。リア充ですか、リア充でしたねっ!けっ。
「おはよう、柚と……えっと、羽鳥さん」
申し訳なさそうに阿久津氏が笑う。
私の名前を忘れてたんかいっとは突っ込まない。逆に、常に人呼んで超絶たる柚様の隣にいるせいか、忘れ去られる事の方が多いくらいだ。
むしろちょっと考えただけで名前を思い出す阿久津氏はかえって超人なくらいだ。
だけど、うーむ。これをいちいち説明しても無駄に卑屈になるだけである。だから素直に挨拶を返すだけにしておいた。
二言三言挨拶程度に言葉をわすと、阿久津氏はキョロキョロと何かを探すように辺りを見回した。
おいおい、アナタの想い人は目の前ですよっ!
「2人だけか。クロエは?」
「さあ?誰それ」
回答はせずに、首を傾げておく。奴の行方なんぞ、知っていても口に出したくもない。いや、知りませんけど。
「す、雀ちゃん……」
柚様が僅かに咎めるように私の名前を呼んだ。
いやいや、柚様。あいつ、淑の部屋に半で乗り込んできた生粋の変態ですよっ!一欠片でも慈悲を見せたらそこで試合終了なのでございます。
しかし、何故か柚様って昔からクロエに甘いんですよね。甘やかすのは、純粋なアナタの部下たる私だけで良くね?
アイツ死ねばいいのに(2回目)。
「なあに?柚。クロエなんて人いないよ」
あくまでもしらばっくれる。後でお説教食らおうがなんだろうが知ったことでしょうか?(開き直り)
そんな様子を見て、阿久津氏が苦笑した。
「……羽鳥とクロエとの間に何かがあったことはよくわかった」
いやだから、クロエなんて人知りませんってば。
この小説の存在を忘れてた。すみませぬ。
令和元年おめでとう!
令和でもよろしくお願いします!
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