《桜雲學園の正不明《アンノウン》》02話 久しぶりの我が家

表札には〈石崎いしざき〉の文字があり、ここが俺の家であることを示していた。

「ただいま」

ドアを開けようとすると鍵は掛かっておらず、そのまま中へった。

「あら、久しぶりね。景けい」

「あっ、久しぶりです。直子なおこさん」

部屋にると、一番に出迎えてくれたのは直子さんだった。

直子さんは5年前に母が亡くなった時から俺と、妹の咲みさきの世話をしてくれていた人で、俺たちにとっては親のような人だ。

し遅かったわね」

「う、うん。まあ、ちょっと寄り道をしてね」

さっきのことはわざわざ言うことではないだろう。

俺はそのままリビングへ向かうと、テーブルの上には味しそうな料理がたくさん並んでいるのに気づいた。

直子さんは料理ができなかったはずだから、咲が作ったのだろうか?

「いや、でもあいつも家事とか全然ダメだったはずだし......」

「どうかされましたか?」

「えっ? いや、なんでもな······」

最後まで言葉にすることが出來なかった。

聲をかけられ振り向くと、そこには落ち著いた雰囲気のが立っており、俺は息をするのも忘れてそのに魅っていた。

「お、お久しぶりです。景兄さん」

「あれ? あっ、もしかして咲?」

「そうよ、景。この子は正真正銘あなたの妹よ」

なぜかにやにやしながら答える直子さん。

「聞いてよ景、景たちが出ていってからね、〈景兄さんが帰ってきたとき困らないように私、がんばります!〉とか言ってね、急に家事とかをやり始めたのよね。失敗して焦げた魚を食べさせられたり......」

「な、直子さん? それは言わないでください、恥ずかしいです......」

「あっ、でも今は毎日味しいご飯を食べさせてもらってるわ」

「今日は景兄さんが帰ってくると聞いたので腕によりをかけて作っちゃいました♪ 」

「あっ、それであんなに味しそうな料理が並んでいたんだ」

「まっ、積もる話もあるだろうし、とりあえず席に座って食べましょ?」

「直子さんは早くご飯が食べたいだけですよね?」

「「「あはは」」」

3人の笑い聲が重なった。

「景兄さんの部屋は前と同じところです。荷ももう運んであるので、しずつ荷解きを済ませてくださいね」

久しぶりに食べた家族3人での食事はとても味しかった。確かに咲の料理の腕はかなり上達しているらしい。

「うん、じゃあ部屋の整理でもしているよ」

「何か困ったことがあればなんでも言ってくださいね?」

「ありがとう」

そう言って咲はリビングの方へと去っていった。おそらくお酒を飲み過ぎて寢てしまった直子さんの世話をしにいったのだろう。

俺もし部屋の整理をしたら寢よう。明日から學校もあるわけだし早めに寢ておかないと。

......そういえば何時に行けばよかったんだっけ?

そう思っていると、タイミングよく咲が部屋に戻ってきた。

「すいません、景兄さん。伝えるのを忘れてしまいました。明日は學校に7時にきてしいそうです。なんでも、渡すものがあるとか」

「そうなの? 伝えてくれてありがとう」

「いえいえ。景兄さんは今日はどうしますか? もう寢ますか?」

「うん。し整理をしたら今日は寢ようかなって」

「そうですか、ではお休みなさい」

「お休み」

そう言うと今度こそ咲は部屋を出ていった。

渡すものってなんだろう? タレントだろうか?

7時に學校に著かないといけないわけだから1時間くらい早めにセットしてと。

そうして俺はベットに橫になる。

そこで考えたのはやはり、學園でのことだろう。

「あれが......タレントか」

俺もタレントを手にれれば、あんな風に氷を出したり、火の玉のシュートが打てたりするのだろうか? 結構楽しみである。

そんなことを考えていた數分後、俺の部屋には靜かな寢息だけが響いていた。

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