《桜雲學園の正不明《アンノウン》》13話 4川伝説

「それより風花ふうか、海崎かいざき、あの事件について何か分かった?」

「··········ううん、まったく」

あの事件?

それってなんだ?

「あっ、景けいは知らないわよね。······失蹤事件について」

「最近、桜雲學園の生徒が突然いなくなるってことが続いているんだ」

「で、私たちはその事件について調べているのよ」

「まっ、未だに謎が多いんだがな」

それはヤバいんじゃないか。

というか、そういうのは警察の仕事じゃないの?

「··············そんなことより、景はもう、タレントもらってるん、でしょ。···············どんなのなの? 気になる」

「それは私も気になっていたわ。見せてよ」

「···············」

どうしよう。カードが真っ黒でどんなのかわからないんだけど。

「どうしたのよ。いきなり黙っちゃって。もしかして!」

おお、わかってくれたのか。察しがよくて助かる。

「そう、そのまさかだ。実は......」

「3年生の黒川先輩の、れたものを全部黒くする、っていうのだったり。電川先輩の、れた機械を壊す、だったり。広川先輩の、タレントの効果範囲を広くする、だったり。昇川先輩の、タレントの威力を上昇するだったり。みたいな4川のタレントに名を連ねるようなものなの?」

ちょっと何言ってるかわからない。

「4川のタレントってなんなの?」

「〇川っていう人のタレントは〇に関連したものになるっていう伝説のことよ。今は4人だから、4川。大スクープよ、未だ桜雲の歴史では見られなかった5川が生まれる瞬間に立ち會えるなんて··········」

「うぉ~~~なんということだ~~(涙)」

ちょっと何言ってるかわからない。

というか。

「俺、石崎なんだけど」

「あっ」「あっ」

この二人はバカなのか?

「···········それで、景のタレント、って···········どんなのなの?」

どうしても俺のタレントのことを知りたいのか風花さんが聞いてくる。

「ほら、これだよ」

そういって、俺は真っ黒なカードを見せた。

「えっ? なにそれ、何も書いてないじゃない」

「············なに、これ?」

だから言ったじゃないか。

「そうなんだ、実は··········」

「そういうことだったのね! 景。私、分かったわ」

「なんだ、部長、分かったのか?」

「ズバリ、黒川先輩にやられたのね!」

「はっ?」

まるで、名探偵が犯人を言い當てたかのように、どや顔でビシッと指を指してきた。

いや、全然違うよ?

的はずれだよ?

てか、そろそろ言わせて?

「ふふっ、景ったら言い當てられて言葉もでないのかしら? まぁ、私が相手だったのが運の盡きね」

いや、ただ呆れてただけだけど········

なんで俺が悪役みたいになってるの?

「················奈、黙って。··············景が話そうとしてる」

あぁ、なんて風花さんは優しいんだ。この部活の良心的な存在だ。

いや、志穂菜しほなもそうか。

そういえば、さっきから會話に參加していないけどどこにいったんだろう?

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