《桜雲學園の正不明《アンノウン》》20話 初めての部活(3)

「準備はいいですか? それでは第二練習試合を始めます。お題は···········土星の衛星です」

えっ?

ちょっと待って。

土星の衛星なんて全然知らないんだが........

「では、最初は “ミマス”」(部員1)

最初から分からないんだが........

「“スルト”」(海崎かいざき)

「“ディオネ”」(部員2)

なんかスムーズに繋がってるんだけど、三つとも知らないんだけど.........

「えっと·············“タイタン”」(景けい)

確か授業でこんなのを習ったはずだ。

「“エンケラドゥス”」(部員1)

「“ディオネ”」(海崎)

「“レア”」(部員2)

なんでこの人たち、続いちゃってるの?

「···················」

俺は何も言えずに、ボールはそのまま転がっていってしまう。

「どうした石崎いしざき。腹でも痛いのか?」

いや、単純に知らないんだよ。

みんな、なんで當たり前のように知ってるの?

「まぁ、石崎さんは初めてですから張してしまったのでしょう。ちなみに土星の衛星は今出たものの他にもイアペトゥス、テティス、パンドラ、フェーベ、ヒペリオン、プロメテウス、ヤヌス、アトラス、フェンリルなどまだまだいっぱいありますよ」

ちょっと何言ってるかわからない。

「じゃあ、次のお題は石崎さんに出してもらいましょうか」

「おぅ、そうだな。どんなものでもいいぞ。ドンとこい」

おっ、言ったな?

こう見えても俺は元・中二病だからな。

元だよ。元。

大事だから二度言いました。

ココ、テストに出るよ。(噓です)

あっ“テスト”。そうだ完全に忘れていたけどそろそろテストだ。

嫌なことを思い出してしまった。

まぁ、そんなことはどうでもいいや。

どうやら皆さん知りのようだが、昔の、今となっては黒歴史となっている、中學生の時に調べていた知識が役に立ちそうだ。

はっはっは、覚悟しろよ?

これから、チート能力持ちの主人公並みに無雙してコテンパンにしてやる!

「えっと、じゃあ、次のお題は··············」

〈キーンコーンカーンコーン〉

鐘が鳴った。

何の鐘かって?

部活の終わりを知らせる鐘だよ。

つまり........

「················もう下校の、時間。···········帰らない、と怒られる」

風花ふうかさんが丁寧に教えてくれる。

えぇ、分かっていますよ。分かっていますとも。

でも·······タイミング良すぎない?

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