《朝起きたら、馴染が悪魔に取り憑かれていた件》#10 張(西田 徳馬の場合)
徳馬はトウマと、アクアは「ちぃ」と名乗った
と新しい擔任の先生が來るのを
雑談しながら待った。
ガラガラ。教室の前方のドアが開き、
ざわめいていた生徒たちが自分の席に
戻り始めた。
『はーい、席著いて〜』
教師お決まりのセリフを言った、長い黒髪を
一つに結び、赤のジャージをかっこよく
著こなす擔任は、
『今日から1ーDの擔任をすることに
なりました。佐藤 理沙子 です。』
黒縁の眼鏡を上に押し當てながら
そう名乗った佐藤先生は、教卓に手をつき、
『きっと初めましての人同士ばっかり
でしょ?自己紹介をしましょう。』
ニコニコそう言った佐藤先生に、俺は
歯を強く噛み合わせる。
ーーーー出た。學校生活の始まり特有の
自己紹介。出席番號1番から名前と趣味や
好きなことなどを言っていくシステム。
淡々と自己紹介をしていくみんなに
俺の張はピークをむかえた。
『〜〜〜〜です。よろしくお願いします。』
前の席の人の自己紹介が終わり、
パチパチと拍手がなっている中、俺は
席をたつ。
『西田 徳馬です。好きなは梅干しです。
これから3年間よろしくお願いします。』
早口でそう言って、拍手が始まる前に
席へ座った。
あんなに張しておいて、ふつーの自己紹介を
した自分に、失したような、ホッとした
ような複雑な気持ちになった。
ふと、アクアは大丈夫なのか、と思い
金髪ツインテールのを探す。
見つけた彼の顔を見て、またもや
『ぷっ』と笑ってしまった。
顔が真っ赤で、汗だらだらで口に出さなくても
わかるレベルの張合だ。
花の家でアクアと出會ったときと
比べると、今のアクアは、キャラ崩壊を
超えて、もはや別人だった。
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